「何もいらない」
大切なものも居場所も全て奪われて
ボクの大切な宇宙を維持すべく!!!
私はずっとひとりぼっち
ボクは彼らに時を捧げた!!!
寂しく重い思いを抱きしめて
なんとか原因は突き止められたが!!!
私は冷たい闇に体を潜める
場所がわからないぞ!!!どこへ行ったんだい?!!
私はもう奪われたくないの
キミを適切に管理しないのはあまりにも危険だ!!!
ただ私は
ただボクは
私のための、美しい世界で暮らしたいだけ
第217宇宙に暮らす彼らを、星々を守りたいんだ!!!
それ以外は何もいらない
それだけが望みなのさ!!!
ただ、ただそれだけでいいの
あ、でも桜餅がいっぱいあればもっと嬉しいね!!!
そのためなら私はなんだってするわ
宇宙のためにも、キミのためにも!!!
宇宙を破滅に導くことさえも
とにかく早く出て来てくれたまえ!!!
「もしも未来が見れるなら」
今日は雨。おまけにやることもない。
暇だと思ってネットサーフィンをしていると、「昔のひとびとが想像した〇〇〇〇年」の画像を偶然見つけた。
その画像を紹介するサイトでは、今からちょうど100年くらい前に「100年後にはこうなっているだろう」と専門家同士で意見を出し合って作られたと説明があった。
なるほど。科学技術があっという間に進歩したおかげでできるようになったこともあるが、それでもまだ実現していないこともある。
まあ「したいができない」と「する必要がなくなった」との間を区別はしなければならない。また、知れば知るほど、人間や社会に対して悪影響を及す可能性があるとわかることもあるだろう。
……そういや、自称マッドサイエンティストさんは未来を見ることが出来るのだろうか?
「勿論だとも!!!過去改変に未来予測、どんなことだって思うがままだよ!!!スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーーシャスなこのボクにできないことがあるとでも?!!」
……さすがだ。
もしも未来が見れるなら───。
「ん??」
「未来が見たいのかい???」
「楽しみはあとで取っておいた方がいいんじゃないかな」
「んまあキミがそこまでいうんだったら!!!見せるよ!!!」
「ただし!!!そこそこ細かく条件を加えてもらわないと演算処理が青天井になっちゃうからね!!!」
「とりあえずボクが思う『キミに最適化された未来』でも見てみるかい???それとも『最悪な未来』がいいかい……??」
「そうだなあ……こういうのもあるよ!!!『〇〇年後のキミが宇宙戦士コスモファイターとして爆発する未来』とか『何かと契約して魔法少女になって宇宙を終わらせる未来』とか」
は??なんて???
「アッコレネタバレになっちゃうかな……??」
今更何を心配してるんだよ。
「とにかく!!!『全ての可能性を排除できない』からこそこういう結果も出てくるんだよ!!!」
そういうもんなのか……。
「ボクから言えることがあるとすれば、キミはもうちょっと運動した方がいい、ってことくらいかな!!!」
「さて!!!おやつの時間だよ!!!何食べる??桜餅???」
それはあんたが食べたいものだろ?
今うちにはないから我m「さて!!!買いに行こうか!!!」
……はぁ。仕方ないな……。
桜餅を求めて、自分たちは雨の中和菓子屋まで出掛けた。
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……まさか未来について聞かれるとは思ってもみなかったよ!!
地球規模の予測ならある程度できるが、個人単位での予測は難しいからね!!!
とはいえ!!!ボクがキミに出会った以上!!!見捨てることなどできない!!!
だからボクは、キミが幸せになれるように、できることはする所存だよ!!!
……だからキミも、ちゃんと自分を大事にしてね!
「無色の世界」
私と「あなた」で作った世界
たくさんのものと星で彩られた素敵な場所
今では全て奪われてしまった
ただただ広がる無色の世界
温度もにおいもなにもない
隣に「あなた」はもういない
どうして私から居場所を奪うの?
どうして、貴方は私を置いていったの?
