『君を照らす月』
昼は太陽を浴びるのが好きな君
夜は月を眺めるのが好きな君
特に夜の月は好きみたい
わざわざ誘いに来るほどで
君が月を好きなように
月も君を好いてるような気になる
ふと思う
狼男のように
満月になると人が獣になるのなら
その逆の獣から人になるんじゃないか?と
ちょっと妄想を膨らませることがある
もしも君が人の形をするならば
……どんなふうになるのかな
ちょっと―――
いや、すごく気になる
〜シロツメ ナナシ〜
『木漏れ日の跡』
あの子が旅立って
もうどれくらいたったっけ
写真を見てふと思い出す
初めてうちに向かい入れた子は
わずか数ヶ月で虹の橋を渡って行った
当時の私には衝撃すぎて
泣く以外の行動ができなかった
今でこそ、また新たに
うちに来てくれた子達がいる
最初の子は数ヶ月しか
一緒にいなかったが故か
その鳴き声や容姿を
写真でしか思い出せなくなった
だが……
あの子がいた事実は
私の中でたしかに残ってる
今いる子達も
大なり小なり病気になるが
前ほど怖くなく、
ひとつずつ乗り越え、治ってくれる
最初に来た子は…
今も私の、木漏れ日のような存在で
気づかないと気づかないほどの
日差しをそっと―――
私に指し続けてる気がする
〜シロツメ ナナシ〜
『ささやかな約束』
あなたへ―――
ばいばい!また明日ね!
――――――わたしより
〜シロツメ ナナシ〜
『祈りの果て』―Link『心の迷路(前日作)』
………………夢を見た
見たのは あの「繰り返す夢」―――
また同じところから始まる
神社のような場所、
その真ん中の建物に自分が寝ていて
周りを見れば赤暗い空
その部屋の中にも外にも人が談笑して
友人や知人もそこにいた
さあ、そろそろ行こっか
この夢は、何回繰り返したか……
たぶん……10回は繰り返してる
まだギリギリ数えられそうだけど
そろそろカウントしてるどころじゃ
なくなってきた
だがここまで無収穫じゃない
幾つかわかったこと
このたった数分の出来事は
必ず同じ流れでループする。
この世界の全ては
自分の心や考え方の擬人化や
光景として変化したもの
あの赤い雷もなにかの本音が隠れていて
友人や知人、知らない人達でさえも
自分の何らかの気持ちや本音の擬人化
この後出てくる3人の祈祷師たち
あれも自分の何らかのための存在で
部屋にほとんど何も無いことさえも
私になにか伝えるためのヒント
殴りかかれないし
殴れてもビクともしない
持ってるものは奪えないし
壊すことも出来なかった
ループをする事 7、8回目の時、
私は光るかけらのようなものを手に入れた
赤い雷が鳴ったあと、
3人の祈祷師が現れ、友人たちは
その人たちの前で拝み、土下座をし、
そしてひとりの祈祷師の鏡の中に
紫色の煙に徐々に変化し、
その中に吸い込まれて行ってしまう……
吸い込まれ終わったその時、
右にいる祈祷師が
手に何かを持っていることに気がついた
それに気づいてすぐ手に取ると
……やはり来た、
そう、2人が吸い込まれたあとは
私はすぐに意識が急激になくなる
そうなる前に欠片に手を伸ばし
手中に収める
……どうだろう?
次目を覚ます時に……かけらが……
手にあれば………
いい…………………
けど……………………………………
―――――――――
――――――
―――
………………目を覚ます
まだ夢の中
同じことを繰り返されてる
手には…………かけらが
ふたつ
よし、一部は受け継がれてるらしい
けど使い方がわからない……
さあ、そろそろ行こっか
いつもの調子で発する言葉
とにかくダメ元で友人たちに掲げてみる
何も起こらない……
その後すぐに赤い雷がなる
また吸い込まれるのか……
だが何もしないよりはいい
赤い雷がなったあとは
自分も体が動きづらくなるが
どうにか動かし、もう一度
友人たちに欠片をかざしてみた
かけらは光だし、
友人たちそれぞれの胸元に宿されて行った
やった!
何が起こる!?
