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2/2/2025, 12:29:11 PM

「隠された手紙」


母が他界し、ずっと放置していた実家を片付けていた。
いつか片付けなきゃ、と思いながら、なかなか踏ん切りがつかず、ずっと片付けられなかった。
でも、このままにしておく訳にはいかないし、思い切って少しずつ片付ける事にした。

沢山ある細かい棚や、引き出しの中から、必要なのか不要なのか、一体いつの物なのか、と思う様な物が出てくる。

そして、大きな封筒が出てきた。
(どうせ又いらない書類なんだろうな)と思いながら、でも何だか他の雑多な書類よりは大事にしまってあったし、何だろう?と思いながら中を開けると。

私が、小さい頃から何かあるごとに母に書いた手紙が、全部とってあった。
喧嘩した次の日の「ママ、ごめんなさい」の手紙。
母の日の「いつも有難う。ママ大好き」の手紙。
就職して、初めての給料でプレゼントした時に添えた手紙。
結婚式の、母への手紙。
病気が解って余命宣告された時に書いた、「貴方の子に生まれて良かった。生まれ変わっても又親子になりたい」と書いた手紙。

時々思い出した様に母が手紙の内容を話してたから、「もぅ、恥ずかしいから言わないで!!手紙も読んだら捨ててよ?」って言ってたから、きっと隠してたんだね。

ずっとこうやって大事に取っておいてくれたんだね。
端っこが破れてたり、折り目がテープで補修されてたりする。
きっと、何回も読み返して、大事にしてくれてたんだね。

そう思うと、もう枯れたと思った涙が又出てきて、片付けが出来なくなった。
もう少し、このままにしておこう。
私が本当に片付けしたいと思える日まで。

2/1/2025, 10:20:01 AM

「バイバイ」


いつもの帰り道。
この先の曲がり角で、君は「バイバイ」と言って帰って行く。
この道がずっと続けばいいのに、とか、曲がり角がなくなればいいのに、とか、あり得ない現実を夢見ながら、君との帰り道を楽しんでた。

もう何年、こうやって君とこの道を歩いただろう。
あと何年、君とこの道を歩けるんだろう?
それぞれ進路も違えば、通る道も変わる。
なんなら住む場所も変わるかもしれない。

僕は、そんな君とただの幼馴染のままでいいの?
このままずっと、この角で「バイバイ」って、手を振るだけでいいの?

そう自問自答しながら、でも、君との関係が気まずくなるのも怖くて、日々を過ごしてた。
でも、ある日。
いつもの曲がり角でいつものよう君が「バイバイ」って。
僕も「バイバイ」って言うつもりが、何故だか気持が溢れちゃって、気がついたら「好きです」って言ってた。

君は驚いた瞳で僕を見上げて。
でも、言った僕の方が実は驚いてた。
「あ、いや、ごめん、違う。いや、違わないんだけど。あの、だから。」
もう、自分でも何言ってんだかわかんなくて。
そんな僕を見て、君は笑って。
「何で貴方が慌ててるの?まぁ、おかげで代わりに私は落ち着けるんだけど(笑)」
「······でも。凄く嬉しい。私も同じ気持ちだから。」

そして、明日からは同じ曲がり角での「バイバイ」が、寂しさだけじゃなく、ちょっと甘酸っぱい想い出になっていく。

1/31/2025, 11:12:06 AM

「旅の途中」


人生を旅に例えるなら、全ての人が今はまだ旅の途中。

まだまだ旅が始まったばかりで、ウキウキ、ワクワクする時期を過ごす人もいれば、もう残りは帰路位しかなくて、一抹の寂しさを感じている人もいるかもしれない。

でも、何処に居ても。どんな状況でも。
旅は楽しい。
道に迷う事も、新しい発見をする事も、既知の事を確認する事も。
疲れるけど全てが楽しい。

だから、長くても、短くても。
疲れてても、少し飽きてきてても。
兎に角、楽しもう。
貪欲に、色んな事を吸収しよう。

二度と来ない場所だと思えば、ありきたりな景色でも目に焼き付けようとする。
二度とない瞬間だと思えば、大切にする。

人生は全てそうだから。
同じに見えても同じ事はなく。
人とも違うし、自分がしてきた事、見てきた事とも、少しずつ違う。

その時、その場所、その気持、その経験。
全てを大切にしていこう。

1/30/2025, 1:21:14 PM

「まだ知らない君」

Side.A
いつも君を見てるのに、まだまだ君の事を知らない。
君が何を考えているのか、どうしたいのか。
誰が好きなのか、嫌いなのか。
何となく見てると、君はこう考えてるのかな、とか、君はこれが好きなのかな、とかって思える事はある。
でも、君は本音を話さないから。
その笑顔の裏が真っ白なのか、真っ黒なのか。
それすらもわからない。
でも、そんな君に堪らなく惹かれる。
まだまだ知らない君がいる。
だから、もっと知りたい。
君が、好き。


Side.B
いつも君を見てるから、君が何を考えてるかは大体分かる気がする。
君は頭が良い分、解らない事が気になる。
だから、私が本音を話さず、表情にもあまり出さずに、気持を隠せば隠す程、私の事が気になっていく。
私はそれが分かるから、わざとそういう私を演出してる。
私の本音は、ただ君に好かれたい。見つめられたい。それだけなのに。
まだそれを知らない君は、私に翻弄される。




1/29/2025, 12:38:39 PM

「日陰」


夏だと日陰が恋しくて、暑い中歩いていて日陰を見つけると、ちょっとホッとしたりするけど、今は冬。
日向が嬉しい。

子供の頃は、日陰しか歩いたら駄目、とかの遊びをしながら学校から帰ったりもしたなぁ。
日向が続く所で、もうどう頑張っても無理な所とかに来たら、暫定的にその時だけ「3歩以内ならOK」とか、勝手にルール変えたりして。

そう思うと、子供の頃って、与えられた環境の中で楽しんだり、工夫したりして、だからどんな状況でもそれなりに楽しめた気がする。

でも大人になると。変に利便性や快適さを追求し過ぎて、そのままで楽しむ、って感覚が薄れてしまった。
暑い、寒い、雨降った、雪降った。
何やかんや不満が先に立って、その場、その時を楽しむ余裕がない事が多い。

でも、やっぱりそれって勿体ないよね。
どうせならポジティブに受け止めて楽しんだ者勝ちだと思うし、楽しまなきゃ損だし。
日々の生活に追われてなかなかそうは思えないけど。
でも、こうやって、ふと気づいた時に自分を戒めて、少しずつでもそう言う気持ちにシフトして行きたい、と思えた今日のお題。

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