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5/7/2025, 11:52:39 AM

木の葉に細かく刻まれた陽の光。
それが創り出す芸術を、人は木漏れ日と呼ぶ。


その下に佇むアイツ。
風が吹いて、光が散らばる。
それに照らされた明るい色の髪が、肌が、光る。


「何突っ立ってんだ?暑いだろ、こっちこいよ」
こちらに気がついたアイツが、手招きをしながら呼び掛けてくる。
確かに暑いが、あの木漏れ日の下に入る気にはなれなかった。

あの光る芸術作品を、汚したくなかった。


けれどアイツは自分がそんなことを考えているとは知らない。不思議そうな顔をしながら、動かない自分をさらに呼ぶ。

しぶしぶ、木漏れ日の下に入った。
アイツから少し離れたところに立つ。
そうしたら、アイツのほうから寄ってきて、腕を引かれた。
「んな遠いとこ行くなよ、避けてんのか?」
そう言いながら、さっきアイツがいたところまで引っ張られる。
そういうわけじゃない、と返すと、ならいいけど、とアイツは子供っぽい笑みをこぼした。

その素朴なかわいらしさといったら。
なんと表現していいか分からない。
けれど、こうやって自分がそばにいても、この芸術作品は汚れていない。
それが分かったことに少し安心して、アイツの隣で風を感じた。



【木漏れ日】

5/4/2025, 3:19:38 PM

知ってるよ。
お前の目が、俺を見てないこと。
正確には、俺の向こう側を、俺越しに見ていること。

気づいてないと思ってただろうけど、分かりやすすぎんぞ。
だって、俺はお前のことちゃんと見てるから。


最初は俺のこと嫌いになったのかと思ったけど、別にそんなことなさそうだし、嫌いだったらそもそも一緒になんているはずないから、全然、わかんねえんだよな。

だから聞くわ。



なんで、
なんでこっち見ねえの。
なんで俺のこと、みてくれねえの?

なあ、なんで?


【すれ違う瞳】

_____
A.好きだから。明らかに態度を変えると怪しまれるが、ちゃんと見てしまうと、気持ちが抑えられなくなりそうだったから、見ているようで見ていないふりをした。

5/3/2025, 2:14:11 PM

アイツに出逢って初めて、心が動いた。
初めて、誰かの顔に釘付けになった。
初めて、一人の人間の言動に一喜一憂した。
初めて、幼稚な嫉妬をした。
初めて、人に未練を残した。



初めて、手放せない愛を知った。
初めて、忘れたくても忘れられない愛を知った。
初めて、愛に苦しんで泣いた。


諦められなかった。
一方通行の気持ちだと、
返ってくることはないと、分かっていたのに。


それは、あまりに青かった。
青く、苦しい春だった。


【青い青い】

5/2/2025, 8:41:28 AM

φ(..)


【風と】

4/30/2025, 11:24:25 PM

ふと立ち止まって、振り返ってみれば、
遠く、遠くのほうに、おぼつかない足跡。

よたよた、ふらふら、シラフの千鳥足が続いていた。


そこに合流した、もう一つの足跡。
力強く、地面を踏みしめている。
それにつられるように、自分の足跡も、歩幅が整い、しっかりと地面を蹴っていた。


そして、足元に程近いところには。
二人歩幅を合わせた、二人三脚のような足跡があった。





不意に、視界の端に何かが映る。
視線をやると、隣にいる相棒が、手を差し出して待っていた。
迷いなく、その手を握る。


そして、軽い足取りで、二人三脚の足跡を地面につけながら、また歩を進めた。


【軌跡】

______
人生の歩み。

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