スナエ

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4/26/2023, 10:26:07 AM

 おまえは、いつも犯人だが、悪人じゃない。
 単純な癖に複雑怪奇で、自罰的な男だ。ずっと、この世から消えたいと思ってる。
 そんなおまえを、傲慢かもしれないが、救いたくて。この手を伸ばす。
 それを掴んでくれたことは、本当に嬉しかった。でも、俺はまだ、おまえを救い切れていない。
 ずっと側にいてほしいと、おまえは言った。今すぐ自分の前から消えてほしいと、おまえは言った。
 俺は、ただ、おまえに生きていてほしくて、離れずにいる。
 結局、俺のエゴなんだろうな。

4/25/2023, 10:16:12 AM

 流星への願いは、ひとつ。
「オレを、消せ」
 その願いは、少し歪んで叶った。オレは、透明人間になったのである。
 意識も消してくれよ。存在を消してくれよ。
 特にしたいこともないので、オレは、おまえの後ろを歩く。
 すぐに分かった。オレのことを捜してるって。
 でも、見付かるはずがない。なんせ、オレは透明だから。
 毎日、毎日。おまえは、オレを捜す。
 いくら、おまえが名探偵でも、流石に透明なオレを見付けるなんて無理だろ。
 そう思っていた、ある日。
「そこにいるのか?」
 虚空に向かって、おまえがそんなことを言うもんだから、幽霊みたいになったオレは、元から色のないそれを、両目からこぼした。

4/24/2023, 10:11:54 AM

 決まりごとってのは、上手くすり抜けるためにあると思うんだ。
 そう言ったら、おまえは、「危険思想だ」と苦笑いを浮かべて、オレに呆れたな。
 正しいかもな。いや、おまえは、“いつも正しい”よ。
 そして、オレは、“いつも間違っている”んだ。
 そういう、世界の摂理だから。
 名探偵のおまえは、犯人のオレを、どうしたい?
 きっと、ルールに従えって言うんだろうな。

4/23/2023, 10:20:19 AM

 あさ、めをさます。
 おそらは、はれ。
 でも、なんだろう? おれは、ないてる。
「おはよう」
「……だあれ?」
 きみは、だれ? しらない、おとなのひと。
「俺は…………」
「ねぇ、なみだのとめかた、しってる?」
「……悪い。知らない」
「そう…………」
 きみが、どうしてそんなかおをするのか、おれにはわからない。

4/22/2023, 10:42:04 AM

 間違いじゃないものを挙げる方が、楽だと思う。
 オレの、おまえに対する感情は、きっと始めから間違いだった。“好き”だけが肥大していくオレは、醜い芋虫みたい。おまえに触角を伸ばしている。
 だけど、それでも、おまえは隣にいた。
 いつか、オレもおまえみたいに善くなれるだろうか?
 その時まで、傍にいてほしい。

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