すると友人のひとりが
無表情のまま、泣き始めた
どうした!?なにがあった!?
ダメ元で話しかけてみたが
ポつりとひとつ、つぶやいた……
(……俺だって……本当は……)
そう言っていた
……本当は……?
そう言い残してまた煙に変わっていく
だが今度は紫じゃなくて
青色の煙に変わっていき
また鏡を持つ祈祷師の鏡に
吸い込まれて行ってしまった……
「――――――道は変わった」
!?
左にいる祈りの棒?を持った人が
口を開いた
道は変わった?
―
ここはお前を守る最後の砦のような場所
本音に近い場所だ
つまり、お前の我慢を溜め込んでいる場所
吸収できる量は毎日限られている
だがそれだけじゃない
ここにはお前自身の望みや夢といったのもまで
来てしまうようになってしまった
友人たちの形をしているのは
簡単に言えば望みや夢、些細な願いだが
それさえも優先的にここでは吸収される
吸収されたモノは取り出すことが難しい…
ここは辛さを消すところだが
同じように望みも一緒に消してしまう
お前は必ず持っておけ
持てるだけの望みを持ち
使って自分のチカラに変えろ
私から言えるのはそれだけだ
―
……どうしてこんな形で教えたの?
―
こうでもせんと
自分で自分に気づかない
次に会う時はまた違うかたちの
夢の輪廻で、会うことになるだろう
私はそうならないことを願うがな
―
…………
―
……ゆけ
お前の出口は
あの鏡の裏側にある
顔を近づけ、出ることを祈れ
ただし、望みを持つことを
それを叶えることを考えながら
そして二度と合わぬことを
私たちは切に願っている
ここはお前にとっても
そして皆にとっても、
辛い場所だからな
―
………………
話終えると、また蝋人形のように
固まってしまった
……いや、自分の役割に戻ったのだろうか
鏡の……裏側……
念の為、鏡の正面も確認したが
そこには白く濁った光景だけで
特に何も写し出していなかった
だがなぜか……
何も見えないはずなのに
なんとなく……寂しい気持ちになった
いこう、鏡の裏側を改めて確認した
そこには特に何も無く
丸い模様があるだけの
ただの背面でしか無かった
そこに向かって念じてみた
ここから出ることを、
望みや願いを持つことを、
そしてそれを……叶える自分の姿を
背面が光り出し
自分が白い煙に覆われていく
いや、白い煙に変わっていってるんだ
痛みも恐怖も何も無かった
その光の中に、
ゆっくり吸い込まれていく―――
―――――――――
――――――
―――
…………………………目が覚めた
現実、ベッドの上、肌寒い朝、
猫がお腹の上で寝ていて
喉を鳴らしこちらを見ている
軽くひと撫でしてから
抱っこしながら、私はため息をひとつ
机の上のパソコンを
ゆっくりと立ち上げ、
私は小さな勇気と空っぽの自信を持って
ひとつの作業に取り掛かった―――
あれから数週間
私はあのループする夢を見なくなった
〜シロツメ ナナシ〜
『心の迷路』
―――夢を見た
私は珍しく心地よく
眠りについていたはずなのに
ここは……怖い
まるで広い神社の中
建物の中には和室が広がっていて
私はそこで寝そべっていた
特に暑い寒いはないが
周りはなんだか、
夕焼けと言うには赤すぎる
暗くはあるが見えないわけじゃない
それがまた余計に怖く感じさせる
知らない人達がその輪の中で
和気あいあいと話をしていた
辺りを見渡すと
友人知人がいるのに気が付いた
さあ、そろそろ帰ろうか
そういった次の瞬間
雷がなった
それも、驚くほど眩しく真っ赤な雷
それと同時に
自分以外全ての人が止まった
誰も動かない、蝋人形のようだった
少しすると、
友人たちだけ動きだした
だが……様子がおかしい
ハイライトが消えている
といえばいいだろうか
まるで覇気がない……
―――今ごろ気づいた
この部屋のような場所の
中央正面に突如現れる木製の戸
……こんなのあったっけ?
いや……雷と同時に出現した?
