いつか他人事になる未来
今じゃ鮮明には想い描けない先の事
その時になって今を振り返る頃には
そんな事もあったなぁ なんて
きっと、スワンプマンが笑うだろう
記憶を引き継いだ沼男が
私の形相で一年後の未来の中
人知れず、その違いを嗤うのだ。
ー 一年後 ー
初めても恋も目視出来ぬあやふやなモノだ
そして、そんな事柄さえ定義したがるのは人だけだ
いつ始まったのかが、そんなに重要だろうか?
何もかもを関連付けたがるのは
知性の悪癖ではないと
君は断言できるだろうか?
疑問の方が勝ってしまい
お題には添えず終いだが…
今日の所は、お目溢しいただきたいね。
ー 初恋の日 ー
ー 明日世界が終わるなら ー
そりゃいい、明日までは自由に生きられる
終わりが分かってんなら好きな事していいだろ?
だったら、明日を不幸だなんて思わんさ
地球てのは奇跡で成り立ってる様な星だが
如何せん、ここまで続いてくれただけで
急に途絶えたって何も可笑しかないからなぁ
完全、完璧なんてモンはこの世にゃ無くて
何事にも終わりがないってのは辛いだろ?って
単純明快、そんだけの話だ。
ー 明日世界が終わるなら ー
最初は、偶然の相席だった
この時代には珍しく喫煙席がある店で
向かい合った君と互いに被った注文は
結露すら涼し気なアイスコーヒーだった
留まりきれぬ水滴が素知らぬ顔で
指の隙間を通り過ぎる度に
無関心が過ぎたまま、席へ落ちた僕らを
風刺画の様に表している気がしてならなかった
ふと、灰皿を取ろうとした手がぶつかる
紫煙は混じり合い
珈琲に溶けたミルクの様に
視線は交差し、認識は示された
君を黙認した後、少しだけ残念に思ったんだ
もう相席の他人としては
その隣を過ぎ去れない事を。
ー 君と出逢って ー
鬼門の方角より耳鳴りは訪れる
木綿のかけ布は汚れ神棚を透かし
捲れた先では力無く千切れたしめ縄と
散らばった紙垂、両脇に座る榊の枝は
口惜しいとばかりに風に揺れて鳴る
外では何時何時と無邪気に童が唄う
鶴と亀が鳥を逃した籠を囲み
遠に小鳥は滑り落ちたというに
やや子やや子と母にもなれず
愛しげに腹を撫でるその女は
瘋癲じみた嗤い声をあげていた。
おや、しかし…
耳を澄ますと
童謡に紛れた
呱呱の声が 一つ。
ー 耳を澄ますと ー