どうして、どうして?
「お忙しいところ悪いね!!!」
「あなたは……?」
「ボクかい?!!う〜む……マッドサイエンティストの端くれ……ってとこかな?!!」
「突然だが!!!キミ、ボクと組まないかい?!!」
「何が目的なの?」
「目的っていうかなんというか、ボクはキミの作ったあの空間に非常に興味があってね!!!ぜひ研究させてほしいんだ!!!」
「……思い出した。あなたはこの世界の全てを消したひと。そんなひとと仲間には、なれない。」
「まぁ、仕方ないか……。いーや!!!ボクだってこんな簡単に引き下がる訳にはいかない!!!」
「あの時は悪かったよ!!!あれはぱっと見消えたように見えているかもしれないが、実は何も失われていないのさ!!!つまり、復旧が可能ということだね!!!」
「……本当に、あなたを信じていいの?」
「もちろんさ!!!……交換条件として、こういうのはどうだい???」
「ボクがこの空間の復旧をするとともに、この世界をより頑丈なものにしよう!!!……そのかわり、この空間を共同で管理する権限をくれないかい?」
頑強に守られた、私のための世界。
「分かった……。でも、もう一つ条件を加えるわ。太陽と月が降った日に出会ったあの人をここに連れてきて。」
「……。難しいことを言われた気がするなあ……。まあでもそれも承知の上だよ!!!よろしく頼む!!!」
「それじゃあ(ボクが意図的に作った)ボクのうっかりでできてしまった脆弱なセキュリティポイントから入ろうか!!!」
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「さて!!!それじゃあ復旧(じゃなくて実際はただのプロジェクションなんだけど)を始めようか!!!」
街が、空が甦る。
あの美しい世界が甦る。
「どうだい?!!なかなかうまく出来ただろう?!!この調子で進められたら完全復旧の日もそう遠くはない!!!」
あれだけ作るのに時間がかかった世界を、こんなに早く、どうやって?
「それは……キギョーヒミツってやつさ!!!」
「それじゃあ、今日はこの辺で!!!次会う時は……ここが完全復旧した日にしようか!!!そのうち連絡するから、それまで待っていてくれたまえ!!!」
安心したのか、知らないうちに私は眠ってしまう。
次目覚めたのは、貴方たちが来た時だった。
まだ眠くて動けない。
違う。動かない。
私の体が、動かない。
どうして、どうして?
その時ハッとして、この世界の編集権限を確認した。そして気づいたの。私には何の権限もないことに。
だから私は決めたのです。
貴方に仕返しをすることを。
なのに、それすらも上手くいかなかった。それどころか私の大事な情報が抜き取られてしまったの。
どうして貴方達は私から全てを奪おうとするの?
どうして、どうして……?
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すまない。キミに恨みがあるわけじゃないんだ。
だがキミのことがわかっていくにつれて、なおさらキミを「あるべき場所」に戻さなくてはならなくなった。
きっとキミのことも救ってみせるから、もう少し待っていてくれたまえ!!!
「桜散る」
もう随分と暖かくなったもんだ。この辺りには桜散る季節が来たから、桜目当ての観光客もまばらになってきた。
「桜、もう散っちゃったか〜……。ちょっと前まで咲いていると思っていたんだけどな〜……。しっかしニンゲンは現金だなぁ!!!散ったらすぐに観にこなくなるじゃないか!!!」
……仕方のないことだ。ただの木を見ていても、そんなに楽しくないからな。
「む〜……まだまだ桜の季節を味わっていたいよぅ〜……あ、コレは……?!」
「ねぇ!!!八重桜はご存知かい?!!」
まぁ、一応。この辺りではあまり見かけないが。
「八重桜が見頃を迎えたらしいよ!!!一緒に見に行こうよ!!!」
どこまで見に行くつもりなんだ?
「えーっと、ココなら家から近いよ!!!行こう!!!」
まだ準備もしていないのに手を引かれる。ちょっと待て!
