「永遠の花束」
あぁ、愛しの君よ。麗しき姫君よ。
貴女は言葉では表せないほどに美しい。
言葉の代わりに、何で君の美しさを表現しようか。
絵にしようか。
いや、絵では駄目だ。
いつか色彩を失ってしまうから。
彫刻にしようか。
いや、彫刻でも駄目だ。
どこかが欠けてしまえば、完璧ではなくなってしまうから。
どうしようか。
僕はあれこれ悩んだ。
なんでも作れる僕は悩んだ。
そうだ。それなら。
花束を作ろう。
君の美しさを永遠に閉じ込めた、花束を。
君の瞳はラナンキュラス。君の唇は桜。
君の髪は藤。君の手はダリア。
君は花だ。
君で作った花束。
美しさを閉じ込めた、永遠の花束。
大事な君を、美しい君を、独り占めしてしまおう。
さて、どこに飾ろうか。
どこに隠してしまおうか。
「やさしくしないで」
「ねねー、ニンゲンしゃん!」「?」「はんこうき て、なあに?」「うーん……大人になりきれない子供が大人に反発したくなるお年頃……かな。説明しづらい……。」
「ふーん……。ありがと!」
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「ふーん……そんなことを聞かれて……「……や!やーなのー!」
「で、こうなったんだね?「やーやー!」
……なんか、ごめん……。
「ボク、はんこうき だもん!」
「⬜︎⬜︎、お着替えしようね?」「や!」
「それじゃあ、顔を洗おうか!」「やー!」
「……歯磨きしようね?」「やーやー!」
「ふーん……。それじゃあボクだって!」
「ニンゲンくん!」「よーしよし、いい子だー!」
「なんで自分が撫でられてるんだよ……。」
「あー!だめー!」
「へぇ?」「ニンゲンしゃんになでなで、めんめなのー!」
……申し訳ないが、怒っててもかわいい。
「それじゃあ……⬜︎⬜︎。」「んー……?」
「いい子だね〜!」「ん!やしゃしいの、めー。」
「へえ、嫌なんだ〜?なでなでやーめたっ!」「……やー!」
「やしゃしくないの、めっ!」「よしよ〜し」
「反抗期を続けてもいいよ、⬜︎⬜︎?」「や!」
「はんこうき おわりだもん!」
「それじゃあ、朝ごはんにしようか!」「ん!」
こうして小さな機械による反抗期は幕を閉じた。
反抗期───人々はおそらくこれをイヤイヤ期と呼ぶ……気がする───短いな……。
でも、この子にいちばん似合うのは笑顔だから、早めに終わってよかった。
「ニンゲンしゃん!ごはんたべよ!」
「うん。ありがとう。」
「みんな揃ったね!それじゃあ!」
いただきます!
「隠された手紙」
今日も仕事がてら、昔を思い出す。
小さなこどもたち───といっても私の造った機械なのだが───も無事元気に生きている。
仕事に役立ちそうな資料を見ている時、ふと思い出した。
研究発表のための資料を作ってもうこれ以上行うことはない、そう思って翌日発表を行った。
その時、どうやって紛れ込んだのか、こどもたちの書いたかわいい落書きが突然表示されたのだ。
笑顔の私たちの絵───これは⬛︎⬛︎が描いたのだろう───と、拙い字で書かれた「おとうさん だいすき」───こっちは⬜︎⬜︎のメッセージだ───。
ありがとう。嬉しいな。うちに帰ったらふたりを抱きしめないと。そう思うと同時に、顔から火が出るほど恥ずかしかった。
なにせ、私が自分の造った機械にお父さんと呼ばせていると思われるとなんだか気まずいというか、そういう趣味だと思われると恥ずかしいというか……。
さて、どう誤魔化すか……。
「かわいい絵ですね。お子さん、いらっしゃるんでしたっけ?」「あぁ、えーと……。」「そういや、博士は確か、将来宇宙管理士にするための機械を2機作られてたはずだよ。」「あー!」
「その子たちが描いたんですね!随分と懐かれてるみたいで、いいじゃないですか!」「どうも……。」「その子たちのお披露目はもう少し先ですよね!楽しみだなぁ!」「……ふふふ。」
……変な目で見られなくてよかった……。
そして、何よりもあの子達が歓迎されていることが嬉しい。
……そんなことを思うと、今すぐ帰りたくなってきた。
君たちのいる家に。
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なんてこともあったなぁ。
ふたりとも、今頃昼寝でもしてるかな?
楽しく過ごしてくれていたら、これ以上に幸せなことはない。
「バイバイ」
今日は悲しいことがありました。
というのも、文通を始めたばかりの方が開いたオープンチャットから私が強制退出させられ、その後に別の新しいオープンチャットを他のメンバーに紹介しているのをみたからです。
しかも、私について触れてくださったことのあるSNSのアカウントも消えていて、なんだか私に興味がなくなった、というか、私と関わり合いたくないような雰囲気を感じてショックを感じています。
これから彼女とどんなお話ができるんだろう、どんな素敵な時間が待っているんだろうと楽しみにしていた矢先のことだったので、すごく悲しいです。
ですが、それも仕方のないことです。
自分ではそんなつもりがなくても、彼女の気に障るようなことをしてしまったのでしょうし、おそらくチャットからの強制退出やアカウントの削除もその代償だったのだと思うしかありません。
とはいえ、私も人間です。正直言うと腹が立ちますので、時を改めて彼女との縁を切ろうと思います。
文通相手だった貴女、さようなら。
どこかで元気にしていてください。
「旅の途中」
もう2025年も2月に入ってしまいました!あっという間です!
実は私がここに来てから、もうちょっとで1年です!
読んでくださる皆様、本当にありがとうございます!
私がここで初めて書いたテーマは「花束」でした。
もし気になったら読んでみていただきたいところですが、探すのが難しそうな気もするので、「書く習慣」のサイトから探してみてください……。
はじめた頃から比べて、文章は上達した……とはいえないものの、若干堅苦しくなくなったような気がします。多分ですが。
ここでは時々テーマに沿って、公認宇宙管理士「マッドサイエンティスト」たちが登場する小説的なものを書いています。一年も経てば設定がそこそこ固まってきて、少し書きやすくなったように思います。ちなみに初期は、マッドサイエンティストの口が悪いというか、意外に辛辣でした。読み直してびっくりです!
そもそも機械が「愛とは何か」を知る話にしようと思っていたので、マッドサイエンティストの振る舞いは尊大かつ非感情的でした。ですが、話が進んでいく中(私の中では勝手に動いていくイメージです)で、だんだんと「この話では逆の方が自然かな?」と思い、のちに「愛を教える機械」を登場人物とする事に決めたのです。
第一話は「今日にさよなら」というタイトルですので、読んでみたい方はぜひどうぞ!(宣伝しまくり)
今は色々と落ち着いて、彼らの日常がテーマとなっています。ネタ切れではなく時間がなさすぎて書けないというのも正直ありますが、それをあえて「今日も一日ゆったり過ごせたなぁ」の象徴にしたいと考えておりますので、肩の力を抜いて、最近の作品を読んでいただけたら嬉しいです!
それでは、皆様改めまして、本当にありがとうございます!
今後ともよろしくお願いします⸜(๑⃙⃘'ᵕ'๑⃙⃘)⸝⋆︎*