「俺の心臓あげるから、コイツを生き返らせてください」
絶望の底でそう祈った矢先。
突然、空からまばゆい光が。
思わず目をつぶる。次に開けたとき、そこには光を纏った、人…が浮いていた。
『いっすよぉ』
脳内に直接語りかけてきた。ノリが軽い。
「いっすよって、誰ですかあんた、」
『神様です』
「神様…?」
『そ、神様』
言い終わるや、両の腕を広げる。腕の周辺の光の群れが散らばった。
『さて、神様であるこのワタシが、愛するこの世界の住人を蘇らせてあげましょう!それっ!!』
「神様」が、冷たくなった身体に手をかざす。
穴のあいた胸は元通りになり、肉体は静かに呼吸を始めた。
一方、自分の心臓はなんともない。
『さーぁこれで終わり!貴方最初、自分の心臓を捧げようとしたでしょ?でもワタシそういうのすごーく嫌だったので、かわりに貴方の寿命をいただきました!お二人の寿命を調整したので、まーったく同じ時間に死ぬことができます!』
「なんで…」
『なんか~、お二人はひじょーに強い縁で結ばれているんですよね、でも今、一度千切れたんですよ、この子の死によって。でもでも、お二人の縁、将来さらにさらに強くなる予定だったので、ワタシそれを是非見たくって!ですからこれは特別です!甘んじて受け入れるように』
言うだけ言って、「神様」は光を振り撒き去っていった。光の群れが空に吸い込まれる直前、
「では、これからの人生を楽しんで!
…これくらいしたっていいですよね、神だし」
という声が、耳に届いた。
【神様が舞い降りてきて、こう言った。】
君という鳥かごの中で、永遠に支配されたい。
【鳥かご】
どこまでが友情で、どこからが恋情かなんて、自分には分からない。
けれど、自分が唯一の親友に向けているのが友情では片付けられない感情だということは、嫌でも解る。
【友情】
タイムマシンの開発計画が本格的に動きだしたことを知らせるニュースが流れた。
もし、タイムマシンができたら。
お前が死ぬ前に戻って、
お前を脅かすものを全部消して、
今に戻って、
元気に生きてるお前と一生幸せに暮らすんだ。
まあその前に、何十年分か稼がないといけないけどな。大丈夫、まだ若いから。
…コーヒー淹れるの、上手くなったんだ。
お前のために練習したんだよ。
オレなら、毎日、完璧なコーヒー淹れてやれる。
だからさ、
【もしもタイムマシンがあったなら】
あの時と同じ場所にて。
友人が遠慮がちな口調で話を切り出した。
「なあ」
「うん」
「去年ここでした話覚えてる?」
「んー、なんとなく?」
「あそ…まあ覚えてないよりいいや。あれから俺、真面目に考えたんだ」
「うん…?」
「だからさ、ちょっと言っていい?」
「?うん…」
「お前の心が欲しい。今は、ホントに」
「…」
驚いて言葉が出ない。
「ほら、言ってたじゃん、次はもっとちゃんとしたの待ってるって。だからこれは、その『ちゃんとしたの』、のつもり」
「…」
「ずっと考えてたんだ、お前とのこと。俺、お前とだったら、別にその、付き合っても、いいかなって…思って」
「…」
「あ、え?もしかしてあれも冗談だった!?真剣だったの俺だけ!?…あーならいいごめん!やっぱ取り消して」
「いいよ」
「え?」
「だから、付き合おってことだよ」
「へ、今なんて」
「おれの心はとっくの前からお前のモンだってことだよ!あん時のセリフで察せよバーカ!」
ずっと欲しかったものが、たった今手に入った。
【今一番欲しいもの】
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個人的伝説のお題。また巡ってきたので去年の話と繋げました。
去年はキザ男くん(仮名)(別にキザじゃない)目線でしたが、今年はもう片方の子の目線です。
去年の話は今でもずっと傑作だと思ってたので、続きを書けて本当に嬉しいです。
てか、真剣に考えた言葉を取り消そうとするなよ、それこそバカだぞ。