黒山 治郎

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野鳥の群れが空を塗る
色を残さず流れる筆先は
忙しなく吹く風を一身に受けて
縦横無尽に青の中を旋回し
時には思い出した様に地面へ戻る。

日が暮れる迄の時間を
そうして過ごす鳥達に
少しばかりの羨望を視線に混ぜ
地面から飽きるまで眺め上げていた。

風の音に耳を慣らし
羽根を残して空を旅する
個々の音楽に誇りを持ち
寄り添える伴侶を探す為に
様々な場所で羽根を休め歌う。

ロマの民を想起する生に
そう自由であったならばと
身勝手で蒙昧である己の先行きでは
到底なれやしないと値踏みした。

ー 鳥のように ー

8/21/2024, 12:19:36 PM