Frieden

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「夢と現実」

嫌な夢を見て目が覚めた。どんな夢だった……だろうか。
あっという間に忘れてしまったけれど、とにかく悪い夢だった。
こんなに寒いのに汗までかいている。

空気を吸いに起きようとした時気づいた。
小さな子どもの足が自分の胸の辺りに乗っかっていることに。
……全く、どんな寝相だよ。

起き上がろうとしたが、ふとこの子を起こさないかどうかが気になった。自分が動いたら自動的にこの子も動く。起こしたら可哀想だけれど、かといってこのままだったら自分が苦しい。

思い切って体を起こした。ふぅ、息がしやすい。
おちびはベッドで眠ったままだ。よかった。ところで……。
あんたは何やってんだ?

「なんだか苦しそうな声が聞こえてきた気がしたから、キミの悪夢でも録画してみようと思ってね……って冗談だよ?」
人の苦痛を茶化すな。「悪かったって!」

「……にしても、いい寝顔だと思わないかい?」
そう言いながら優しい眼差しで兄を見つめている。
「きっといい夢を見ていることだろう。」

……そうだな、こんなに安心した様子で眠ってるんだ。
きっと幸せな夢でも見てるんだろう。

夢……か。こいつと出会ってから、夢と現実の区別がつかなくなりそうなことばかり起きている。心を読まれたり、宇宙やらあの世やらに連れていかれたり。いまだに意味わかんないや。

もしかしたら、今この瞬間だって夢なのかもしれない。現実はないかもしれない。もしもこれが夢だったら……なんてことを考えても忘れるんだろう。

「ニンゲンくん」「?」「水、飲まないのかい?……悪い夢を見て、汗をたくさんかいただろう?」ああ、そうだな。

……こっちのあったかい世界が現実でよかった。
洒落臭いから実際に口にはしないけど───。

これからもよろしく。

12/5/2024, 9:37:01 AM