六華

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8/14/2025, 1:25:13 PM

『君が見た景色』

君がいる場所からは
どんな景色が見えてるんだろう

ロジンバッグをにぎる
帽子をかぶりなおす
振り返ると
絶対的信頼できる仲間の姿
スタンドをうめつくす応援団
投球準備にはいる
目の前にいるのは一番の理解者
どんなボールでもとってくれる
ただミットだけを見つめ投じる
打者を打ち取るために
みんなが目指すゴールへと
狙ったところに 一球一球 丁寧に

あと少し
もう少しがんばれば
投じた球は
スタンドに運ばれた
静まりかえるスタンド
張り詰めた糸が切れた
それでも君は投げ続ける
一球 また一球
投げても 投げても…
マウンドに駆け寄る
絶対的に信頼できる仲間たち

君がいる場所からは
どんな景色が見えてるんだろう

君は最後のバッターボックスに立つ
バットが2回空を切った
息をはいて空を見上げる
バットをにぎりなおす
ストラーイク!バッターアウト!!

わたしはスタンドをかけおりた
君と同じ景色を見るために

8/14/2025, 3:19:52 AM

『言葉にならないもの』

果てしなく広がる雲海

8/12/2025, 3:08:46 PM

『真夏の記憶』


電話がなった
『生きてていいのかな…』
『苦しくないんだ』

明るいうちにお風呂に入り
浴衣を着る
すこし早めの夕ご飯
熱々のとうもろこし
トマトに砂糖
真っ赤なスイカ
特別な夜
提灯にろうそくを灯し
暗い道を
少し怖がりながら
歩いてく
でも大丈夫
前を歩いてくれる
大きな背中をたよりながら
わたしはついていく
こわくない
平気だよ
大丈夫
だよね?
平気 
わたしは走る

どんなかたちでもいい
『生きて』
生きてと願う
なんで
どうして
ダメだよ
わたしじゃないの
生きなきゃだめだよ
また一緒にナポリタン食べようよ
いつも優しくしてくれた
助けてくれた
助けてよ
やだよ
あの時 優しくできたら
優しくなくてごめんなさい
ほんとにごめんなさい
ごめんなさい
花火
見える?
見て!
見てよ
そこからは見えないよ
ここにいるよ
聞こえる?
わたしじゃダメだよ
わたしじゃダメなの
聞こえる
聞こえるよね
みんないるよ
わかるよね
わかるでしょ
そんなことしたら
わたしは
ずっと
きらいになるよ
なるわけないでしょ
わたしではない
みんな泣いてる

真夏なのに
こたつをつけた
あたたかい
ちょうどいい
外はどしゃ降り

8/10/2025, 3:07:33 PM

『やさしさなんて』

六華さん

かわいそう

かわいそうじゃない

かわいそうでしょ

かわいそうだから

ほんと やさしいね
ありがとう…

8/9/2025, 1:27:07 PM

『風を感じて』

イクラが高価なものだと
大人になるまで知らなかった
ごはんの白がなくなるほど
イクラをかけてごはんを食べるのが
当たり前だったから

山田丸
父の船の名前だ
船といっても 漁師ではない
この辺の人は許可を取ってシャケ漁をしていた
秋になると 一晩帰ってこない
みんなシャケ漁に夢中だった

泳げないわたしは
海やプールが苦手だった
でも 川に行くのは好きだった
父が船に乗せてくれるからだ
足元は真っ暗 
昼間とは違う静けさ 
片足をついただけで大きく揺れる
コワイ… 船から落ちないように慎重に乗る
父が船外機のエンジンをかける
動き出した船は どんどん加速していく
あの頃のわたしが
どんなに早く自転車をこいでも
感じられない爽快感
父が川に夢中になる気持ちがよくわかった
川はいいぞ
船に乗っていると
何も考えなくていい
イヤなこと全部忘れられる

網を投げる
あとは何も考えずに船を走らせる
わたしはだまって船が進む方向を見る
船を降りると顔が少しヒリヒリした

あとになって
父もカナヅチだと知った
もう山田丸に乗ることはない
川はいい
今日もわたしは
堤防の上に立ち
川風の気持ちよさを感じている

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