『雨の香り、涙の跡』
それはどれも
断片的な記憶―――
雨の香りが
忘れたはずの記憶を
ほんの少し触ってくる
それはホントに覚えてない
覚えてないけど残ってる
香りと記憶はよく繋がってる
実際に私もそう思う
現にこうして
完全に思い出せないはずのことでも
かつて感じた激しい感情だけは
まだこうして、結構残ってる
出来事は確かに忘れた
だけどあの日に出し切れなかった
「想い」だけが残ってた
出したい「想い」がなんなのか
だから上手く泣けなくて
叫びたいのに分からなくて
ただ粛々と……泣いていた
忘れた思いを徐々に出し
雨の香りを頼りつつ
涙の跡を辿りつつ
「その日の想い」を思い出す
かつてのあの日の私の「想い」を
ひとつ、ひとつと思い出す
すごく遅くなったけど
私の想いを出していく
まだまだ時間はかかるけど
きちんと「私」を 出していく
〜シロツメ ナナシ〜
6/19/2025, 3:03:01 PM