L「ただいま、遅くなった」
P「おかえり!先にお風呂入っちゃった。メッセージ読んだ?ご飯二人分買ってきたの冷蔵庫入ってる」
L「ありがとう」
廊下とソファから会話を交わす。Lは鞄を玄関に置きっぱなしにしてそのままキッチンへ入る。
石鹸で手を洗い、冷蔵庫を開けて中の焼きそば弁当を手にとる。半額セールのシールが貼ってある弁当のフタを外し、ラップをかけて電子レンジへ。
P「ねえ、今日も遅く打ち合わせだった?」
L「あ…、うん、まぁ」
P「そっか、おつかれだね」
L「うん…」
電子レンジがチンと音をたてた
焼きそばを取り出し、Lがテーブルについて箸をとる
L「あのさ」
P「なに?」
L「いや、なんでもないや」
P「そう」
帰りの電車で携帯の画面から見た同級生のニュースを思い出しながら、焼きそばをかきこむ。
P「今日はいつもよりおつかれっぽいね」
Pがソファを立ち、Lの向かい側にある椅子を引いてその上に座る。
L「まぁ…、そうかな」
顔を上げて、Pを見る。
画角の真ん中に鎮座するP。
それを囲む白い壁と白色蛍光灯の光。
視界には入らないが、脳裏に浮かんだ玄関に置かれたままの鞄。
携帯電話。
P「私も疲れちゃった」
上目遣いな表情が目の前に浮かんでいる。
空中に固定されているみたい。
L「美味しい、コレ」
半額の弁当を食べながら、このまま二人でずっと、この部屋から何処にも出られなくなってしまった気がした。
「−愛と平和−」
空より降るる塵芥
雲の切れ間より注がれる
光の柱を燦々と
部屋に積もった塵芥
冷たい床と無機質に
混ざり合って石のよう
だんだん降る
だんだん降る
しんしんと
しんしんと
時を進める砂の時計
地に行き着く塵芥
掬った掌流せども
床に降ろせば唯の砂
だんだん降る
だんだん降る
しんしんと
しんしんと
「−過ぎ去った日々−」
乗り物に乗って遥か遠くへ
君と一緒に乗る電車の車窓
君と一緒に食べる駅弁当
君と一緒に歩く旧市街の風景
君と一緒に泊まる旅館の部屋
君と一緒に…
帰り道、君に別れを告げて乗る乗り物
乗車券を買った後の財布は
あと少しで底が見えてくるみたい
残った小銭を取り出して
自動販売機で缶ジュースを買った
「−お金よりも大事なもの−」
冬の夜に空に浮かんだ
街を照らす白い月
闇に隠しておきたい秘密も
此処では必ず明かされて
夜道を歩く私の前で
自慢気に笑みを浮かべる君も
それはどうせ誰かに借りた
偽の光でしかないんだろ?
「−月夜−」
毎日朝早く起きて
毎日満員電車に乗って
毎日頭を使って
毎日身体を使って
毎日好きでもない事ばかりに
君は必死に心を使って
私はもう見てられないぜ
だから今日はこの私が
君の頭と身体と心を使うよ
さあ、ゆっくりおやすみ
「−たまには−」