『終わらない夏』
― 今を切り取りたかった ―
この幸せの時間を
私の最高のこのひと時を
始まりから終わりを切り取って
ひとつの作品にしたかった
永遠に続けたい
この幸せの時間を
あなたとわたしだけの
終わらない夏を
― 本当にそれでいいだろうか? ―
万が一
切り取ることが出来て
その幸せな時間を
永遠に繰り返せたとして
それは本当に幸せだろうか?
…いや、きっと幸せに違いない
だって、その経験したことも
この初めての感覚も
なんどでも感じることが出来るから
飽きなんで来ようものか
― だけど本当に「幸せ」だろうか? ―
その「同じ永遠」と言うのが
幸せなのだろうか?
…幸せ、幸せだと思う…
思うのに……
謎の不安がおしよせる
無くすのが怖くて怖くて怖いけど
変わらないのは…もっと怖い…
私は…間違っているの……?
― 変わる永遠はどうだろう? ―
同じ海や山に、
違う海や山でもいい
同じ水着でも、
新しい水着でもいい
同じ祭りでも
知らないお祭りにでもいい
また二人で来てもいいし
新しい人と一緒に来てもいい
同じ夏かもしれないけど
違う夏が来てくれるから
それを繰り返していけば
変わらない夏だけど
変わっていく幸せの光景
それはきっと
幸せな終わらない夏になる
ずっと続けて、行きたいな―――
〜シロツメ ナナシ〜
240
『遠くの空へ』
好きな空を目指す
好きな空を走る
あさひがのぼる 東の空
雲がやってくる 南の空
日が明日へ行く 西の空
目指すは高見の 北の空
目指したい先を見る
登ってみたい上を見る
進んでみたい道を見る
会ってみたい人を見る
私の足の枷になる
過去の不安や悩みがある
私をとやかく言う声や
出来事たちが私を止める
わかる……わかる……よくわかる
進めばきっと、また起こる
だけどそれは、また無くす
私の明日は、無くさない
怖い、怖い、よくわかる
それでも明日はやってくる
だったら恐怖も連れていく
泣いて叫んで、連れていく
うずくまってもそのまま進む
私を笑う声しても
私は私を笑わない
同じ人を笑わない
進む、進む、ただ進む
行きたいところは遠いけど
近くを目指し、遠くを目指す
あゆみが遅くて情けない
そう思う日も沢山ある
それでも歩みは止めたくない
抜かれ、笑われ、惨めも惨め
それでも私は ただ進む
遠くの空で
待ってるあなたに
会うまでは―――
〜シロツメ ナナシ〜
239
『!マークじゃ足りない感情』
言葉にならない
って言うと
それはいちばん残念な回答だろう
だけど例えば
言葉よりも先に
表情よりも先に
手足が動くことは
感情を超えた衝動じゃないだろうか?
聞いた一言で
怒りのあまり 手が先に出る
いてもたってもいられず
その場所にすぐさま出て行っていたり
ショックのあまり
全く動けなくなるのも
それもまたひとつの衝動や行動だろうか?
聞いた一言が
もしもいいことになら
嬉しさのあまり気絶したりとか
楽しさのあまり腹筋崩壊とか
それらはまさに
!マークがいくつあっても
まったく足りないと言えるような
感情や気持ちの嵐じゃなかろうか―――ね?
〜シロツメ ナナシ〜
238
『君が見た景色』
〜同じ始まりを願った日〜
小さい頃から
どんなものなのか
気になってる景色がいくつか
一番上の景色
一番前の景色
一番中心の景色
一番人に囲まれた景色
私が知ってるのは
普通の場所
普通より下の順位
普通より隅の方の景色
人と関われない寂しさの中
そしてその多くは、
外から見ているばかりだったり
下からみあげる景色ばかり……
私の憧れのあの人は…
こんな……
私の景色を知ってるのだろうか?
もしも
私と同じこの景色を
知ってるなら…
知りながら始まったのなら、
それは本当に、あの人は
すごい頑張ったんだろうなぁ
って……心から思える
私は…
今の私を持ったままでも
どうやったら、
上に上に―――
前に前に―――
進んでいけるんだろう?
望む私を採り入れながら
元の私を持ちつつも
その時その時、
今より先に進んでいきたい
〜シロツメ ナナシ〜
237
『言葉にならないもの』
言葉にならないもの
伝えるのが難しいもの
探してみる
今の時代の、人との差
生活の違い、命の重さ
人のキズ、心のキズ
生きることの難しさ
幸福になっていいのかな?
だけど不幸になりたくない…
ありがたみを感じること
ひとつひとつを、忘れずに
当たり前に気づくこと
それが意外と忘れてる
大袈裟に喜ばなくてもいいけど
当たり前は当たり前じゃないことを
どうか忘れないでいて
幸せになって欲しいから
知ることを忘れないで
知って幸せなのと
知らずに幸せなのでは
その重さや有り難さが
きっと違って見えるから
そうするときっと
今よりもっと
あなたが何を大切にしたいかが
より多く見えてくると思うから
〜シロツメ ナナシ〜
236