黒山 治郎

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最初は、偶然の相席だった
この時代には珍しく喫煙席がある店で
向かい合った君と互いに被った注文は
結露すら涼し気なアイスコーヒーだった

留まりきれぬ水滴が素知らぬ顔で
指の隙間を通り過ぎる度に
無関心が過ぎたまま、席へ落ちた僕らを
風刺画の様に表している気がしてならなかった

ふと、灰皿を取ろうとした手がぶつかる

紫煙は混じり合い
珈琲に溶けたミルクの様に
視線は交差し、認識は示された

君を黙認した後、少しだけ残念に思ったんだ

もう相席の他人としては
その隣を過ぎ去れない事を。

               ー 君と出逢って ー

5/5/2024, 5:45:15 PM