小説
迅嵐※高校生、付き合ってる
「……詰んだ…」
後ろの席からそんな小さな呟き声と、ガタッと少し大きな音が聞こえた。
振り返ると、机に突っ伏したまま微動だにしない者がいた。
「視えてなかったのか?迅」
ついさっき行われた抜き打ちの実力テスト。しかも今回のテストは成績に大きく関わっている。予知のサイドエフェクトを持つ迅が視逃すのは珍しい。
「視えてたよ、……視えてたんだけど…まさか実力テストの教科と違う先生が来るとは……」
「あぁ…」
今日行った実力テストは数学。しかし数学の先生が急遽用事が出来たとかで、代わりに来たのは英語の先生だった。
「…………文法完璧にしてきたのに……」
予知の中にいた英語の先生を信じきり、本当に英語は完璧にしてきたのだろう。だが期待を裏切られ、数学のテストを前に為す術なく項垂れたらしい。
俺はそんな迅が可哀想に思えて、どう慰めてやろうかと少し悩む。
「…迅、視えている成績はどんな感じだ?」
「……五分五分かな。ギリ赤点回避する未来とギリ赤点の未来が混在してやがる。…こんなスリル味わいたくない……」
「そうか…。よし!」
ぱしんと太腿を叩き、俺は笑みを浮かべながら迅を見据える。音に驚きこちらを向いた迅に満足した俺は、誰にも聞こえないように、誰にも聞かせないように小さく囁いた。
「赤点だったら慰めにキスをしてやろう」
「な゙っ……!?」
「どこにでもしてやるぞ?」
「ぇ゙えっ!?」
迅はどこから声を出しているのか疑問に思うような素っ頓狂な声を上げ、椅子と共に後退る。
いつも思うが、そろそろキスくらい慣れて欲しい。もう両手で足りない程、何度もしたと言うのに。こっちまで恥ずかしくなってくるじゃないか。
「えっ……なっ……!…………あっ」
「?どうした?」
「……………………赤点、回避しちゃった……」
迅の百面相を見ながら、俺は堪えきれず盛大に笑ってしまったのだった。
難しいお題すぎる爆笑
俺達には翼があった。色とりどりの綺麗な翼。
皆それぞれ羽を広げ、自由に空を飛んだ。
でも俺は、それを下から眺めることしか出来なかった。
何故なら俺の翼は片っぽだけ。
飛べない翼。意味の無い翼。
飛ぶというのはどんな気分なのだろう。
きっと、眠ることと同じくらい気持ちの良いことなのだろうね。
小説
千ゲン
夜、目が覚めた。
「…ゲン?」
横を見ると、隣で寝ているはずのゲンが居なくなっていた。敷布団を触るとまだ温かさが残っており、ついさっきまでここで寝ていたことが分かった。
逆に言えばそれしか分からなかった。
「……まぁ、どこへ行こうと俺には関係ねぇわな」
目を瞑り、また眠りに入ろうとする。瞼の裏に夜の闇が張り付いていた。
「……」
俺に黙ってどこに行きやがった?そういえばこの前熊が出たって話があったな…。
「………」
俺はまだ眠気の残る体を起こし、外へと向かった。
「何処だよ…」
そもそもゲンの行先に検討もつかなかった。行きそうな場所を虱潰しに回るか?
ふと、花の香りがした。ゲンの匂いに似ていたせいか、俺は花の香りの先へ向かっていった。
そこには辺り一面にススキが生い茂っていた。
「……ゲン」
冷たい風がススキを揺らす。月光に照らされたススキは遠い昔、現代で見慣れていた稲穂によく似ていた。
「あれ?千空ちゃん、こんな所で何してんの?」
幽霊を見たような驚き様で振り返ったゲンは、俺の姿を認めると困惑したように眉を下げる。
「…こっちのセリフだわ……てめぇが俺の知らねぇうちに居なくなるから…」
ガサガサとススキを掻き分け、急いでゲンの元へと向かう。
急がないと、ゲンが消えてしまう気がして。
辿り着くと、腕を掴みこちらへと引き寄せる。少し長く夜の風に吹かれたせいか、ゲンの体は冷えていた。
「寝れなかったんだよね。…もう戻ろうよ。寒くなってきちゃった」
俺はしっかりとゲンの手を握り、月夜に照らされたあぜ道を進む。
ゲンは片手にススキを数本握っていた。
「せんくーちゃーん、ススキの花言葉知ってるー?」
「またお得意の花言葉か」
「うん。ススキはね、活力とか生命力」
「ほーん」
「……安心してよ、俺はまだ消えないから。千空ちゃんが人類復活を成し遂げるまでちゃんと居るよ」
その後は消えるってのか。んなことさせねぇよ。
「……次は俺も誘え、一人で行くな」
「…寂しかった?」
その問いには答えず、俺は繋いだ手を強く握り直した。
今日も小説書けなくてごめんよ
私医療系の学校通ってるからいつも疑問に思うけど、『脳裏』ってどこなんだろう?
調べると脳中、頭のなかって書いてるけど、それならそのまま脳内とか脳中って書けばいいと思うんだよね。
この単語を考えた人は斜めから視点を持てる人だったのかも。
未来は百パーセント決まっていて、足掻いても意味がないことでも。
エレン・イェーガーは大切な仲間を、アルミンを、ミカサを守るため、幸せに出来ると信じていたから今日まで進んだ。
進撃の巨人、この作品と出会えたことは私にとって人生の宝と言っても良い。
ありがとう、エレン。いってらっしゃい。