『真夏の記憶』
電話がなった
『生きてていいのかな…』
『苦しくないんだ』
明るいうちにお風呂に入り
浴衣を着る
すこし早めの夕ご飯
熱々のとうもろこし
トマトに砂糖
真っ赤なスイカ
特別な夜
提灯にろうそくを灯し
暗い道を
少し怖がりながら
歩いてく
でも大丈夫
前を歩いてくれる
大きな背中をたよりながら
わたしはついていく
こわくない
平気だよ
大丈夫
だよね?
平気
わたしは走る
どんなかたちでもいい
『生きて』
生きてと願う
なんで
どうして
ダメだよ
わたしじゃないの
生きなきゃだめだよ
また一緒にナポリタン食べようよ
いつも優しくしてくれた
助けてくれた
助けてよ
やだよ
あの時 優しくできたら
優しくなくてごめんなさい
ほんとにごめんなさい
ごめんなさい
花火
見える?
見て!
見てよ
そこからは見えないよ
ここにいるよ
聞こえる?
わたしじゃダメだよ
わたしじゃダメなの
聞こえる
聞こえるよね
みんないるよ
わかるよね
わかるでしょ
そんなことしたら
わたしは
ずっと
きらいになるよ
なるわけないでしょ
わたしではない
みんな泣いてる
真夏なのに
こたつをつけた
あたたかい
ちょうどいい
外はどしゃ降り
8/12/2025, 3:08:46 PM