『子供の頃の夢』
子
お父さんの小さい頃の夢
ってなんだった?
父
ん?ん〜…
確か大工さんだったかな?
子
大工さん、やめちゃったの?
父
やめた訳じゃなくて
なれなかったんだよ
子
なんで?
父
大工さん向いてなくてねぇ
釘を打ったり設計したり
どれも結構好きなんだけど
高いところが苦手でね…
それに、
大きいものを作るのは好きだけど
小さいものもしなきゃってなったら
なんかつまらなくなっちゃってね…
子
ふーん、じゃあなんで
今はケーキ屋さんなの?
父
なんでだろうねぇ
子
え?お父さんも分からないの?
何か頭の病気になったの?
父
ごめんそういう事じゃなくてね
説明すると難しいけど
とにかくお金稼がなきゃって
毎日目の前のことをしてて
その時にケーキ屋さんの
お手伝いをすることがあったんだ
その時に初めて
同じ作るでも違う作る楽しさが
急に小さく目覚めてね
ひとつずつやっているうちに
そこでお仕事がつづくようになったんだ
子
ふーん
それで作るの上手なんだね
父
っはは、そうかもね
子
だって美味しいし
それに今、
お家も作れるようになったもんね!
父
―――そうだね
「特別賞 作品名―――『夢の家』」
〜シロツメナナシ〜
『どこにもいかないで』
もう……二度と
どこにも行かないで?
―――私の本心
あなたを捨てて…
ずっと押し殺して…
嘘ばかりつき続けて……
見て見ぬふりをずっとして……
誰よりも蔑ろにしてたこと………
ごめんなさい
どうか……どうか………
許して欲しい…!
今度こそ、
あなたと共に歩きたい―――!
〜シロツメ ナナシ〜
『君の背中を追って』
ハイハイしだした
君の背中を追っていた私は
小さな成長を感じていた
それを感じている自分に
自分で少しだけ驚いていた
立ち上がり歩き出し
そして走れるようになった
君の背中を追っている私は
君の中から溢れ出る
太陽のようなエネルギーに
驚きを隠せないでいた
追いつけない自分にも
違う意味で驚きを隠せない
自分の変化に困惑して
怒りや悲しみを露わにして出ていく
君の背中を追っていく私は
何をどうすればいいのか
よく分からなくなっていた
自分の時もこうだったのかもと
今になって自分の親の
そのすごさを知ることになり
ただ見守ることの大切さも知った
自分の道を見つけ出し
好きややりたい事を追いかける君
それが気になり気がつけば
君の背中を追っている私がいた
かつての自分の時代には
無かったであろうものや
今まで避けていたもの達に
改めて興味が湧いてきた
年甲斐もなくはしゃぎ
気分だけはまるで君と同年代
大変なことも多々あったが
なんだかんだ充実していた
君の背中を追って……
行くことが出来なくなってきた
さすがに老いには敵わない
だけど結構幸せだった
まだまだ追いたいその背中
だけどそろそろ私は行こう
大丈夫、これからも
君の背中を、見守っているよ―――
〜シロツメ ナナシ〜
『好き、嫌い、』
選択の連続
良いか、悪いか、 善行か、悪行か、
みぎか、ひだりか、 うえか、したか、
エコか、贅沢か、 前か、後ろか、
表か、裏か、 一か、八か、
白か、黒か、 高いか、低いか、
強いか、弱いか、 優か、劣か、
1か、0か、 静か、動か、
損か、得か、 嘘か、誠か、―――
探せば探すほどある
上げだしたらキリがない
迷いに迷ってまた迷い
選んで選んで選び抜き
それでも必ず迷うもの
「迷うことに迷う」もの
だからこそ
ここで迷った時にこそ
選んで欲しいものがある
「好きか、嫌いか、」で
選んで欲しい時がある
あなたが選んだその先に
あなたの心地いいがあることが
何より大切なんだから
あなたの直感信じて欲しい
心地良いのは、どっちか?と
好きときらいを選ぶのは
素敵なあなたの、道標―――
〜シロツメ ナナシ〜
『雨の香り、涙の跡』
それはどれも
断片的な記憶―――
雨の香りが
忘れたはずの記憶を
ほんの少し触ってくる
それはホントに覚えてない
覚えてないけど残ってる
香りと記憶はよく繋がってる
実際に私もそう思う
現にこうして
完全に思い出せないはずのことでも
かつて感じた激しい感情だけは
まだこうして、結構残ってる
出来事は確かに忘れた
だけどあの日に出し切れなかった
「想い」だけが残ってた
出したい「想い」がなんなのか
だから上手く泣けなくて
叫びたいのに分からなくて
ただ粛々と……泣いていた
忘れた思いを徐々に出し
雨の香りを頼りつつ
涙の跡を辿りつつ
「その日の想い」を思い出す
かつてのあの日の私の「想い」を
ひとつ、ひとつと思い出す
すごく遅くなったけど
私の想いを出していく
まだまだ時間はかかるけど
きちんと「私」を 出していく
〜シロツメ ナナシ〜