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「隠された手紙」


母が他界し、ずっと放置していた実家を片付けていた。
いつか片付けなきゃ、と思いながら、なかなか踏ん切りがつかず、ずっと片付けられなかった。
でも、このままにしておく訳にはいかないし、思い切って少しずつ片付ける事にした。

沢山ある細かい棚や、引き出しの中から、必要なのか不要なのか、一体いつの物なのか、と思う様な物が出てくる。

そして、大きな封筒が出てきた。
(どうせ又いらない書類なんだろうな)と思いながら、でも何だか他の雑多な書類よりは大事にしまってあったし、何だろう?と思いながら中を開けると。

私が、小さい頃から何かあるごとに母に書いた手紙が、全部とってあった。
喧嘩した次の日の「ママ、ごめんなさい」の手紙。
母の日の「いつも有難う。ママ大好き」の手紙。
就職して、初めての給料でプレゼントした時に添えた手紙。
結婚式の、母への手紙。
病気が解って余命宣告された時に書いた、「貴方の子に生まれて良かった。生まれ変わっても又親子になりたい」と書いた手紙。

時々思い出した様に母が手紙の内容を話してたから、「もぅ、恥ずかしいから言わないで!!手紙も読んだら捨ててよ?」って言ってたから、きっと隠してたんだね。

ずっとこうやって大事に取っておいてくれたんだね。
端っこが破れてたり、折り目がテープで補修されてたりする。
きっと、何回も読み返して、大事にしてくれてたんだね。

そう思うと、もう枯れたと思った涙が又出てきて、片付けが出来なくなった。
もう少し、このままにしておこう。
私が本当に片付けしたいと思える日まで。

2/2/2025, 12:29:11 PM