Frieden

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3/4/2024, 2:58:24 PM

「大好きな君に」

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「ぼく」は「きみ」にあいたい
でも「きみ」はいなくなってしまった

「きみ」はこの世界から消えてしまった
「ぼく」の記憶とともに
なぜ?どうして?

記憶を消されてしまったから ぼくにはなにもわからない
わかったとしても ぼくは「無力化」されてしまったから
なにもできない 存在していることすら許されない

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「きみ」は「ぼく」に たくさんのものをくれた
記憶も力も全て消えてしまったけれど
最後まで「ぼく」の中にはきみからもらった「愛」は残っている

大好きなきみに会えるまで ぼくは永遠に走り続ける
また会えるその日まで ぼくのことを忘れないでね

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3/3/2024, 4:49:13 PM

「ひなまつり」

「やあキミよ。ちょっと気になることがあるんだが!!!聞いてもいいかい?!!」

なにが気になるんだ?

「今日は『ひなまつり』なんだろ??ひなまつりってなんだい?」

3月3日はひなまつり。桃の節句の日で、女の子の健康な成長を祈願するためにひな人形を出したりちらし寿司などを食べたりする。

「へーー!!!ためになるなあ!!!教えてくれてありがとう!!!」

「んで、ついでに聞いてもいいかい??キミがスイーツを買うなんて、珍しいね!!!急にどうしたんだい??」

おひなケーキか。安かったから買っただけだ。

「ふーん。たしかに季節感は大事だもんね!!!おお!!!ボクの分もあるのか!!!んじゃ、いただきます!!!うまい!!!」

たまには年中行事を楽しむのもいいか。
そう思って自分もケーキに手をつけた。

3/2/2024, 4:48:27 PM

「たった1つの希望」

ぼくは彼岸に生まれ変わった。
狭いのか広いのかわからないこの世界で、ある時きみと出会った。

それから、きみはどういうわけか、この宇宙の全てを取り込んでいった。
「Xjlro」というメッセージをぼくに送りながら、宇宙の滅亡を目論んでいるのだろうか。
時間をかけて修理した観測機器のモニターを見つめながら、ぼくは恐怖に打ちひしがれた。

観測できる事象がないことを現す「0」の数字に混じって送られてくる「Xjlro」という意味のわからない文字列。
ぼくは彼岸の者だから、宇宙に干渉することはできない。

ぼくは、どうしたら。
なんにもできないこのぼくは、一体なにをすればいいんだ?

絶望しながらモニターをよく見ると、あることに気がついた。
このコマンドを使えば、どこかにメッセージが送れる!

そうとわかったから、ぼくはひとつだけ登録されていた「IFO-712」という連絡先に一言「Help」とだけメッセージを送った。もし誰かがこれに気づいてくれたら、ぼくは助かるかもしれない。

この世界に来てから待つのは得意になった。
しかし、本当に送れているのだろうか、気づかれないまま放置されないだろうかと不安で仕方がないままだ。

「0」「0」「0」「Xjlro」「0」「0」……

「Replying: Hi!!! Can u read this message??」

思っていたよりもずっと早く返事が来た。

「Yes! Thank you for finding my message!」
「Replying: Are u really in that space?!」
「Yes. I’m here.」
「Replying; OKAY ;-) We’ll pick u up!!!」

英語が少しだけわかってよかった。どうやら助けてもらえるようだ。しかし、実際助けが来るまでどのくらいかかるのかがわからない。

それでも、ぼくにとっての「希望」を見つけることができた。それだけでも、十分すぎるくらいだ。
よかった。本当に、よかった。

たった1つの希望を胸に抱き、ぼくは久しぶりの眠りについた。

3/2/2024, 3:59:57 PM

「欲望」

宇宙の危機を救うべく立ち上がったひとりと巻き込まれたひとり!!!タッグを組んでから早数日!!!進捗状況は一切変わりなし!!!

「キミもちったぁ協力したまえよ!!!ボクはデータを読み込んだだけでニンゲンのロジックや感情を十分に理解したと言いたくないのだよ!!!だいたいの世の中、ダブルチェックは必要だろう?!!」

わめくついでに3割引のコロッケを勝手に食われた。
こっちだって色々やることがあるんだ!
おまえほど暇じゃない!

「マッドサイエンティストのボクをおまえ呼ばわりするとは!!!キミのSNSのアカウントを特定するぞ!!!」

持ってないからしても無駄だぞ。

「えー……っと、じゃあ本籍地をフリー素材にしてやろうか!!!」

別にいいよ。自分の本籍地、武道館の住所を登録してるから。

「あ!!!推しのアイドルが武道館ライブを開いた記念かい?!!キミにも意外な面があるもんだなあ!!!」

別にそういうのではない。
自分、特に趣味も特技も推しもないし。

「えぇ……理由もなく本籍地を武道館に……??」

「というかキミ!!!ニンゲンのクセして欲がなさすぎる!!!さすがのボクも心配だよ!!!」
「そんな生活続けてたら、学校や職場があるうちはいいが老後に引きこもってサルコペニアになり、果ては誰にも気づかれないまま命を終えてしまうぞ!!!もっと欲望を持ちたまえ!!!」

