◎嵐が来ようとも
嵐が来ようとも、
私は此処に”来る”んだよね。
”閉鎖された東京”
”歴史を守る本丸”
”人々を守るヒーローの傍ら”
”人の歴史の特異点”
”協調性の無いカレッジ”
”ザ•スケルド”
”偉大なる航路”
そして、
”白い紙の上”
私が私であるための
日常から少しズレた場所
今日は
どんな景色が見えるかな
どんな子に会えるかな
どんなストーリーがあるかな
どんな色かな
毎日覗いて
笑って
泣いて
これが
嵐になんて負けない
私の日常
◎お祭り
お囃子の音がだんだん遠ざかる。
人の話し声が聞こえなくなっていく。
私の手を掴む少年は歩みを止めない。
何処行くの、なんて聞かない。聞けない。
口が動かない。
ただ足が少年に付いていく。
正面に灯りが見えた。
さっきとは調子の違うお囃子が鳴り響く。
此処の神社、こんなに鳥居は多かったっけ。
真っ赤な鳥居をくぐり抜けて階段を登り続けると、大きなお堂が見えた。
お堂の扉が少し開き、
そこから腕だけにゅっと伸びてきた。
「さぁ、このお酒をどうぞ」
受け取った盃からよい香りが立ち昇る。
とても美味しそうで、ひと息に飲んでしまった。
「ようこそ我らの世界へ」
少年は紅い目を細めて
”手の甲で”柏手を打った。
「かくれんぼをしましょう」
神様から隠れるのです───
少年はからからと笑い、再び私の手を引いた。
「まいりましょう?あそびましょう?」
「……うん」
ひとつ頷いて私は手を握り返した。
祭りの夜、
出されたお酒を無闇に飲んではいけない。
それを飲むのは了承の意とされる。
人の子は簡単に隠されてしまう。
人と人ならざるモノの境界線が
曖昧になる夜だから。
◎神様が舞い降りてきて、こう言った
神様が舞い降りてきて、こう言った。
『よいですか。貴方は今から天に登らないといけません』
「なぜでしょうか」
何か悪いことをしてしまったのでしょうかと聞くと、神様は微笑んだ。
『貴方の身体はとうに朽ちてしまっているからです』
よく見なさいと言われ、じっと指先を見つめる。
指先はほんのり透けていた。
「あぁ、私は死んでしまっているのですね」
神様の腕に包まれて一人の魂が浄化されていった。
これは誰にも知られることのない
”死神の”日常である。
◎鳥かご
自分の一生を籠の鳥と例える人が居るでしょう。
誰にも知られず縛られず関わらずに、産まれて死ぬことができたらその人の籠は無くなるかも知れないが、そんな人はこの世には居ない。
誰もがそれぞれの大きさの籠に囚われている。
貴方にとって自由に見える人もそれまでの人生、価値観、周りの期待に囚われている。
死後、人々はその体を籠へと変化し、その中に自身の魂を留めて楽園と称した。
その籠を管理する男は今日も彼等の楽園を覗き込む。
新しい籠の中は美しさを保って輝いている。
蔵の奥の古い籠の中は、籠の主が平穏に飽き刺激を望んだ結果が歪に楽園を変質させていた。
「人は、死後も自身を自ら閉じ込めて平和を謳い、そしていつしか狂いゆく」
哀しい憐れで愚かな生き物だね。
そう言って、男は古い籠を持ち上げた。
「周りに悪影響が出る前に処分しなきゃ」
蔵の外に向かう男の背後で、数多の楽園は輝きを放っていた。
◎花咲いて
花咲いて
揃う三振り
三名槍
本丸来たる
蜻蛉切かな
槍レシピでやっとのことで
蜻蛉切をお迎えできたお祝い🌸
日本号
↓
御手杵
↓
蜻蛉切 の順番でお迎えしました。
一個前のテーマで書いたって良いよね!