「うん??」
マスク。あと防護メガネ。
「あ〜……花粉か〜。……完全に多くのひとがイメージする不審者そのもの……って感じの格好だね!!!もうちょっと明るい色の服を着たまえよ!!!そしたら多少はマシになるんじゃないかい???」
まともな服がないからこのまま行く。
「そうかい……。まあいいか……。」
今日はさわやかに晴れている。
「いい天気だね!!!お花見日和だねえ!!!」
あんたはご機嫌そうに前を歩いていく。
「ほらほら!!!こっちこっち!!!」
そんなに桜が気に入ったのか。……よかった。
自分も自然と早足になる。
「着いたね!!!」
……こんな所に寺なんてあっただろうか?この町で暮らしてしばらく経ったからある程度は把握できているつもりだったが、意外と知らないことがあるもんだ。
「入場料はないみたいだよ!!!」
早速ずけずけと入っていこうとしているのを自分は止めた。一応、挨拶は忘れないように、な。
「おじゃましまーす!!!」
おじゃまします。
「うおー!!!コレが八重桜かい?!!華やかだねぇ!!!桜餅が木に実っているようで美味しそう!!!!」
見頃を終えた枝垂れ桜とソメイヨシノを横目に自分も八重桜のもとに歩いていく。確かに可愛らしい花だ。
花びらが何重にもなっていて、ふわふわの綿飴のようで……あれ?
「あ!!!ねえ!!!ここでも桜餅を売っているみたいだよ!!!食べようよ!!!」
そう言われると思って、お金は準備してきた。
「わーい!!!」
桜餅を食べながら、寺の庭を眺める。
古い木の香りと桜餅の香りで、なんとなく懐かしい気持ちになった。
「ここすごいね!!!色んな桜の木が植えられているし、桜餅も食べられるし、あと、あの建築技法は……!!!」
……古い建物のことを聞かれても答えられないぞ。
「そんな〜!!!」
でも、楽しそうでなによりだ。あんたは自分の時間を全て──殆ど眠りもせずに──宇宙に注いでいる。ぱっと見苦労しているようには見えないが、きっと計り知れない程の労力を現在進行形で割いているんだろう?そんな毎日だからこそ、こういう小さな喜びがあってもいいはずだよな……?
「そこまで深くは考えてないよ」
「んまぁでも、八重桜も見られたし、桜餅も食べられたし!!!今日は満足ってとこかな!!!」
「さて、帰ろうか!!!せっかくだからまた明日も来ようね!!!」
明日も、か……。でも、自分でもわかる。こういうゆっくり流れる時間が好きになっていく自分がいることに。
昼下がりの陽の光の中を2人で歩く。
そんな時ふと思った。
いつまで、こんなふうに過ごせるんだろう?
きっといつかは別れが来る。
桜の花が咲いて、やがて散るように。
きっと、いつか。
「そんなことを心配しているのかい?!!まだそんなことは考えなくっていいよ〜!!!それよりもさ、ほら、スーパー寄らない???桜餅、また食べたいんだよね〜!!!」
全く呑気なやつだ……。
でも、あんたらしくて安心したよ。
さて、スーパーにでも行くかな。
「夢見る心」
「おやすみ!」「おやすみ。いい夢見てね。」
よる の あいさつ の あと、 わたし は ねむる。きょう は ゆうえんち たのしかったなぁ! いつか わたし も おひめさま みたいに なれる かな?
゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚
……お〜い!お〜い!!
だれか が わたし を よんでいる きがする。
「ねぇ!!きこえる??」
ふわふわ わたあめ みたいな いきもの……?