その奥には、
何かを祈るような、
祈祷師のような人が数人、
あらゆる道具を用いて、
祈りを捧げていた
友人たちはその前に座り
祈りを始め、土下座を始め、
体から紫色の煙のようなものがではじめ
ゆっくりゆっくりと、
1人の祈祷師が持つ
大きめの鏡の中に吸い込まれて行った
そんな光景を目の当たりにした私は
声を出すほど怖かったのに
声は出ない……、足も動かない……、
周りの人達も動かない……、
祈祷師たちは ただただ祈りを続け……、
何も出来ない私は……
急激に意識が無くなっていき…
膝をつき……倒れ、
…遠のいて行ってるのがわかった……
ここが夢の世界だとわかってる
自覚がある
なのに……意識が無くなる……
きっと……
目がさめれば……
べっどの………
―――――――――
――――――
―――
目が覚めたそこは
あの神社のような部屋の中―――
!?
ゆめから……覚めない!?
怖くなった……
辺りを見渡すと、
さっき動かなくなったはずの
知らない人達が何事も無かったかのように
和気あいあいと談笑をしていた
さあ、そろそろ帰ろうか
!?
さっき、
鏡に吸い込まれて行ったはずの
友人たちが何事も無かったかのように
そこにいた―――
夢の中の夢……
夢や妄想だから
いくら自由が効くと言っても
ちょっと心への負担が大きい……
この様子が全くおなじすぎて
私はすぐに勘づいた
これは……ループする夢だと
だけど、
あまりにそのループ時間が短すぎる
もしこの夢から覚めるには
あんな少ない情報や
短い時間とこの環境から
ヒントを見つけていかなければならないのか?
様子見と思って、
私は自由が効くうちに動き回った
早くしないと、
またあの赤い雷が来るかもしれない
辺りを見渡すと、
戸はあった
そうか、これは最初からあったのか
周りを見てなかったから
気が付かなかっただけだったんだ
だがそこからすぐだった
満足に探索もできないうちに
赤い雷が鳴った
前回と同じように、
周りの人達は止まり、
友人たちは目のハイライトが消えていた
自分の体の自由は効くが
なんだか体が重い……
中央正面に現れた
祈祷師たち
謎の言葉を唱えながら、
また祈りを捧げている
特別に害を与えるつもりは無いようだが
気味が悪いことに変わりはない
今回は探索を中心にした
様子見をしようとおもい、
入れるところまで足を踏み入れる
祈祷師たちの部屋に入ると
呪術だろうか?その魔力のようなものが纏った部屋に入った途端、体が気持ち悪い、重くなる……。
部屋には特に何も無い……
奥の上の方に覗き窓のようなものが
横に長くあるので覗いて見たが、
そこから見た外の世界は真っ白だった
祈祷師たちにはあまり近づけなかった
顔は認識できない、影のような、
口と鼻だけがあるような感じだった
友人たちは前回と同じように
祈りを捧げ、土下座を始め、
体から紫色の煙がではじめ、
またゆっくりとゆっくりと、
1人の祈祷師が持つ
大きめの鏡の中に吸い込まれて行った……
……次は自分の番だ
そう思ったと同時に、ガクッとなった
急激に意識が無くなっていき
ゆっくりゆっくりと、
また遠のいて行った……
―――――――――
――――――
―――
…………ん
……目を……覚ました
今度はちゃんと目を覚ました
寝覚めは当然最悪
まだ仕事にも出てないのに
帰りたい……と、思うほどには
心が疲弊していた
そして、
本当に辛いのは……ある意味ここから
夢を見ない日もあるが
私が夢を見る時と言うのは、
必ずこの「出られない夢」……
この短いループする夢なのだ
夢は心の
深層心理を表すと言われてるらしいが
わたしはどうやら……
酷い迷子になってるらしい
だが言い換えれば
この短い夢の中に、
私の心の迷いのヒントがあると言うこと
情報はまだ少ないけど、
ひとつ、またひとつと、
時間をかけて、その細かい部分や
小さな変化を見つけていく。
……行こう、応えはあるはず
私の本能が 私の理性に
何かを伝えたくて仕方ないんだ
さがそう、探し続けよう
その答えが見つかるまで、
私は私と
向き合い続けていかなきゃ―――
〜シロツメ ナナシ〜