好きな本がある。外国の本を日本語訳しており、その外国特有の雰囲気が大好きだった。なんどもなんども読んで、すり減っている背表紙を見ると自分がこの本をどれだけ好きなのかを視覚的に把握できて何か嬉しくなる。今まで沢山の本を読んで来たけれど、最初に好きだと思ったあの本はやっぱり揺るぎない一番である。自分の代のプリキュアが一番面白かったって言う人と通じる所があるかもしれない。その本を今探している。まだ家にあるにはあるが、そろそろ破けてしまいそうなのだ。実際所々すり減って紙が薄くなっている。新しく同じ本を買って綺麗に保存しようと思う。色々な本屋さんを巡って探すのは骨が折れるけれどとてもワクワクして楽しい。大人なので本屋に居られる時間に制限があるのが悔しいけれど、それもまた一期一会的な感じでありかもしれない。明日行く本屋さんには入口の方で金魚を飼っているらしい。それを見るのも楽しみだ。
あいまいな空が俺にはお似合いだ。カラッとした元気や明るさも無ければ、落ち込んだりする程の悩みなんてものがある訳でもない。心が晴れ模様でも雨模様でも無い。中途半端で大きく進む勇気も立ち止まる勇気も無い。そんな男はあいまいな曇り空がお似合いなのだ。時たま元気が顔を出すが基本あまり感情が揺れ動かず、悲しいとか辛いだとかもほとんどない。特に面白味のない人間なのだ。晴れも雨も俺には息苦しい。曇り空だけ傘が要らないんだ。日差しも雨も俺を襲ってこない。これはお似合いというか俺からの一方的なLoveなのかもしれない。あ、そろそろ授業終わる。次は体育なんだよなー。雨降らないかな。そんな事考える俺は浮気者かもしれないな。
あじさいを見ると姉が頭に過ぎる。笑顔が可愛くふわふわしてて、でも確かに姉で妹の私からしたらかっこよかった。真剣な顔は美しく、笑顔は可愛くて、そしてふと見ると儚げな顔をしてる。コロコロと変わる訳では無いが姉には沢山の顔があって、私は見る度に色が違うあじさいの様に見えた。少々短気な私を包み込む包容力とか、性格も含め全てが綺麗でやはり淡い色のあじさいなんだと思う。なんなら妖精の可能性まである。今度姉に会う際にはピンクのあじさいを贈ろう。何をあげても喜んでくれる姉の鑑のような人だ。そんな人の妹になれて良かったし幸せだと思う。だから私もできるだけ妹の鑑になろうと思う。浮かぶ顔が笑顔で溢れてる姉が私は大好きだ!
好き嫌いが無い子供だった。大人になった今は好みはあるが、子供の時は好きも無かった。食事に関してもそうだった。ピーマンを苦く感じたり、椎茸を臭く感じるのは確かにあったが、嫌うまででは無かった。だから小学校とかでの自己紹介カードで好きな食べ物は?とか嫌いな食べ物は?とか聞かれても分からなかった。無難に好きにカレーだとか嫌いにレモンだとか理由が簡単に分かりそうなのを選んで書いた。多分無難でありたかったのだろう。好き嫌いは特に個人個人で違う。好きはともかく嫌いは敵が出来てしまう。敵は言い過ぎかもだが、分かり合えないが発生する。そして別に大好きとまでは行かないのに好きだと言うと、本当に大好きな人に絡まれた時とか、嫌いだとか魅力を感じてない人へそのものの良い所のプレゼンをする際に困ってしまう。だから無難を行くのだ。敵を作らずテンプレの様な説明がある物を選ぶのだ。好き嫌いの無い自分にはそれが出来てしまう。それで良かったと思うと同時に自分の好きとはなんだろうと思ったこともある。嫌いが無いのは素晴らしいかもだが、好きが無いのは自分も周りも少々困る。だから大人になってからは好きを探して少しでも他より良いと思ったらそれを好きにしている。まぁ、好きと言うよりかは好みであると思う。LIKEですら無いのだから。あと、嫌いとまでは行かないけれど苦手も大人になって出来た。人間の種類で苦手な人がいたのだ。今まで出会わなかったのが奇跡だったのかもしれない。だから大人になった今は好き嫌いがある人間になった。これは成長であると思う。苦手が出来るのも成長なのだ。大人になると自分の発見の連続だ。世界が狭い子供の時の好き嫌いが無い悩みは簡単に晴れた。思ったより楽に見つかった。好き嫌いは良いことだった。
街に行ってみた。村とかでは無いが、比較的田舎に住んでいる俺はキラキラした都会に行ってみたかった。実際に行ってみると人は多いし建物は全部高いし圧迫感とか、疎外感が凄くてキラキラを感じる余裕は全然無かった。でもそれは昼間だったからと思い、夜にも出掛けてみた。とてもキラキラしていた。キラキラといっても沢山あって、色んな色が入った明るいキラキラとか、黒いのにキラキラしてるのとか、なんか凄かったのは確かだった。俺の住んでる場所には無い色だった。色としてはあるのだが、色の使い方?色の彩度とかが違った。空気が汚いだとか聞くが、そんなもんだろうってレベルだった。そこまでの田舎に住んでないからかもだけど。とにかく、街に都会にキラキラを求めて行った俺は大大収穫を獲て家に帰宅した。むっちゃ楽しかった。機会があったらもっと計画立てて行くことにする。綿密に立てなくちゃ!