「浮気、してないよな」
不安から、喉の奥につかえていた言葉が雪崩れ落ちた。
ため息をつかれた。
「…ついに言われたか」と独り言のように呟いたと思うと、両の頬を大きな手で覆われた。
「いいか?今お前のいる世界には、お前以外のヤツに惚れ込んでる俺はいない」
言いながら、頬を弄ばれる。少し痛かった。
不意に自分を見つめる目が優しくなって、ふわりと抱き締められた。
「俺の都合で毎回会うの先延ばしにしてるのは悪いと思ってる。浮気を疑われるのも仕方ないし、俺だっていつかそういうこと言われると思ってた。でも、
俺には、お前だけだよ」
心底愛おしそうな口調だった。
「…ごめん」
それだけを、何とか絞り出す。
視界が涙でぼやけた。
【私だけ】
7/18/2024, 11:54:48 AM