モノクロの世界を色付かせたのは、他でもないおまえだ。
外の世界を好きになれたのは、おまえがいたからだ。
だから、ずっと恋しく想っている。隣にいても、遠い存在に感じている。
それに、おまえは、遠くへ行くための努力をしているから。
そのことを、応援出来ずにいるオレは、薄情だ。
自分勝手なオレは、おまえに、「どこへも行かないでくれ」と、すがり付きたいと考え続けている。
外のことなんて、気にしなくていいんだよ。
ここは、“楽園”だからね。
オレとおまえ、ふたりだけの“楽園”なんだ。必要なものは、オレが全部揃えるから。
もちろん、おまえには健康でいてほしいし、楽しい気持ちでいてほしい。そのために、色々と用意したんだよ。
ここで、ずっと一緒に暮らそう。
その足首の鎖には、きっと、そのうち慣れるよ。
あたしは、ふわふわ。空を飛んでいる。
見下ろす先には、あの男。
アイツは、あたし。あたしは、アイツ。
あたしは、アイツに殺された。
なんて、嘘。あたし、消えてあげたの。アイツとあたしが、完全に別たれる前に。
彼の隣に、女でないといられないと思ったんだよね。可哀想に。
でも、彼が、手を取ってくれたから。
ハッピーエンドまで、駆け抜けて。
瞬きの間に、人間の生は終わる。つまり、オレとおまえの結び付きも、すぐにほどけてしまうもの。
永遠が欲しい。おまえを、永遠に呪っていたい。
オレは、愛してるが、いつまでも言えないままでいる。
「おまえのこと、祟ってる」
そんな風に嘯くばかりで、オレは愛を紡げない。
オレたちを結び付けているものは、赤い糸ではないのかもしれないな。重たい鎖か、禍々しい髪の毛の束か、はたまた冷たくて痛みを伴う氷か。
オレは、祟りだ。厄災だ。例え死んでも、おまえを想う。
生まれたことに、意味なんてない。生きてることに、意味なんてない。
オレは、そう思ってた。
でも、おまえが、側で生きてほしいと言ったから、オレの命に重さが出来たんだよ。
地に足のつかなかったオレ。世間から浮いていたオレ。
おまえは、オレの人生の光だ。これからも、オレを導いてくれ。