「眠れないほど」
疲れた。今日もとても疲れた。
しっかり眠れないほどに、疲れてしまった。
何にも疲れるような要素なんてないのに、どうしてこんなに?
自分でもよく分かっていない。
そんな時には自分自身に聞く。
何かあった時はこうやって、不貞腐れきったもうひとりの自分に尋ねてみる。
「何か嫌なことがあったの?」
「どうしてこんなに疲れているの?」
「その涙はなんで流れているの?」
他人事みたいに、聞いてみる。
もうひとりの自分はこっちを見ずに答える。
「分かってるくせに。なんで嫌なことほじくり返すかな。」
お互いのために聞く。だってどっちも私だから。
「疲れすぎて睡眠不足のスパイラルになってる。イライラする。」
「誰も話を聞いてくれない。」
「もはや理由もわからず泣いてる。」
こういう時は美味しいアイスとか、ハーブティーとか、好きな音楽で自分を甘やかして、ゆっくりする。
そして、好きなだけ眠る。
……いつもこんなふうに休みたいのはやまやまですが、そううまくいかないのが現実です……。
皆様も無理なさらず、寒さに負けずにお過ごしください。
「夢と現実」
嫌な夢を見て目が覚めた。どんな夢だった……だろうか。
あっという間に忘れてしまったけれど、とにかく悪い夢だった。
こんなに寒いのに汗までかいている。
空気を吸いに起きようとした時気づいた。
小さな子どもの足が自分の胸の辺りに乗っかっていることに。
……全く、どんな寝相だよ。
起き上がろうとしたが、ふとこの子を起こさないかどうかが気になった。自分が動いたら自動的にこの子も動く。起こしたら可哀想だけれど、かといってこのままだったら自分が苦しい。
思い切って体を起こした。ふぅ、息がしやすい。
おちびはベッドで眠ったままだ。よかった。ところで……。
あんたは何やってんだ?
「なんだか苦しそうな声が聞こえてきた気がしたから、キミの悪夢でも録画してみようと思ってね……って冗談だよ?」
人の苦痛を茶化すな。「悪かったって!」
「……にしても、いい寝顔だと思わないかい?」
そう言いながら優しい眼差しで兄を見つめている。
「きっといい夢を見ていることだろう。」
……そうだな、こんなに安心した様子で眠ってるんだ。
きっと幸せな夢でも見てるんだろう。
夢……か。こいつと出会ってから、夢と現実の区別がつかなくなりそうなことばかり起きている。心を読まれたり、宇宙やらあの世やらに連れていかれたり。いまだに意味わかんないや。
もしかしたら、今この瞬間だって夢なのかもしれない。現実はないかもしれない。もしもこれが夢だったら……なんてことを考えても忘れるんだろう。
「ニンゲンくん」「?」「水、飲まないのかい?……悪い夢を見て、汗をたくさんかいただろう?」ああ、そうだな。
……こっちのあったかい世界が現実でよかった。
洒落臭いから実際に口にはしないけど───。
これからもよろしく。
「さよならは言わないで」
「さよならなんて言わない」貴方はそう言った。
君に寂しい思いをさせたくはないから、離れることもないよ。
そんな理由を話しながら私に微笑んでみせた。
でも、いつか終わりが来ることは分かっていたの。
悲しいけれど、別れの時は必ずやって来る。
その時は、「さよなら」の一言が欲しいと思った。
さよならと言わないことを求めながらそう思うのは我儘でしたか?……ええ、そうだったに違いないわ。今なら分かるの。
貴方はさよならも言わないでどこかへ行ってしまった。
ボロボロになった私のからだと、寂しさだけが残った。
あまりにも虚しかった。
悲しかった。
でも、いつかまた逢えることを知っているから。
私は、それでいいの。
ぽっかり空いた貴方の形をした穴を心に抱きながら、私はその時をいつまでも───待っているの。
「光と闇の狭間で」
闇に足をすくわれ、光に弄ばれる。
抱いた希望もいつかは絶望に変わって、全てが思っていた通りにいかなくて。
とても苦しくて。
それでも。それでも生きていかなくちゃいけない。
こんな現実を見なきゃいけないことも、これが真実であることも苦しい。
命ごと何もかも放り投げることもできないし尚更、ね。
でも、だからこそ。
みんなにはささやかな幸せを知っていてほしいんだ。
どんなだっていい。
穏やかな陽の光。きらめく水面。鳥の囀り。花の囁き。
温かいスープ。美しい旋律。優しい言葉。素敵な笑顔。
キミが、みんなが光と闇の狭間でもがいているのをボクだってよく分かっているよ。
だからね。
ボクはキミを、みんなを救う光になりたいな。
……なんてね、えへへ!
「距離」
キミとボク どれだけ距離があろうとも
心はずっと そばにあるから