シロツメ ナナシ

Open App
8/7/2025, 6:13:15 AM

『またね』
〜「気持ち」の断片〜


あの日あの時のこと
「また今度ね」と書かれた
頭の中の箱の中には
放ったらかしにしすぎて
ひとつひとつの内容、
細かいことは
もうほとんど覚えてないくて
「それ」を思い出すのは
今の自分には自力では
できなくなってる
きっかけがあれば思い出すかもだけど…

それでも確かに残ってるもの
それは当時の
「やり場の無い気持ち」や
「言いたかった本音達」
感情だけは心に蓄積されていた
悲しみ、悔しさ、やるせなさ、
怒り、我慢、寂しさ、
さらには
あの日 言ってしまいたかった本音

これらの想いだけが
ずっとそこに残ってしまってて
心の余裕や余白を奪っていた


些細なことでいらいらしたり
わけも分からず泣いていた日

私の本音が言葉を無くしながらも
ずっとずっと「私」に訴え続けていた
ようやくそのことに気づき
私は過去のことに目を向けた
長い時間をかけて
懸命に押し込めまくってた
「また今度ね」の箱の中と
やっと自分と向き合い始めた


――――――おまたせ、私

泣いてるの?
いつかは忘れたけど…
きっと言われて悲しかった「気持ち」

怒ってるの?
どのことか忘れたけど
きっとされて我慢しちゃった
無理や痩せ我慢をしていた「気持ち」

悲しいの?
いつの日だったか…
人といるのに独りに感じた「気持ち」

不安なの?
これは常に感じている
人には相談がしづらい、
自信が無いと言う「気持ち」

言いたかったんだよね?
これは多分あの日のこと…
言いたいけれど傷つけるのが怖くて
言い出せなかった時の「想い」

頑張ったんだよね?
これは日頃の些細な努力
当たり前を頑張ったんだって
認めて欲しかった時の「思い」

気づいちゃったんだね?
これは分かる
自分には無理なんだと
心の奥の奥に押し殺してたのに
自分と他人の今の在り方や生き方を
見て聞いた時に感じた「理想の自分や夢」

後悔してるんだね?
これも……わかる
これらの事を我慢して
他人が不幸にならないために
ずっとずっと自分のことを
後回しにしてきちゃった日々への「後悔」



…本当に…ごめんなさい、
ありがとう
もう 大丈夫だから
もう 蔑ろにしないから
これからこそ
あなたを大切にしたいから
ずっと、一緒に―――いて下さい


〜シロツメ ナナシ〜
229

8/6/2025, 5:37:18 AM

『泡になりたい』


「……泡 みたいに、
 消えて…なくなりたい―――」


長い…長い沈黙
悩みに悩んだであろう
思い悩んだ表情

かつて
1番信じてる!と言ってくれた私にさえ
今ここで
もう一度信じなおさなきゃならないほど
言い淀むほどなのだから
その心の葛藤と覚悟は…
友がその一言を言うための心は、
この言葉の重みと勇気は、
一体どれ程のものだったのだろうか

今の友が抱えてる心の傷を
私は必死に想像することしか出来ない


口から全てが出てくるような嗚咽感か
心臓をナイフで刺されるような痛みか
ゾウに踏み潰されて死ねない苦しみか
水の中に何時間も入れられて生き苦しむか


その一言を発してから
私は

「……そうだったんだ」
私は色んな思いを込めて言った


少しして、

ゆっくり……


ゆっくり…………


友の表情が、崩れていく―――



その話す勇気からくる緊張から
本人的に開放されたからだろうか

友は大声で泣き出し、
怒涛のように思いの丈を話し始めた

最近あった辛いことから
言えなくて辛かった気持ち
過去からずっと押さえ込んでた考え方
自分や周りとの差
中には自分に対する
大小様々な不服もでてきたりもした

目の前に、
本来の友 がそこにいた

言い終え、聞き終え、
泣き疲れ、冷静になり

「……ごめん」と

なんで?

「酷いこといっぱい言った…」

それは自分にだけじゃないし、
自分もあなたに言ってきたことある
それが、怒りの感情に乗ってただけ

「……負の感情で
 八つ当たりみたいに言うなんて…」

怒りや憎しみは
負の感情なんかじゃないよ
列記とした人間らしい感情だよ
友はそれを今日まで
ほとんど使って来なかったから
そのコントロールが上手くないだけ

あなたに、人間に
負の感情なんか多分ないよ
その使い方が、
上手じゃない人がちょっと多いだけ

使ったら…ちょっと落ち着いたでしょ?

「……うん、ごめん」

ありがと がいいなぁ

「………あんがと」

あいよ


「…でも、どうして?」

なにが?

「…どうして受け止められるの?」

忘れた?
ちょい昔にこっちの気持ちを
受け止めてくれてるんだよ?
よくよく似た気持ちをね

「………そうだったっけ?」

そういうこと

あとこれもお返し

「…?」


世間が変わらないのが悔しいけど
―――でもお互い、
ひとつ 強くなれたかもね


〜シロツメ ナナシ〜
228

8/5/2025, 5:36:31 AM

『ただいま、夏』


心の春が終わってしまい
秋と冬が同時にあるような
そんな日々が続いていた

何日も何週間も
何ヶ月も何年も
ずっとずっとズタボロのまま
歩き続けてたような
そんな毎日

今もまだ引きずってる
解決したわけじゃないけど
僅かに顔を上げられる、
ほんのほんの少しだけ生まれた
心の余裕…といえない程度の
これは 諦め にも近いかもしれない

ひたすらに時間が必要だった

夏の青空の綺麗な色が
やっと少しだけ
感じれるようになってきた


……ただいま、夏

やっと空や海の綺麗さ
暑さの楽しみ方がわかってきたよ

だけど私、秋の方が好きだから
夏は程々でいいからね

けど、気づかせてくれて
ありがと


……今なら、
少しだけ…次に進めるかな?


