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「バイバイ」


いつもの帰り道。
この先の曲がり角で、君は「バイバイ」と言って帰って行く。
この道がずっと続けばいいのに、とか、曲がり角がなくなればいいのに、とか、あり得ない現実を夢見ながら、君との帰り道を楽しんでた。

もう何年、こうやって君とこの道を歩いただろう。
あと何年、君とこの道を歩けるんだろう?
それぞれ進路も違えば、通る道も変わる。
なんなら住む場所も変わるかもしれない。

僕は、そんな君とただの幼馴染のままでいいの?
このままずっと、この角で「バイバイ」って、手を振るだけでいいの?

そう自問自答しながら、でも、君との関係が気まずくなるのも怖くて、日々を過ごしてた。
でも、ある日。
いつもの曲がり角でいつものよう君が「バイバイ」って。
僕も「バイバイ」って言うつもりが、何故だか気持が溢れちゃって、気がついたら「好きです」って言ってた。

君は驚いた瞳で僕を見上げて。
でも、言った僕の方が実は驚いてた。
「あ、いや、ごめん、違う。いや、違わないんだけど。あの、だから。」
もう、自分でも何言ってんだかわかんなくて。
そんな僕を見て、君は笑って。
「何で貴方が慌ててるの?まぁ、おかげで代わりに私は落ち着けるんだけど(笑)」
「······でも。凄く嬉しい。私も同じ気持ちだから。」

そして、明日からは同じ曲がり角での「バイバイ」が、寂しさだけじゃなく、ちょっと甘酸っぱい想い出になっていく。

2/1/2025, 10:20:01 AM