愛し合う二人を、好きなだけ

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11/7/2024, 12:25:59 PM

甘露寺蜜璃と胡蝶しのぶ



全然違うあなたとわたし
それでも仲良くなれたのは
きっと運命だと思うの

そう、そうよ、きっと運命


……もしかして、今さっきあなたの訃報が聞こえたのも運命なのかしら。


願わくば来世は二人でぱんけぇきを食べましょう?

11/7/2024, 3:17:02 AM

小説
千ゲン



実験に薬草が必要になり、場所を知っていた俺が案内していた時だった。

「...あれ?」

ぽつ、と鼻先に水滴が落ちる。見上げると、空は明るいものの柔らかい雨が降り出していた。

隣では千空ちゃんが俺と同じように空を見上げている。

「狐の嫁入りだ」

「...ただの天気雨だな」

一人言に返ってきたのは現実主義の千空ちゃんらしい回答だった。

「もー千空ちゃん夢がないねぇ」

「あぁ?天気雨に夢も雨もねえだろ」

「全く...ほら、足元」

「...?あ゙?おいゲンてめぇもっと早く言え」

千空ちゃんの足元には探していた薬草がしっかり生えていた。雨水が落ちる度、ここにいるよと言わんばかりに葉がぴょこぴょこ動いている。

「千空ちゃ〜ん、ちょっと視野が狭いんじゃないの〜?」

おちゃらけて言ったその言葉に千空ちゃんはムスッとした顔をする。ちょっと意地悪しすぎたかな?


「……逆にメンタリスト様は視野が広すぎて、目の前がおざなりになってんじゃねえのか?」

「えっ」

気がつけば目の前に千空ちゃんの顔があった。瞬きする間もなく、俺の口は千空ちゃんの口に塞がれていた。

「!?」

「……さっさと集めて帰るぞ」

「...っ...この前まで純情少年だったくせに!」

あっさり形勢逆転された俺は顔が真っ赤になっている自覚をしながらも反撃を試みる。

でも千空ちゃんの顔を見た瞬間、白旗を上げざるを得なくなった。

「……そっちからやったくせに何赤くなってんのさ」


雨はいつの間にか止んでいて、薬草集めは問題なく続けられそうだった。

…いや、やっぱ無理、恥ずかしい!千空ちゃんのばか!!!!

11/5/2024, 1:36:07 PM

小説
おばみつ※最終決戦後



一筋の光が君の元へ差し込む。

まるでスポットライトのよう。光に照らされた髪の一本一本がキラキラと輝いた。

ふと、君が俺の視線に気がつく。ふわりと笑いこちらを向く彼女の姿は、天使と見間違えるほど美しかった。

「伊黒さん!」

鈴を転がすような声で俺を呼ぶ。

嗚呼、なんて愛しい、なんて可愛い。

世界一愛しくて可愛いあの子を俺は抱きしめた。


「…………いぐろ、さん」

はっと我に返る。目の前は、何も見えなくなっていた。腕の中には確かな重みと微かな温かさ。声は、その腕の中から発せられていた。

「……もう……ねむいわ…………」

息も絶え絶えに声を紡ぐ彼女を支えることが精一杯で、俺は彼女の頭を自らの胸元へ引き寄せる。

「…あぁ……あったかい…………あったかいなぁ…」

彼女の命はもう長くはないだろう。呼吸の音が、心臓の動きが、段々と弱く小さくなっていることに気がついた。

「大丈夫だ甘露寺。最期まで一緒だ」

「………………うん…………いぐろ…さん……」

「…どうした?」

「………………」

「……甘露寺?」

「………………」

辺りがしんと静まり返る。

最後の力を振り絞り、精一杯抱きしめる。二度と離さないように。

俺の見えなくなった目からは、とめどなく涙が溢れた。


意識が朦朧とし、自らもすぐに甘露寺の後を追うことが分かった。きっとあの子は待っててくれる。そうしたら一緒にいこう。あの鈴を転がすような声でまた名前を呼んでくれるだろうか。


_______今いくよ


一筋の光が、俺たちを優しく照らした。

11/4/2024, 1:04:21 PM

哀愁を誘う

今日は書きたくない気分なの

おやすみ

11/3/2024, 1:57:53 PM

小説
おばみつ



カラン。

染め粉の入った底の浅い皿に、無造作に櫛を落し入れる。
手は染め粉で黒く染まり、爪の中まで色が入り込んでいた。

やおら視線を上げると、そこには顔色の悪い少女がいた。

「……私、こんなにやつれてたっけ?」

ろくに食べず、無理して笑い、もう既に限界は近かった。あんなに食べることが大好きだったのに。あんなに笑うことが楽しかったのに。今はもう、何をしても私でないみたい。

それでも、それが素敵な殿方との結婚へと繋がるのならば。

鏡の中の自分に向かって手を伸ばす。

鏡に触れ、真っ黒に染まった手を下へとずり下げてゆく。鏡面に残る黒線は、さながら涙のようだった。

「……さぁ笑って。そうしないときっと、だぁれも私のことを好きになってはくれないわ」




「君は、とても美しい髪色をしているのだな」

隣に並ぶ彼は、目線を合わせずそう答える。いつものように、私が髪色の話をしていた時だった。初めて会った殿方は皆、この奇抜な髪色に戸惑いを表情に滲ませるのが常だった。今回もそうだと思っていた矢先、彼は予想外の返答をした。

「…え…」

「……すまない。初対面の女性に失礼なことを言った」

初めて家族以外から髪色を褒められた。

その後に一緒に行った食事でも、私は気が抜けて沢山食べてしまったのに「沢山食べることはいい事だ」って言ってくれた。

初めて家族以外からそんなことを言われた。

…貴方と出会ってから、初めのことが沢山あるの。

屋敷に戻り、鏡の中の自分を見つめる。

「……私、こんなに嬉しそうだったの?」

沢山食べ、心の底から笑い、仲間から認められた。
そして、私の髪色を美しいと褒め、沢山食べる姿を優しく見ていてくれる素敵な殿方と出会うことができた。

鏡の中の自分に向かって手を伸ばす。



そこには頬を桃色に染め、一人の青年に恋する普通の女の子がいた。

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