黒山 治郎

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8/21/2024, 12:19:36 PM

野鳥の群れが空を塗る
色を残さず流れる筆先は
忙しなく吹く風を一身に受けて
縦横無尽に青の中を旋回し
時には思い出した様に地面へ戻る。

日が暮れる迄の時間を
そうして過ごす鳥達に
少しばかりの羨望を視線に混ぜ
地面から飽きるまで眺め上げていた。

風の音に耳を慣らし
羽根を残して空を旅する
個々の音楽に誇りを持ち
寄り添える伴侶を探す為に
様々な場所で羽根を休め歌う。

ロマの民を想起する生に
そう自由であったならばと
身勝手で蒙昧である己の先行きでは
到底なれやしないと値踏みした。

ー 鳥のように ー

8/20/2024, 3:34:50 PM

ー さようならと言う前に ー

ありがとうと笑ってみせて。

8/20/2024, 3:40:48 AM

真に淀むは己の心か
零れ出しそうな重い鈍色の空の下
いつだって傘を忘れて出掛けていた。

雨にいくら打たれようと
誰も傘を差し伸べたりはしない
雨水を纏って帰ろうとも
タオルが出迎えるなんてことも無い
それでも構わなかった。

構うもんかと、一人気丈にかぶりを振って
雨にだけ真っ直ぐに微笑んだ。

ー 空模様 ー

8/19/2024, 3:38:56 AM

問い掛けには答えない
自問自答にしかなり得ない
誰と問えば見慣れることも無い
自分なんていつも曖昧だと思った。

ー 鏡 ー

8/18/2024, 7:57:37 AM

曾祖父が遺したホルベインの水彩絵の具
蓋を開ける度にぼやけた絵の具の匂いがして
暖色系の殆どは使われてしまっている。

本当は絵が欲しかった
端金で売り切ったと聞いた時には
叔父さんと叔母さんも一緒になって
祖父に憤慨したものだが
いつかは、自分で買い戻したいと思う。

ー いつまでも捨てられないもの ー

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