「死ねませんね」
口角を浮つかせながら
嘲笑うようにあいつはそう言った。
俺は一体いつになれば
死ねるんだろうか、
一人、暮らしていたはずの部屋にはいつの間にかあいつがいるし
紐が切れて無様に床に放り出された俺は
そのまま眠りについた
伝染病
あいつの気持ちが伝わってどうしようもなくいたたまれなくなった
きっとあたしが目をそらさなかったのは
それが非日常的なことで、現実味が無さすぎたから
現実味のないそれが嫌に綺麗に見えて
嗚呼、これはきっと思っちゃいけないことなんだって
猫が宙を舞うみたいな
そんな、
心臓の音が嫌に大きく聞こえて仕方ない
喉が無性に乾くようなそんな
焦燥感に駆られている
自分の体を殴っては
ただ悶える
泣きもできない、この感情を
なんといおうか
自分の欠点を見つけては
それをどうともできない苦しさを知り
成長も退化もしていないという事実にただ
苦しむのである
このまま自分が溶けてしまえばいいと
何度思っただろうか
このまま液体になり
太陽の光で蒸発してしまいたい
自分という体を持たず
自然と同化しごちゃ混ぜにしてしまいたい
もう消えてしまいたい
死にたいが痛いのは嫌だと言うのは我儘だろうか
自殺するくらいなら
他人に殺されたいなんて傲慢だろうか
いったいどうすればこの全ての感情が救われてくれるのだろうか
死にたいですか?
どう死ぬんですか?
なんで死ぬんですか?
辛いことがあったんですか?
なんでなんですか?
分からないんですか?
分からないんですね。
夏
金魚が水槽の外に放り出されて
猫がないて
蝉がうるさくて
ジリジリ僕の身体を太陽が焼いて
汗がつたった。
僕の下には蟻の行列があって
僕がこの真下に汗をたらせばこいつらは僕の汗に殺されるんだろうな
なんて可哀想な死に方なんだって
そんなこと考えた。
陽炎が燃えて
僕もそのまま白いもやもやになれたらいい。
なんで、
なんで僕は死にたいんだろう。