「heart to heart」
恋でも、友情でも、同情でも。
そこに「心」が、「想い」が込められていれば。
それは全て広義の「愛」だと思う。
その想いは、相手に伝わる時もあれば、伝わらない時もある。
伝わったとしても、間に誤解が生じてしまう事もある。
想いや行動が裏目に出て、相手を怒らせてしまう事もある。
それでも、その気持ちの、行動の原点に揺るぎない想いがあれば。
いつかは、伝わると思う。
それは思った形ではないかもしれない。
満足のいく結果にはならないかもしれない。
でも、それでも。
「心」があって、「行動」を起こした事。
それは変わらない事実だから。
もし間違えていたら、やり直せばいい。
そこに「心」がある限り、諦めない限り、相手の迷惑にならない限り、何度でもやり直せるから。
自分の「心」を、「想い」を、「愛」を、相手の「心」に届けよう。
「永遠の花束」
生花はいつか枯れる。
ドライフラワーも、ブリザードフラワーも、長持ちはするけど、永遠ではない。
形あるものはいつかは壊れる。なくなる。
でも、心の中の気持や想い出は。
良くも悪くもずっと残る。
大きく心が動いた時の、一つ一つのシーンやその時の想いが、ずっと心の中に残り続ける。
辛い、切ない、哀しい想いや、後悔の気持ちとかは、淋しい、暗い花束に。
楽しい、嬉しい、愛しい気持ちとかは、綺麗な、明るい花束に。
でも、どちらも自分にとっては大切な気持ちで、想い出で経験で。
どちらが欠けても、今の自分にはなり得ない筈だから。
私が今の自分を肯定出来るのは、私の経験の、想いの全てが私を形作っていて、それを踏まえた上で、自分を好きだと言えるから。
だから、この永遠の花束を大切にして行こう。
「やさしくしないで」
貴方は誰にでも優しくて。
私だけじゃない。
勿論、あの子だけでもない。
皆に平等で、皆に優しい。
皆の為に心を砕いて。
皆の為に動いて。
でも、知ってる?
それは私にとっては優しさじゃないんだよ?
貴方は「僕にとっては君は特別だから」
って言うけど、でも、その言葉だけじゃ時には辛いの。
わかってる、私が我儘なだけ。
私が欲張りなだけ。
優しくない貴方なんて貴方じゃないし、貴方は困ってる人を放っておけない。
でも、それで誤解する子もいる。
誤解して、好きになって、結果受け入れられずに傷ついて。
そしたら、最初から好きになられない様にした方が実は優しいんじゃない?と思う時もある。
そんなあの子達の視線が刺さって、私もいたたまれない時もある。
好きな人には誰でも優しく出来るから、好きでない人にも優しく出来る人が本当に優しい人だってわかってるけど。
でも、その優しさが新たな傷を生むなら。
優しくしないで。
貴方の為に。あの子の為に。
それが出来ないと言うなら、私の為、ううん、私のせい、にしていい。
優しく、しないで。
「隠された手紙」
母が他界し、ずっと放置していた実家を片付けていた。
いつか片付けなきゃ、と思いながら、なかなか踏ん切りがつかず、ずっと片付けられなかった。
でも、このままにしておく訳にはいかないし、思い切って少しずつ片付ける事にした。
沢山ある細かい棚や、引き出しの中から、必要なのか不要なのか、一体いつの物なのか、と思う様な物が出てくる。
そして、大きな封筒が出てきた。
(どうせ又いらない書類なんだろうな)と思いながら、でも何だか他の雑多な書類よりは大事にしまってあったし、何だろう?と思いながら中を開けると。
私が、小さい頃から何かあるごとに母に書いた手紙が、全部とってあった。
喧嘩した次の日の「ママ、ごめんなさい」の手紙。
母の日の「いつも有難う。ママ大好き」の手紙。
就職して、初めての給料でプレゼントした時に添えた手紙。
結婚式の、母への手紙。
病気が解って余命宣告された時に書いた、「貴方の子に生まれて良かった。生まれ変わっても又親子になりたい」と書いた手紙。
時々思い出した様に母が手紙の内容を話してたから、「もぅ、恥ずかしいから言わないで!!手紙も読んだら捨ててよ?」って言ってたから、きっと隠してたんだね。
ずっとこうやって大事に取っておいてくれたんだね。
端っこが破れてたり、折り目がテープで補修されてたりする。
きっと、何回も読み返して、大事にしてくれてたんだね。
そう思うと、もう枯れたと思った涙が又出てきて、片付けが出来なくなった。
もう少し、このままにしておこう。
私が本当に片付けしたいと思える日まで。
「バイバイ」
いつもの帰り道。
この先の曲がり角で、君は「バイバイ」と言って帰って行く。
この道がずっと続けばいいのに、とか、曲がり角がなくなればいいのに、とか、あり得ない現実を夢見ながら、君との帰り道を楽しんでた。
もう何年、こうやって君とこの道を歩いただろう。
あと何年、君とこの道を歩けるんだろう?
それぞれ進路も違えば、通る道も変わる。
なんなら住む場所も変わるかもしれない。
僕は、そんな君とただの幼馴染のままでいいの?
このままずっと、この角で「バイバイ」って、手を振るだけでいいの?
そう自問自答しながら、でも、君との関係が気まずくなるのも怖くて、日々を過ごしてた。
でも、ある日。
いつもの曲がり角でいつものよう君が「バイバイ」って。
僕も「バイバイ」って言うつもりが、何故だか気持が溢れちゃって、気がついたら「好きです」って言ってた。
君は驚いた瞳で僕を見上げて。
でも、言った僕の方が実は驚いてた。
「あ、いや、ごめん、違う。いや、違わないんだけど。あの、だから。」
もう、自分でも何言ってんだかわかんなくて。
そんな僕を見て、君は笑って。
「何で貴方が慌ててるの?まぁ、おかげで代わりに私は落ち着けるんだけど(笑)」
「······でも。凄く嬉しい。私も同じ気持ちだから。」
そして、明日からは同じ曲がり角での「バイバイ」が、寂しさだけじゃなく、ちょっと甘酸っぱい想い出になっていく。