ある

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11/30/2024, 1:07:13 AM

部屋の前に、大きなイチョウの木がある。

段々と色付いていくそれは、目にも鮮やかな紅葉を見せてくれる。
毎年それを写真に納めるのが、私のひそかな楽しみだ。
陽の光りを受けてたくましく黄色を放つその姿から、
私は何だかいつも活力のようなものを貰っている気がする。

けれど、それを堪能出来るのはほんの限られた時間だけで。
気付けば少しずつはらはらと葉を落として、
枯れ木へと変わっていくのだ。

そうやって、窓の外から、真正面から、
ひっそりと秋の終わりを告げられる。

もう窓の外をのぞいても、
あのきれいな黄色はそこにいなくなってしまう。

どうしても、それに寂しさを感じてしまうけれど。
何かの終わりは、きっと何かの始まりでもあると、そう信じて。


今年もまた、冬がやってくる。


11/20/2024, 1:00:02 PM



その人がどの立場にたって、どんな目でそれを見るかによって
物事なんて容易く揺れ動いてしまうものだから。

だから、この世に絶対的な正しさや美しさ、不変なるもの、
混じり気がないものなんて無いと思うけれど。

それでも、絶対的に信じたくなってしまうもの、
心の底から信じてしまうもの、
絶対に失くさないよう、大切に抱え込もうとしてしまうもの。

それが私にとっての真実なのかもしれない。

11/18/2024, 1:09:05 PM



本当に自分がおわっちゃいそうになったとき、
スマホをつけて、カメラロールをひたすらスクロールしてる。

まだ大丈夫、まだ大丈夫、
わたしは一人じゃないんだって言い聞かせながら。

10/7/2024, 1:56:47 PM

力を込めて


大丈夫、大丈夫!
あとはこれまでの頑張りを発揮するだけだよ。

そう言葉をかけてもあなたは下を向いたまま。
いつもより倍の時間をかけて、靴紐を結んでいる。

この扉を開けたら、玄関を跨いだら。
また新しい一日が動き出す。

それが今日はほんの少し特別な意味を持っていて、それがあなたの体に重くのしかかっているみたい。

丸くなった背中をじっと見つめながら、私は昨日までのあなたの姿を思い出す。

家に帰ってきてからも机にかじりついて、遅くまでデスクランプを照らしていたこと。
休憩したらと声をかけても、生返事しか返さないで、納得いくまでそれに向き合い続けたこと。
時にはままならない現実に、一人で涙していたこと。

全部全部、あなたの力だ。

私はすうっと息を吸い込んで、それからゆっくりと右手を掲げる。
そして、

「いった! え、え!?」

もう私が出来るのは、ここまで。
これがどれだけのものになるかわからないけど、
とにかく、今持てる私の全てを注ぎ込んだ。

まだびっくりした顔をしてるあなたに、私はニカッと笑顔を向ける。

そしてもう一度、今度はそっとその背中に手を添えてから、
両手をぐっと押し付けた。

力いっぱいの、祈りを込めて。

10/7/2024, 9:37:44 AM




最近気付いたこと。

それは、過去に起こった「事実」は変えられないけど、その事実に対する「見方」は変えられるということ。

どうしようもない悲しみに浸ったままの過去も、
お腹の底が熱くなるような、怒りに満ちた記憶も、
頭を抱えてしまいそうになるあの日々も。

もちろん全部がきれいにとはいかないだろうけど
それでも、苦笑いを浮かべながらでも。

一つずつまたかき集めて、もう一度まっさらな目で見つめてみたい。





『過ぎた日を思う』

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