〜シロツメ ナナシ〜
227

8/4/2025, 6:28:07 AM

『ぬるい炭酸と無口な君』


今日も35度を超える猛暑日

そんな日ついに、


エアコンが壊れた……


どこにも行きたい気分じゃなかった

とにかく暑さを避けるため

1.5ℓの冷やしたコーラを部屋に置き

部屋の中でゴロゴロ過ごす


一応直すように頼んだが

やはり業者さんも

作業に追われる日々らしく

何日かかかるらしい


ダメもとでできることをやって見る

リモコンの電池は新しいのが入ってるし

きちんと動きもしてる

エアコンのフィルター掃除

手の届く範囲で根詰まりっぽいのがないか

コンセントも繋がってる

汗だくになりながらそれらを済ませ

一縷の望みを託し

リモコンを押してみた―――


君は何も言わなかった

…仕方なく、コーラを飲み干す


…………ぬ、ぬるい……


〜シロツメ ナナシ〜
226

8/3/2025, 5:45:25 AM

『波にさらわれた手紙』


えっと…、ふむ
やはり今日も届きますね
宛名のない手紙…

おや?
いらっしゃったんですね
気付かずにすみません
ここは 星の図書館
簡単に言えば、誰もが辿り着ける
…かもしれない、
夢の世界の図書館です

図書館とはいいましたが
ここには割と色んなことができます
夢の世界ですから
ですが、例えば今私が持ってるこの本や手紙のように、ひとつずつを丁寧に本や紙や絵などに閉じて、そして実際の図書館のように区分を分けることで、必要なものを整理できるので。そしてそれを繰り返していくうちに、図書館のように仕上がりました
なのでここを私は
星の図書館 としたんです


ん?この手紙ですか?
実はこれ、「誰かの手紙」なんです
これには理由がありまして…
そうですね、あなたは日頃
インターネットは使いますよね?
この手紙は、落とし主の思いが考えが書かれた手紙なんですが、そのインターネットというのは時として、その情報量の多さから荒波や津波のように形を変え、利用者の心がその波に飲みこまれてしまうんですよ。そしてその手紙のほとんどが宛名が書かれてないんです。

この星の図書館は夢の世界
そしてここは図書館そのものは私の意思で変えない限り滅多に変わらないんですが、環境はある程度変わるんです。例えば本来ここは平原や丘や山の上にあるようなイメージであることが多いんですが、今回のように海岸沿いに建ち、そしてこのように 宛名の無い手紙 が、この図書館に届くのですよ。たまには宛名があるので、できるだけそっと、その人の夢を通してお返しできることもあるんですが…。大抵はこちらで保管してるんですよ。もしもこちらの図書館に来ることが出来た人には、少しづつ見つけてもらったりもしてるんですが、いかんせん量も量ですし、そもそも落とし主が必ずその人の元に戻るかも運次第ですからね。


あなたも一応見て見ますか?この手紙を
えぇ、どうぞ
むしろ、少しでも協力して貰えると本当にとても助かりますので。

そうですか、あなたのでしたか
良かったですね、みつかって

…なくしたことにも気づいてなかった?
ええ、それは…ありえますよ
先程も言いましたとおり、この手紙たちは波にさらわれてきた手紙たちです。持ち主が落としたかどうかもわからないまま、ここに届くんです。

そうですね、例えば…
あなたは、なにか情報を見聞きした時、気持ちを押さえ込んだことはありませんか?自分にとっての言いたいことや感じたことが、世間の情報や考え方と全く違うが故に、私の考えはは間違ってるのでは?私はおかしいのかな?…のような思考になったり、気持ちを押し殺してしまったりしたことはありませんか?そのようなことが繰り返し起こると、思いの手紙として心の奥にしまい込まれたまま溜まっていくんです。本音としてどこにも吐き出せないまま…。そしてネットの津波が襲ってきて、その手紙をさらってしまう。
今回はたまたまあなたの手紙であり、それを私が拾った形になりましたが、これは本当に偶然のラッキーです。本来はなかなか本人の元には戻せません。もしかしたらあなたが落とした手紙は、まだほかにも沢山あるかもしれませんね。この思いの手紙は、その落とし主の 思いのその先の本当の思いに気付くための重要な手がかりにもなりますから。

どうぞ、もし時間があるなら、
ぜひ見に来てください
それに、その手紙じゃなくても
この図書館なら、色んな音や物や物語などありますので、遊びに見に来てください。これも何かの縁です。今のあなたの心の傷、あるいは今は感じられないほどに忘れてしまった心の奥深くの傷に ほんの少しでも治すお手伝いをする場所でもありますので。
ええもちろん、おいでください
あなたさえ良ければ、元々案内するつもりでしたので。
では改めて、
ようこそ、星の図書館へ


〜シロツメ ナナシ〜
225

Next