何かを想うとき、私から離れていく心が好きだ。
色んなところに私を預けている。
波打ち際で削られたコンクリートの影。ライブハウスの帰り道。人気の少ない山の中の広場。インターネットという宇宙。
夢中になったあの日に私を預けている。
恋でしかない。
流れついた夜。
しぶきは星々の代わりをしては消えを繰り返す。波は引いても夜は留まり、辺りの音を徐々に飲み込んでいく。
私は心の蝋燭に火を灯し、波打ち際へと向かっています。あぁ、私は温かい。きっと見失わないで帰ってこれるよ。そう、背中を押されます。
身に纏った白いオーガンジーのブラウスがはためく。襟元から胸元にかけての植物を模したレースの装飾に、しぶきがあたりきらめいている。さらさらとした砂が趾間に隙間なく触れる。汗ばんだ足も砂と同化したようにさらさらと変化した。
私に灯る蝋燭の火は、呼吸するたびに小刻みに揺れます。辺りはもう、何も見えません。呼吸の音も不確かなのに、揺れる火から音が聞こえる気がするのです。あたたかさだけが確かで、ちょうどバイオリンを糸巻するような音が聞こえる気がするのです。
(愛があれば何でもできる?できないっしょ!)
愛してる、と誰かに言われたことがある。そうか、と思った。愛してくれているのか、と。好きという気持ち以上の感情をそう名付けたのかもしれない。愛してるなんて、ふざけてしか言葉にできない気がする。いや、自分の子供にならそう言えるかもしれない。何故だろう。存在しない子供に対しての期待があるようだ。親から大事だよとか愛してるとか言ってもらった記憶はないのに、私は我が子に伝えるだろう予感がある。愛という曖昧なことばに意味をくれるかもしれない過大な評価をもっている。愛はよくわからなくても、なんとなく愛を持て余している気もする。愛したい愛されたい、そんな気分がある。
時間が足りない時間が足りない
嘘 嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘
体力がない ほんと
運動 運動 筋トレ バランスのいい食事
後悔以外に何があるの
楽しい 動く 触る 手 汗 動く私 実感
実感 生きてる実感? 世界 世界と私
自然 土と私 ひんやりしたやわらかい土 触る
忘れる 忘れないで 後悔と過ごす 空気 忘
空気 新鮮な空気 わかる? わかる
新鮮な空気
絶えず変わる風
やり過ごす やり過ごす やり過ごす
空気と 風と 太陽と 土と やり過ごす やり過ごす
やり過ごす
やめないで 続ける
たまにある 世界が私になるとき
続ける やめないで 考えること
意味を繋げなくていいから やめないで
すべては間違いです。それは私自身だけで、作って食べたもやし炒めも、洗わなかった靴も、枯れた観葉植物も、干からびた蜂も、他人の認識する私も、そこに存在するだけ、それだけ。
風に身をまかせ辿りつくのは、ベランダの排水口側の角。糸くずやら落ち葉やら、泥水がこびりついている。
あの蜂は、たった数時間閉じ込められて干からびた。もっとたっぷり水をあげてやれば森に戻って行ったかもしれない。
何も分からず、向こうへ行けず、必死に足掻いていた。後ろ足に埃を被った蜘蛛の糸が絡まっていた。
怖くて近づけなかった。頭はボイルしている。