「ボク の こえ!! きこえる??」
「うん! きこえるよ!」
「よかった!! ねぇ ボク と あそぼうよ!!いろんな ところ に いって、 いろんな こと を しよう!!」
わたし は あそびたかった けれど、 ちょっと かんがえました。
「でも、 しらない ひと に ついていっちゃ ダメ って いわれてるの。」
「だいじょうぶ だよ!! ボク が まもる から!!」
なぜか ほんとうに だいじょうぶ な きがして、 わたし は ふわふわ に ついて いきます。
しばらく あるくと、 とっても りっぱな おしろ が みえてきました。 ゆうえんち で みた おしろ よりも ずーっと おおきくて ごうか です。
「ほら みて!! おしろ だよ!!」
わたしたち は おしろ の なか に はいって いきます。 おしろ の なか は いろんな いろ、 いろんな キラキラした もの で あふれています。
「すてき でしょう?! キミ も この ドレス、 きてみない??」「いいの?!」「もちろん!」
「やったー! でも、 もっと みどりいろ の ドレス が きたい なぁ……」
「そっかー! それじゃあ、 こんなかんじ かな?」
「ちがうー! もっと あおっぽい の が いい!」
「こっちは どう?」「んーん! もっと うすい いろ の が いい!」
「うーん…… それじゃあ、 こんな かんじ、 かな?」
「うん!! この いろ が いい!!」
「よかった!! それなら、 ここの ドレス は ぜんぶ この いろ に するね!!」
「うん!!」
ドレス を きて おにんぎょう や ぬいぐるみ と いっしょに おちゃかい! ケーキ も おちゃ も すごく おいしい! たくさん おしゃべり して、 からだ も こころ も あったかく なりました!
「ごちそうさま でした! おなか いっぱい!」
「よかった よかった!! それじゃあ、 つぎ は なに する??」
「そうだなぁ、 わたし せいぎ の ヒーロー に なりたい!」
「せいぎ の ヒーロー か…… ちょっと め を つむって まっててね!」
わたし は ふわふわ の いうとおり、め を つむって まちます。
「おまたせ!!」
「わたし、 いいこ で まってた でしょ!」
「うん! キミ は とっても いいこ だね!」
「……あっ、 みて! あそこ に わるい かいじゅう が あらわれたよ! ヒッサツワザ で やっつけちゃえ!!」
「えーい!」「やぁ!!」
「そうそう! その ちょうし!!」
「いまだ!! ヒッサツワザ の でばん だよ!!」
「わたし の ひっさつわざ! うけて みなさい!」
もっていた まほう の ステッキ から キラキラ が でてきます!
それ は どんなに わるいコ でも やさしいコ に かえちゃう まほう!
わたしたち と かいじゅう は すっかり なかよし に!
かくれんぼ や おにごっこ を して たくさん あそびました!
ほかに どんな こと を しようか みんな で かんがえて いる とき に ふわふわ が いいました。
「あ、 もう こんな じかん だ!! もう もとの せかい に もどらないと!!」
こんなに たのしい のに。 まだ あそびたい のに……。
「ごめんね。 でも、ボクら は きっと また あえるよ! キミ が 夢見る心 を わすれなければ、 ね!」
わたしたち は ここ で であった みんな と また あう やくそく を しました。
「キミ も げんきでね!」
「ちょっと まって!」
「どうしたんだい?」
「また あえた とき すぐ わかる ように、 ふわふわさん の からだ の いろ、 さっき きた ドレス と おんなじ いろ に してよ!」
「こんな かんじ かな??」
「そうそう! それから、 おめめ は おほしさま みたいな にじいろ に して!」
「こう かな??」
「じょうず じょうず!」
「これで また あった ときに きづいて もらえるね!!」
「うん! それじゃ、 またね!」
「ありがとう! またね!」
おわかれ の あいさつ を した あと、 わたし は め が さめました。
゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚
「おはよう!」「おはよう。」
あさの あいさつ を した あと、 わたし は おとうさん と おかあさん に ゆめ の おはなし を します。
「わたし、 きょう すっごい ゆめ を みたの!」
「いいわねぇ。」「どんな夢だったんだい?」
「えーっと、 わすれちゃった!」
すごい ゆめ だった はず なのに わすれて しまう なんて ふしぎで たまりません。
そうおもって、 わたし は あさごはん を たべました。