“好きな色”
「水色」
海の色、空の色、水の色、雨の色、
涙の色…
私の心の色
いつの間にか、私の心は涙に支配されている
何があっても悲しい
とにかく悲しい
でも、誰もそれには気づいてくれない
ただ、ひとりで悲しいのだ
楽しいことも楽しくない
面白いことも面白くない
自分が一番、つまらない人間だ
それがずっと続いている
誰にもわからない感情の中に
私は今いる
ただそれだけ
「あなたがいたから」
―はじめまして―
右も左もわからなかった。
突然隣に現れたから。
朝も晩もずっと一緒。
なんで隣にいるのか、そんな状況が、ずっと不思議だった。
思ったよりも大変だった。
そりゃそうだ。生きてるんだもの。
泣いて笑って寝て怒って、全ての感情むき出しで、私を頼ってくる。
でも、意外と簡単だった。
優しく包みこんであげれば、安心していた。
手はかかったけど、ほんとにほんとにかわいかった。
全力で私のことを好いてくれた。
その小さな身体で―
今は私よりも大きくなって、もう包みこめないけど、
ずっと見守っていくの。
あなたのおかげで、私は母親になれたから。
人生最大のプレゼントをもらえたから。
ほんと、ありがとう。
“相合傘”
憧れの先輩に告白。
晴れてお付き合いすることに!!!
これから梅雨の季節。
相合傘が待ち遠しい。
“落下”
落ちる―――
目の前でマグカップが傾く。
ジャンプしてきたキジトラのマーロの後ろ足が当たった。
マーロも気づき、すまなそうに俺を見る。
―ダメなんだ、それは―
彼女がどこか旅行に行った時に買ってきてくれた。素焼きの一点物らしい。
―マグカップぐらいは大切にしてね―と、いい加減な俺にわざと嫌味混じりに言った。
これは大事にするんだと決めたんだ。
俺の身体は宙を舞った。
次の瞬間、凄まじい音とともに、積み上げた本やガラクタが崩れ落ちる…そして、俺も床に打ち付けられた。
マーロは慌てて隣の部屋へ逃げていったらしい。
俺は…仰向けになったまま、天井を見つめホッと胸をなでおろす。
こんな時に、野球部で培われた瞬発力が急に発動された。
―間に合った…―
“未来”
―未来に希望を持って生きよう―
なんて綺麗事だ
希望を持つだけ馬鹿をみる
だって、現実は容赦無い
いくら頑張っても、いくら我慢しても、
だからいい結果になるとは限らないから
私はそっちの部類の人間だ
でも、そんな言葉を投げかける人は悪い結果になったことがない部類なのだろう
あるいは、考え方がポジティブすぎるのか…
その類いの人は気の持ちようだという
でも、違うんだよ
ちがうんだ
気持ちだけじゃどうにもならない事があるんだ
それを、わかってほしい
な!