たとえ間違いだったとしても
最初から分かりきっていた。
けして、手の届かぬ存在だと。
恋人や仲間なんて烏滸がましいことは言わない。
あなたが私を見てくれるのなら、貴方の瞳に一時でも収まれるなら
「ようやく見つけたぞ…!この悪魔め!」
いっそ敵同士の関係ですら、幸せになれるの。
何もいらない
美しい髪も、陶器のような肌も、宝石のような鱗も、天使のような歌声も、
あなたの前ではなんの価値もないの。
どんなに素敵な王子様も、明るい港町も、億万の価値のある財宝でさえ、
あなたに捧げるには紙屑以下の価値でしかない。
ねえ、魔女様。
貴方の全てに頬擦りしたい。
他に何もいらないのです、あなたが望むならば全て差し出しましょう。
一体貴方に何を捧げれば貴方は私のものになるのですか。
もしも未来が見えるなら
未来が見える望遠鏡、というものがあるらしい。
偶然其れを拾った僕は興味半分で覗き、ガッカリした。
「なんだよ、ただ絵が貼り付けられてるだけじゃないか。」
つまらなくなった僕はぽいとそこら辺に望遠鏡を放り投げ近くの自販機にとっくに目を向けていた。
だってあの望遠鏡には無限に広がる荒野しか見えなかったのだから。
無色の世界
白い、白い紙に一滴の墨汁を垂らすように。
君の中に僕という汚点を滲ませる。
どんなに美しいものも
少しの穢れさえあればその後は一気に下落するんだ。
さぁ落ちてきておくれ、僕の聖女、オルレアンの乙女、クリミアの天使。
神などに渡すものか、穢れたこの世界で無色に彩られる君を引き摺り下ろしてやる。
無垢な君に、愛していると嗤った
桜散る
視界をピンクが占拠した
春真っ盛りの戦場は
カラフルに前線が塗られてく
桜並木の弾丸に
私の視界は釘付けで
ふと目が合った
桜色に染まった君に
私は今、恋をした
弾丸の如く駆け抜けた
君への私の恋心
白旗さえも染まってく
対抗手段は恋刀
さあ狼煙を上げろ
君と僕の恋の戦争
春に彩られた僕の想いは
桜吹雪と交わって
君の視界を覆ってく
散ることさえも許されぬ
見た瞬間に高鳴った
満開で浮かぶ桜前線
始まったばかりの恋の戦争
散るにはまだ早すぎる
葉桜さえも奪い取り
君への想いを咲かせよう