ポピーポピー
風に揺れる
涙は乾いた
オレンジ色の優しさよ
おおポピー
もう大丈夫と笑った君は
嘘つきだった
ああポピー
どうして届かなかった
平静を装っていただけだったのに
ポピーポピー
救えなかった
ポピーポピー
どこにでもある
ポピーポピー
君の好きな花
風に揺れる
ポピーポピー
雨が消し潰して
夏が来る
君に送った最後のポピー
日陰から日向を眺めるような懐かしさがある。
正確には、あの頃に感じた言い表せない感覚があった事を思い出し懐かしんでいる。
会いたいわけでもない。
妙に切なくて、けど優しくて。
悲しんでたら恥ずかしいくらいだ。
朝の陽が差し込む薄暗い部屋で君を感じている。
この気持ちをあの頃から少しも言語化出来ていない。
まるで君を探すみたいに近い言葉を
いや、違うな。君のことは探してない。
想像や思い出じゃ似て非なる別物だ。
だから辛いわけじゃない。
日陰から、日向を眺めてる時のような気持ちなんだ。
別れがある時、私はこう思う
私とその人が分岐しただけなんだろうと。
別々の道を歩むように、世界線が違った。
ルートが変わって、私の世界で形を変えた人の世界じゃ、私もまた別の形をしているのだろう。
もしかしたら、あなたの世界線ではより良いあなたと私でいるのかもしれない。
そういう形もあるのかもしれない。
私はそう信じている。
或いは、私が至らなくて、あなたのより良い世界に私は混ざれなかったのかもしれない。
その程度な私だから、この世界に絶望して苦しいのかもしれない。
それでも、世界は白か黒かじゃないから
グラデーションの端と端になってしまっても
私はあなたの幸福を信じている。
冬の中に閉じこもっていたい。
唯一自由でいられるから。
痛いほどの日差しも心地がいい。
悲しくても不自然じゃない。
世の中の喧騒も聞き流せる。
一番近くに感じる。
冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んで
浅い呼吸を正してくれる。
時間の流れも
鈍らせた心も
そのまま止めてくれそうな寒さに安心する。
咎める者は誰一人といない。
拭えない悲しみがある
ずっと私の中で留まって動かない。
悲しみの死骸だ。
そこから離れたかった。
彷徨って、結局は戻っている。
帰る場所もない、行き先もない。
草木と雲が僅かな光りを遮る。
追いかけたかった。
風が吹いて季節を知る。
私はまだここにいる。
湿地の枯れ木のように