ある

Open App
10/11/2025, 12:14:04 AM

あの子の部屋にはいつも花が飾られていた。
一輪のコスモスを花瓶に差し込みながら、ふと思い出す。

凛とした背中に、慈しむような眼差し。
必ず両手を花瓶に沿わせて、華奢な指でそれを包み込んでいた。

美術の教科書に載ってる黄金比より、何よりも完璧な光景。

私は目の前にある、まあるい花瓶をそっと指で撫でた。

8/27/2025, 3:03:12 AM

素足のままで、駆け出していく

頬を切る風、全身を打つ鼓動
足の裏にチクチクと刺さる小石は、
確かに私が前に進んでいることを教えてくれている

命が走る証を、私は体中で受け取って
また一歩、大きく足を踏み出していく

6/30/2025, 2:54:01 PM

【カーテン】


それは柔らかい境界線

外から降る光を透過して
チラチラとこちらを誘ってくるような
世界の入り口を担うもの

6/24/2025, 2:31:23 PM

真っ白なルーズリーフに文字を躍らせて、
昔の記憶を頼りにそれを折りたたんでいく。

出来上がったものは、羽を広げて待つ心のかけらたち。

こんなにも広くて全てを吸い込んでしまいそうな青の中なら、
ちょっと不格好かもしれないそれが少し混じったところで、
まあ、些事にすぎないだろう。

手のひらから放たれた白は、
風におされて少しずつ小さくなっていくのが見えた。

ヨロヨロと飛んでいたそれはやがて輪郭も分からなくなって、
あっという間に一筋の線へと変わっていく。

青と同化していくそれを眺めながら、
私は胸のなかにすっと風が通っていくのを感じていた。

6/7/2025, 1:45:44 PM

宝石の輝きにも引けを取らない、その眼差し
どうか貴女の行く道を、ずっとその光で照らし続けてね

Next