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7/19/2024, 11:08:41 AM

まっすぐにどこかを見つめる目。


その視線の先には、



何もいなかった。




なのに、彼はそこに何かがいて、意思の疎通でもはかろうとしているかのように見つめている。



やっぱり動物には、人間にはない感覚があるのかなと思いながら、彼にちゅーるを差し出した。

邪魔されて気分を害したのか、手に軽い猫パンチを喰らった。




【視線の先には】

7/18/2024, 11:54:48 AM

「浮気、してないよな」

不安から、喉の奥につかえていた言葉が雪崩れ落ちた。


ため息をつかれた。


「…ついに言われたか」と独り言のように呟いたと思うと、両の頬を大きな手で覆われた。


「いいか?今お前のいる世界には、お前以外のヤツに惚れ込んでる俺はいない」

言いながら、頬を弄ばれる。少し痛かった。
不意に自分を見つめる目が優しくなって、ふわりと抱き締められた。


「俺の都合で毎回会うの先延ばしにしてるのは悪いと思ってる。浮気を疑われるのも仕方ないし、俺だっていつかそういうこと言われると思ってた。でも、




俺には、お前だけだよ」


心底愛おしそうな口調だった。



「…ごめん」

それだけを、何とか絞り出す。
視界が涙でぼやけた。


【私だけ】

7/15/2024, 2:56:46 PM

学生時代から片思いしていた友達。
隙を見せれば溢れそうな気持ちを抑えて、今まで接してきた。

でもなんだか、だんだんこの恋に希望が見えなくなってきて、

終わりにしようと思った。



たまには宅飲みでもしようと誘って、家に呼び出す。
ビールやらワインやらを机に並べて、至って普通の宅飲みを演出する。


そして、酔いが回りはじめたところで、男を押し倒した。

散々に嫌われて、この気持ちを終わらせようと思ってやったことだったのだが、
男が存外よさそうな顔をするもんだから、




気づいたら、





【終わりにしよう】

7/14/2024, 7:13:36 AM

アイツを追い越したい。
抜け目のないあの男を負かしてみたい。
あの頃は、強い劣等感がありました。


そんな感じで勝負をしかけて、
一緒に過ごしてみると、
意外な一面を見つけたりして、
あー周りはこういうの知らないんだろうなって、
優越感に浸っていました。


そうこうするうちに、
その男を好きになっていまして、
勢いのまま告白したら、
男は顔を真っ赤にして、大層愛らしい反応をしまして、
その日、
二人の間に、
大きな愛が生まれたのです。



【優越感、劣等感】

7/12/2024, 2:01:43 PM

これまでずっと、苦しかったもんな。
お前はこれで楽になれたんだよな、多分。



俺も精一杯抗ってみるよ、お前のとこに逝くまで。

一旦、お別れだな。
今までありがとう。またな。






葬式の日。すっかり白くなったその顔に、別れの言葉を告げる。
「だいすき」の四文字は、心の底に封じ込めて。

口に出すと、余計に寂しくなるから。





【これまでずっと】

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