桜夏

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11/26/2024, 1:15:42 PM

なんか今日ぼーっとするな。朝起きた時は特に感じなかったけど、放課後が近づくにつれて徐々に身体が重いような気がしてきていた。気のせいかな。ほっとけば治るかな。それとも大事を取って保健室に行った方がいいのかな。どうしよう……。
「うめ。今ひま?」
スパイラルに陥り始めた私の思考を遮るのは予想外の人物だった。
「え?暇だけど……。どうしたの?」
「いや別になんも無いけど。あたしも暇だし。雑談でもするかなって。」
ぶっきらぼうにわざわざ暇か聞いてくるのが面白くって。思わず笑ってしまう。
「ふふっなにそれ。面白いなぁらんは。」
「は?なんも面白くねぇだろ。」
そう言いながら私の頭をコツンと叩いたかと思うと急に真顔になる。
「うめ。アンタ体調悪いんじゃねーの?」
「へ?いやそんな事ないと思うけど……。」
「はぁ……。」
「え?なんでため息?」
「いやなんも無い。一旦保健室行くぞ。悪化する前に行っとけ。微熱でも熱あったら大人しくしとけよ。」
「いやちょっまえ?」
拒否権はないと言わんばかりにちょっと強引に私を引っ張って教室を出ていく。たしかに熱はあるかもしれないけど、ほんのちょっと頭に触れただけでわかるほど体温が変わってる訳ではないはずなのに。きっとあっても微熱程度だから。でもほんの小さな私の違いに気づいてくれるのは少しかっこいいと思ってしまう。
「ほんとそういうとこでしょ……。」

11/26/2024, 12:15:03 AM

「ひーなーた!おはよう!」
「へっ!?って千夏かぁ……。びっくりした。おはようございます。」
突然背中を叩かれてなにごとかと思ったけど千夏のいつもの挨拶か……。なんというかこの子基本的に距離近いんだよな。並んで歩いてると普通に手を握って来る時もあるし。こんなの私じゃなかったら勘違いするよ。
「それでね昨日さ……。」
「どうしたんですか?千夏」
楽しそうに話してたのに急に動きを止めて私をじっと見てどうしたんだろう?
ボケっとしてる私の頭に急に手を伸ばしてーー
「よし取れた!頭に葉っぱ乗ってたよ。ほんと日向ってば可愛いところあるよねぇ。」
そう言って頭を撫でたかと思いきや、太陽にも負けない眩しい笑顔で私を見て……。
「ーーっ。」
「どうしたの?なんか顔赤くない?」
「いえちょっと暑いだけです……。」
「そう?なら良かった。よし行こう!」
今が太陽の下で良かった。この頬の熱を誤魔化せる言い訳にできたから。

11/25/2024, 7:41:10 AM

この時期になるといつも彼女の後ろ姿を思い出す。どう見ても寒そうな薄手のセーターを着ているのに寒さを感じさせないぐらい明るい顔で笑っていて、そんな彼女を見ていると自然と私も温かい気持ちになった。笑顔が曇りそうになったら決して私たちにはその姿を見せないように背中を向ける。そんな強いようでどこか弱々しさを抱えていた彼女をずっと私たちは心配していた。おそらく私は他の誰よりも彼女を心配していた。それは内に秘めた恋心のせいなのか、はたまた特別な思い出を一番共有していた相棒であったからか。その答えは未だに分からない。ただ1つ分かることがあるとすれば、彼女と過ごす時間が少なくなったこの日々はどうにも昔よりも色褪せてしまったということだ。もちろん昔みたいに目標が無くなったからということもある。だけど、この気持ちの空白感はそれだけでは無いだろう。彼女に会えるだけでその日は楽しいのに、帰る頃には寂しくなって、毎日会えないことがこんなにしんどいなんて思っていなかった。私がこれだけ彼女のことを考えていてもきっと彼女は私のことをそんなに考えていない。そんなことを考えていつも心が荒む。

11/14/2024, 11:51:41 AM

「そういえばもう11月か。」
肌寒い秋風を感じて、ようやく今が冬の手前にいるのだと気づく。
11月になったにも関わらず昼間はまだ少し暖かさが残るため、薄手の服装で出てきてしまったが間違いだったかと少し反省する。
人通りの少ないこの道の物悲しさが余計寒さを助長するのか。はたまた心に溜まった気持ちが寒さを際立たせているのか。それは分からない。それでもどうせ一思いに吹くのなら。なぁ、秋風よ。
「僕の涙も一緒に秋(飽き)に連れて行ってくれよ。」

2024.11.14