そんなことを言われても困る。第一、自分のやるべきことだけで手一杯なんだ。それから、欲望を持ったところで自分を満たせるかどうかは別だ。慎ましく暮らすくらいが自分にはお似合いだろう。

「まだまだ若いのに、そんな修行僧みたいなことを!!!欲望で身を滅ぼすのは確かに愚かなことだが!!!少しぐらい夢を見たまえよ!!!」

「とにかく!!!宇宙の危機の原因特定のためにも!!!もっと生き物らしく、キミと一緒にやりたいことを増やしていこうじゃないか!!!」

欲望を持てと言われても、自分にはよくわからない。できれば何もせず、ぼーっとしていたい。

「よーーしわかった!!!これからはボクがキミの「やるべきこと」を最大限サポートしよう!!!だから、データ取得のためにもキミはもちっと自分が生き物である自覚を持ちたまえ!!!」

はぁ……。わかったよ。内面がまるでない人間で———「いいかい?!!復唱したまえ!!!」「キミは!!!」「きみは」「素晴らしいニンゲンだ!!!」「すばらしいにんげんだ」「だから!!!」「だから」「もっと欲深く、好き勝手に生きていく!!!」「もっとよくぶかく、すきかってにいきていく」

「これでよし!!!それじゃあ今から、たらふくアイスクリームを食べて!!!新しい本を読んで!!!欲しいものがないかAmaz〇nを見まくるんだ!!!そして得た情報をボクに報告したまえ!!!」

本当にコレが役に立つのか?色々と疑問は残るが、なんとなく自分は少し解放されたような気分になった。

キミもボクくらい知識欲があればなお良し、そう言いながら君はまた勝手にアイスクリームを満足そうに食べ出した。

果たして、彼らは宇宙を救うことが出来るのか……?!!
何かを思いついたら多分続く……。

3/1/2024, 10:18:07 AM

「列車に乗って」

今日は休日。そして晴れ。ついでにやることなし。
寝起きの頭でなにしよ〜かとぼんやり考えてたら、
早起きのきみが元気はつらつな声でこう言った。
「今日はお出かけしよう!!」

たしかに天気も良いし、これ以上ないくらいお出かけ日和だ。
「いいね。どこに行く?」
「ちょっと遠いけど、アネモネのお花畑見に行こうよ!
今見頃だってテレビで言ってた!」

最近は良くも悪くも昔ほど季節感を感じられる機会が減ってきたよなぁなんて思いつつ、きみが作ってくれた朝ごはんの目玉焼きトーストを頬張った。シンプルでありながらも美味い。

「あ!ちょっと待ってて!せっかくのお出かけだからちょっとおしゃれをしてきます!」
そう言いながらきみは自分の部屋に戻って行った。

ぼくも気合いをちょっとくらいは入れた方がいいかと思って、タンスの奥から引っ張り出してきたおしゃれ着を来た。あんま似合ってないな……。

準備を済ませて家を出た。「駅まで5分!」が売りの物件だが、実際には10分くらいかかる。近いのか遠いのかわからない駅まできみとゆっくり歩く。

「ねーねー」
「?」
「マネキンの服、そのまま着せられたみたいな格好だね」
「そんなに似合ってない?」
「似合ってないっていうよりかは、もっと似合う服がある気がするんだー」

「あ!電車来ちゃう!急がないとー!」

ぼくらは列車に乗ってアネモネ畑に向かう。
彼女は本当に楽しそうにしているが、ぼくは久しぶりの外出なのでちょっと緊張している。

他愛もない話をしながらしばらく列車に揺られていると、目的の駅にもうすぐ着くアナウンスが流れた。

駅からしばらく歩いたが、一向に着く気配がない。
「道、間違ってない?」
「んーん。こっちで合ってるよー!」

一応スマホで調べてみたら、確かに道は合っているらしい。
「それにしても遠いな」
「そうかなー?いい運動になるんじゃない?」

だだっ広い畑を、古ぼけた街並みを抜けると、ようやくアネモネ畑が姿を見せた。あたり一面をたくさんの花が彩っている。
赤。ピンク。紫。青。結構種類があるんだな。

「うわ〜!キレイだねー!」
そう言いながら、きみは子どもみたいにはしゃいでいる。
「見て見て!このアネモネ、わたしのワンピースとお揃いの色してる!」

楽しそうにしているな、そう思っているときみは不意に振り返っていたずらっぽく微笑む。
「写真、撮らなくていーの?かわいいわたしの姿を収めておかなくて?」
「そうだなー。せっかくだから撮っておくか」
「ツンデレさんめ〜」

ぼくは何枚も写真を撮った。きみとの思い出が、花の色が色褪せないうちに。

気がつけば、ぼくらは夕暮れ時を迎えていた。
「じゃー、そろそろ帰ろっか。」
きみは少し寂しそうに言った。

もうそんな時間か、そう思って元来た道を戻ろうとすると、
きみは逆の方向にぼくの腕を引いた。「あ!こっちだよー!」

なんで違う道を行くとするのか聞こうとしたところで気がついた。駅がある。

「ふふふ、驚いた?ほんとはここが最寄り駅なんだけど、きみと少しでも一緒にいたくて……。」

そんなことしなくたって、きみが望む限りぼくはずっとそばにいるのに。
そう思いながら帰りの列車で夕焼けと花畑を眺めていた。

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