胸を明るく灯すならば良いのだが
人間は一度欲すると際限が無い
自己顕示欲にのまれ誇張し
他者の目に晒し過ぎれば
誇らしさは見る影も無く、くすんでゆく
例えばこれが亡者の栄光であれば
骨董品としての価値は上がるだろうに
承認欲求とは酷く皮肉なものだ。
ー 誇らしさ ー
月の無い夜
思慮に沈みて
底を無くす。
己の深海は何処までも暗く。
思い、重い、黒への怯えが
行き着く場所を求めては
酸素を忘れ落ちていく。
───こぽん。
いまは、どのあたり だろうか…。
ー 夜の海 ー
東西南北、ご自由に
本日は何処へ向かおうか
遠目に横っ面を見せる坂は
自分の正面に来た時にゃ
上りとなるか下りになるか
車輪は無心に地続きの並行を行く
二つ並びに線を引き回り縁と巡る
声が欲しいか、縁が欲しいか
ならば転がさにゃなるまいて
足があろう耳があろう
目があろう口があろう
繋げる手があるだろう
声は喉に、言葉が胸に
芽吹き育ち、宿っているだろう。
ー 自転車に乗って ー
夜明けに微睡み
朝日に目覚め
支度も終えたら
いざ、と参るは 玄関の先
季節風の示す方位を
肌身で学び、歩く旅
薫風に胸を弾ませ歩を進めれば
意識せずとも頬は綻ぶ。
私、は未完成が良い。
足らぬ事を知るが故
足せる事は数知れず
この心に蓋をしようなんて
できようはずもないのだから。
ー 心の健康 ー
お姉ちゃん、何を弾いてるの?
パパのギター、借りたんだ
この音楽好き!
ふふ、私も好きで覚えちゃった
姉ちゃん、それ何って弾いてるの?
これねぇ、カリンバって言うんだって
優しくて綺麗な音色だね
そうでしょ、思わず買っちゃったよ
姉さん、最近は楽器触ってないの?
うん、弾いてる時間がなかなか無くてね
そっかぁ、また聴きたかったから少し残念だな
カラオケには今でも行ってるんだけどね
姉さんの歌、また聴きたいな〜
そう?また近々一緒に行こうか
うん、楽しみにしてる!
姉の奏でる音楽と、楽しそうな表情が
幾ら時間が経とうとも
ずっと好きなままで。
いつか猫になれたなら
あの人の音楽が聴ける場所で
日向ぼっこに微睡みたいと、そう思う。
ー 君の奏でる音楽 ー