1/17/2025, 11:38:48 AM
穏やかな風が吹いている。
僕と彼は今日に限り、風の当たる場所で過ごしていた。
会話中に突然、強い風が吹いた。
とっさに目をつぶる。
風が緩み、目を開ける。
そして、顔に手をかざして風をしのいでいたらしい彼も落ち着き、会話の続きをしようとした時。
風の尾が、彼の長い前髪を持ち上げ、隠れていた瞳が覗き、
初めて、目が合った。
…嗚呼、
こんなにも美しいものが、近くにあったとは。
これは、風のいたずらに感謝しなければ。
【風のいたずら】
1/16/2025, 1:18:33 PM
今までそのような対象として見ていなかったけれど、何かの「きっかけ」で、その人を愛おしく思うようになる。
誰にだってあり得ること。
自分にとっての「それ」は、貴方の涙だった。
その透き通った雫を、汚したくない、汚させたくないと、思ったのだ。
【透明な涙】
1/15/2025, 10:24:59 AM
還ろう。還ろう。
天へ還ろう。
片割れのあなたが待っている。
還ろう。還ろう。
あなたのもとへ。
そして、あなたとひとつになるんだ。
【あなたのもとへ】
1/14/2025, 11:25:49 AM
「ごめんな」
と呟く。
目の前には、俺の『養分』となることを決めた男の首筋。
「いいから、早く」
『養分』は、俺の頭を首に寄せ、催促する。
「うん………いただきます」
そして。
そっと、白い首筋に牙を埋めた。
【そっと】
______
ごちそうさまでした。
1/13/2025, 11:38:18 AM
『未だ見ぬ景色を、大切な人と共に』
という謳い文句のチラシを作りながら、そんな人、自分にはいねえなと、一人落ち込んだ、あの悲しき夜。
【まだ見ぬ景色】