「部屋の片隅で」
夏場にたまにある恐怖。
何かが部屋の片隅に、いる。
視界の端っこを、何かが横切る。
ゴキ~?!>.<(TT)
って、もう言葉にならない。
夏場と言えば怪談だけど、幽霊よりもよっぽどアイツが怖い······
「逆さま」
頭から、逆さまになって、落ちて行く。
よく走馬灯のように、って言うけど、ホントにそんな感じで今までの人生が思い出される。
幼かった頃、両親と遊んでいた私。
小学校の運動会、友達との遊び。
中学校の卒業式、初めての彼氏。
受験、大学生活、初めての夜遊び、お酒。
そして、初めて貴方と出逢った日。
結婚式、新婚旅行。
もう、よく自分の頭の中にこれだけの情報が詰まってるな、と思う位、沢山の色んな事が次々に流れてく。
そして、貴方に屋上で押された記憶。
彼女のお腹には、貴方との子供。
貴方は、私より彼女を選んだんだね。
私を押す瞬間も、貴方の瞳の中には全く躊躇も後悔もなかったよね。
最後の、嫌な記憶。
でも、いい記憶も一つ。
落ちる瞬間、貴方の腕を掴んだから。
貴方も今、一緒に落ちてる。
「眠れないほど」
眠れない程に、貴方を想う。
あの時の貴方。あの時の笑顔。
時々見せる照れた顔や、少し困った顔。
貴方の全てが愛おしい。
貴方が好き過ぎて、どうしようもなくて。
自分でもこの気持ちを持て余して、どうすれば良いのかも分からずに。
そして今日も貴方を想って、眠れない。
眠れない程に、貴方を想う。
あの時の貴方。あの時の、彼女を見つめる貴方の笑顔。
時々私に見せる、不審そうな顔や、かなり怒った顔。
貴方の全てが腹立たしかった。
可愛さ余って憎さ百倍。貴方が憎らし過ぎて、怒りが治まらなくて。
この気持ちのやり場がなくて。この怒りをどう処理すれば良いのかわからずに。
そして、今日は貴方の身体を、貴方の脱け殻を片付ける為に、眠れない程、忙しい。
「夢と現実」
学生の頃は、将来の事とか、好きな人とか、生き方とか、全てに希望があり、夢を語ってた。。
それは、夢であり、理想であり、諦めずに頑張れば、きっと将来掴める筈のモノだと思ってた。
だから、夢を諦めて現実に日和ったり、「生活が、子供が、」とか言って、冴えない現実を誤魔化す様な大人にはなりたくないって思ってた。心の中で、馬鹿にしてた。
でも、大人になって。
やっと。わかった。
皆、日和った訳でも、誤魔化した訳でも、逃げた訳でも、諦めた訳でもない。
ただ、あの頃とは環境も、立場も、目線も変わった。
そして、自分の夢や理想よりも、もっと大切な存在が出来て、その為に自分を曲げる位何て事ないって、思える様になっただたけなんだね。
そんな簡単な目の前の事実に気付かず、イキってた自分が、恥ずかしい。
あの頃の自分を叱りたいし、あの頃馬鹿にした大人に謝りたい。
今は、毎日の現実に追われて色々大変だけど。
昔と同じ様な理想は語れないけど。でも。
決して理想を捨てた訳じゃないし、これからもその時その時の、自分の夢を、理想を語ればいいと思うし、語って行く。
綺麗事でも、語る理想すらない様じゃ駄目だと思うから。
現実を、夢や理想を諦める口実にはしたくないから。
だから、これからも。
何よりも大切なモノの為に、夢や理想を語っていきたい。
そして、それを現実に近付けていく努力を、続けたい。
「さよならは言わないで」
今日が、貴方との最後の日なんだね。
振り返ると、数え切れない程の想い出が溢れてくる。
初めてのデート。
お互い緊張して喋れないから、会話がなくても成り立つ映画に行って。その後は、映画の感想を語り合って。
時々お互いに見つめ合って、恥ずかしくて視線をそらしてたね。
初めてのキス。
私も震えてたけど、貴方はもっと震えてた。
人って温かいんだなって、思った。
初めての喧嘩。
腹が立ってしょうがないんだけど、このまま終わるのは嫌だって、思った。
そこからも、沢山の初めてがあった。
その内、初めてじゃない事も増えていって、どんどん思い出の上に思い出を重ねてた。
結婚式の時の誓い。「病める時も健やかなる時も」の通りに、いつも貴方と一緒だった。
毎日の生活で手一杯で、ただがむしゃらに働いてた時もあった。
子育ての方針で、意見が合わずに話し合った日もあったね。
そんなこんなで長い年月が過ぎて、子供たちも巣立って。
そして、又二人だけになって、二人の時間を過ごしてたね。
でも、お互い長い年月を過ごしたから。
そろそろお別れの時みたい。
きっと、私に明日は来ない。
でも、本当に幸せだった。
貴方と出逢えた事、貴方を好きになった事、貴方に愛された事。
子供たちに巡り会えた事、孫の顔まで見れた事。
そして、その愛する人たちに、今囲まれている事。
ちゃんと、意識があって、私が私でいられる内に、最後に皆に会えた事。
本当に幸せだった。
こんなに幸せでいいの?って思う位。
こんなに幸せなんだから、さよならは言わないで。
私も言わないから。
私が言いたいのは、さよならじゃないの。
私が言いたいのは、この言葉だけ。
「有難う。本当に有難う。みんな、大好きだよ。」