「初恋の日」
初恋と言えばあの人を思い出す。
駆け引きとか、損得とか、釣り合いとか。
そんな事を何も考えず、ただただ純粋にあの人が好きだった。
あの頃と比べると、今は恋も上手くなり、楽しむ余裕すら出て来た。
自分が傷つく事も、相手を傷つける事も減ったと思う。
でも、ふとした時に思う。
きっともう二度とあんな恋は出来ない。
何も考えず、ただ真っ直ぐに人を好きになり、ただ純粋に相手を思った。
上手でもスマートでもない、無骨なだけの恋だった。
でも、あの二度と戻れない初恋の日は、ずっと私のかけがえのない宝物。
恋以外の、不純物が何一つなかったあの恋は、ずっと宝物。
「明日世界が終わるなら……」
もし明日世界が終わるなら、私は何をするのだろう?
私自身は、もう十分な時間を自由に生きてきて、悔いもない。
いつこの命が果てても、悔やむ事も惜しむ事もないと思っていた。
だから、もし明日世界が終わるなら。
私は娘の為にその時間を使いたい。
娘がしたい事や心の安定の為に、その時間を使いたい。
娘が私の側ではなく、誰かの側に居たいと願うならそれを叶えたい。
少しでも娘が、最期まで幸せで在れるよう、サポートしたい。
そう思うと、結局私の幸せは、娘の幸せなんだと思う。
あんなに自分勝手に生きてきて、行き着くところはそこなんだな、って妙に納得したりもして。
とにかく、あの娘に幸せで居て欲しい。
それだけが私の願いで、心残りかもしれない。
「君と出逢って、」
もし君と出逢わなければ、今の僕にはならなかった。
ただ毎日を無為に過ごし、時間を浪費するだけの毎日だっただろう。
夢も希望もなく、物事を悪く考え、人の悪意を憎悪し、人の善意を疑い。
世の中は黒く塗りつぶされていた。
だから、君の事も最初は嫌いだった。
いつも笑顔で、怒る事もなく、人を疑いもせず。
絶対この子は裏がある、腹黒い人だと思ってた。
でも、君を知れば知る程、裏表はなく、純粋で、ただただ善人である事を知った。
その笑顔も真実で、行動は真摯だった。
君に出逢えて、人って汚いばかりじゃない、って思い出せた。
もう一度人を信じるのも悪くないと思えた。
有難う、僕を「人」に戻してくれて。
有難う、世の中って悪いばかりじゃないと思わせてくれて。
君と出逢って、僕は幸せを取り戻せた。
本当に、有難う。
僕に出来るお返しなんて些細な事だけど、これだけは約束する。
君の笑顔を絶やさない様に、行動するよ。
君を悲しませない努力を、ずっと続けるよ。
君をずっと幸せにするよう、誠実に生きるよ。
だから、僕とこれからも、一生、一緒に居てください。
「二人だけの秘密」
二人が愛し合っている事は、二人だけの秘密。
誰にも知られたくない、知られたら困る、二人だけの秘密。
奥さんにも、旦那にも知られてはいけない。
同僚にも、隣近所にも、友達にも知られてはいけない。
貴方と二人で、そうやって必死に隠してきた。
いつかは公にできる日を信じて。
いつかは陽の光の下で、堂々と微笑いあえる日を夢見て。
だからきっと、この計画は万全。
この処置も、問題ないはず。
誰も私達の事は知らない。
貴方と私を結び付ける糸は見つからないはず。
だからきっと、バレないはず。
なのに……この不安は何?
外に沢山の車が居るのは何故?
赤色灯も見える気がするんだけど?
どうして?どこでつまずいたの?
誰も知らない二人だけの秘密だったのに。
邪魔な人達がいなくなって、やっとこれからだったのに。
何が悪かったの?
そして何より。
これから私、どうすればいいの?
「優しさだけで、きっと」
どんなに絶望の日々に思えても。
貴方が居てくれるだけで。
貴方が微笑んでくれるだけで。
貴方の優しさに触れるだけで。
それだけで、それを支えに、私は又今日も生きていける。