囃子音

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2/18/2023, 10:15:35 AM

倦怠感
焦燥感

希死念慮

別に
幸せだよ

でもちょっとイライラする

今日も何も出来なかった

ながいこと床にうずくまっていた
世の中ではそれを何もしてないといった

何もしてないのにお腹が空く

あの子は今頃バイトに
あの子は資格を取りに
あの子は部活を
勉強を、趣味を、ボランティアを
親孝行を、恋を、就活を


ごめんね

わたし
そこまでして生きてる意味がわからないや

いっしょうけんめい生きてく意味が
いやいやこの生活を続けていく意味が

でも、みんなそれを問うのをやめた
大人になったからだよね
かっこいいよ
すばらしいね


でもね
わたしだけは大人になれない
なりたくない
なる意味がわからない

ごめんね
ごめんなさい

一秒でもはやく
今日という日が終わって、終わって、終わって


そして



さようなら




2/17/2023, 10:53:38 AM

あのひとはあたしのお気に入り

年齢よりずっと若い顔も
寝癖だらけの髪も
毎日同じ柄の服も
うたをうたう声も

あのひとの気に入ってるものも
全部があたしのお気に入り

あのひとが勧めていた本は全部読んだ
あのひとのお話はどれもまじめに聞いた

あのひとが苦手だっていうから
あたしは目玉焼きを嫌いになった

あの人はあたしのお気に入り
雨だれや子猫のヒゲ
ミトンやりんごのタルト
そういうのとおんなじなの


でも、あたしはあの人のお気に入りじゃない
成績は良くないし、ほかの子より目立たない
そしてあたしは、あなたに声をかけられない

それでもいい、だってあなたはあたしのお気に入り

誰にだって平等で
いつも考え事をしていて
ものごとを勝手にきめつけなくて
うたの美しさをしっていて
優柔不断だけど、優しくて強い
どんな理不尽にも真剣に立ち向かう

そんなあなたがお気に入りなの
だからあたしはお気に入りじゃなくていい


それがたとえ

犬に噛まれるより痛くて
蜂に刺されるより苦しくて
何よりも悲しいとしても

あなたはただのお気に入り
あたしの



私の…

2/16/2023, 11:00:11 AM

誰よりも上を目指したあなたは
誰よりも孤独な山頂に消えた

誰よりも自由を愛したあなたは
誰よりも自由に囚われていた

誰よりも美しかったあなたは
誰よりも醜さにまみれていた

誰よりも優しかったあなたは
誰よりも憎しみの標的だった

誰よりも強かったあなたは
誰よりも簡単に弱さに挫けた

誰よりも勤勉だったあなたは
誰よりも働けなくなってしまった

誰よりも思慮深いあなたは
誰よりも先に不安に食い殺された

誰よりも才能があったあなたは
誰よりも深い谷に落ちた

そして


誰よりも自信がなくて、不自由で、醜くて、意地
悪で、弱くて、不真面目で、浅はかで、才能のない





私だけが、ここに生き残ったのです












2/16/2023, 1:14:03 AM

「10年前の私へ」

そんな言葉から綴られたボトルメールが私の島に流れ着いたいたのは、つい昨日のことだった。

最初は、奇妙に思った。こういうたぐいの手紙は普通、クッキー缶なんかに入れて、手近なところに置くか、地面に埋めるかするだろう。しかも、10年「前」…「後」ならともかく、「前」ならば、絶対に届かないではないか。

しかし、内容を見て言葉を失った。それはいわゆる「遺書」だった。「今の私は幸福で、恵まれているつもりだけど、あなたの望んだとおり、やっぱり死ぬつもりだ」というようなことが書かれていた。

日に焼けて茶色くなった紙の最後に、名前らしきものが書いてあった。苗字なのか名前なのか。恐らくこの海に漂っているのなら、大半は偽名だろうが、変に難しい字で、読み方が分からない。私の使う言葉と、同じ種類であるかも怪しい。

ふと、私はあるアイデアを思いついた。この名前を借りて、私も手紙を書いて流そう。

この島には、小さな家があり、私はそこで長らく独りきりで、前の持ち主の大量の蔵書を読むだけで暮らしていた。

しかし、この頃その生活に退屈していた。私も、何か書きたい。そう思って少し書いたが、私は自分の書いた陳腐な言葉が、特に誰かに読まれるわけでもなく、ただ部屋の隅に溜まっていくことに耐えられなかった。

だが、ボトルメールなら…書きっぱなしで手放すことができる。誰かが読んでくれるかもしれないが、読んでくれないかもしれない。しかし、所在なさを吐き出すにはちょうどいい娯楽だ。

私には名前が無かった。色々考えたが、結局いい名前をつけることが出来なかったのだ。今、不思議とこの奇妙な名前を気に入りつつもあった。少し借りてもいいだろう。この難しい名前の主は、もうとっくに死んでいるだろうから。

詩でも物語でも日記でも、なんでもいい。私の疲れ衰えた脳みそが知りうる限りのことを全て使って書こう。どうせなら、色んな人や物になって書こう。私以外の何者かになって書こう。その方がずっと面白くて、楽だ。

私は幼いころの夏休みのような気持ちになった。漂流物のストックから手頃な瓶を選び、しまい込んでいたペンとノートを取り出した。


そうだな、まずは…


2/14/2023, 4:12:28 PM

たまには戦略に踊らされたってかまわない

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