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お題:こんな夢を見た #3
※イケメンヴィラン 闇夜にひらく悪の恋より
エルバート・グリーティア×コテキャ※
夢思考苦手な方はブラウザバック推奨
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「 ……っふふ、 」
いつもより少しご機嫌な朝、僕は微笑みながら廊下を歩いていた
何せ昨晩、良い夢を見たのだ。
浮き足立った気分のまま鼻歌を歌っていると、誰かにぶつかった
「わっ、!す、すみませ……っ!」
咄嗟に謝り上を見上げると、そこにはエルバート様が居て
「 …俺は、大丈夫。テルは 怪我は無い? 」
体格差故にビクともしていなかったらしく、少しよろけた僕の腰に
腕を回して抱き寄せる。
「 ぼ、僕も 大丈夫…です、ごめんなさい ぶつかって、 」
「 ……気にしなくて良い。何か、良い事でもあった? 」
「 えっ、 」
「 鼻歌を歌っていたから…珍しいと思って。勘違い、だったかな 」
少し不安げに僕の顔を覗き込むエルバート様は、随分と可愛くて
僕は必死に首を振る。そして、昨晩あった事を話し始めた。
「 いっ、いえ…!実は昨日の夜に、いい夢を見て… 」
「 …いい夢?……どんなもの? 」
「 え、エルバート様が、出てきてくれたんです 」
「 !…続けて 」
僕がエルバート様の名前を出すと、エルバート様は少し驚いた顔をした。そして話を続けるように促して
「 夢の中のエルバート様が、沢山 ハグとか、抱っことか、あ、後… 」
「 ほっぺに、キスをしてくれたんです 」
「 とっても嬉しくて、それで___ 」
頬を赤くしながら続きを話そうとした時、エルバート様の腕に力が入ったかと思えば、そのまま僕の視点はエルバート様の顔の位置と同じくらいになっていて
どうやら抱き抱えられたらしい。急にどうしたのだろうと慌て、気恥ずかしくて少し顔を下に向け声も出せずに照れていると
「 …少し、夢の中の俺に嫉妬してしまった。 」
「 テルを独占出来るのは、俺だけなのに 」
そういつもより低い声で言われ、おでこに口付けを落とされる
そうだった、エルバート様はなんにでも嫉妬してしまうんだった
「 あっ、あの エルバートさまっ…… 」
震える口で弁明しようとしても、1度嫉妬してしまったエルバート様の火はそう簡単に消えなくて。
頬や首に落とされる口付けの雨に耐えながら、僕はアルフォンスさんが通りかかるまでの小一時間、エルバート様に抱えられていた。
𝑭𝒊𝒏.
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お題:祈りを捧げて #1
※イケメンヴィラン 闇夜にひらく悪の恋より
エルバート・グリーティア×駒鳥 (エル駒)※
NL苦手な方はブラウザバック推奨
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ある浜辺に祈りを捧げる。
エルバート様の秘密の場所であり、悲哀が詰まった母なる海
水平線の向こうまで続く波に 私の想いを乗せて祈る。
''エルバート様を連れ去らないで''
''どうか、憂いを帯びたその感情を晴らして''
手をぎゅっと胸の前で握って、目を閉じる。
さすれば美しい波の音が鼓膜を揺らし、頭を支配する。
夜の浜辺はよく冷える
普段はエルバート様と共に来ていたが、今日は一人で来てしまった
今日だけは、エルバート様にこの行動を見られたくなくて。
波を音を聞きながら祈り、数十分が経った頃だろうか
ふと ゆったりとした足音が聞こえた。
バッとそちらを振り返ると、そこに居たのは
心配そうにこちらを見つめるエルバート様で。
''…ケイト、此処で何をしてるの''
エルバート様はこちらに近付くと、私の手を握って
少し俯いてから、こう言った
''……君がこんな時間に外に出ていると聞いて、心配した''
''何かあったらどうしようかと、思った''
''もう帰ろう、ケイト。手が冷えている。''
私はするりとエルバート様の手から手を離し
''まだ 帰れません''
…そう伝えた
エルバート様は不思議そうな 心配そうな顔をして、
私に問いかける。
''…どうして?''
私は深呼吸をして、エルバート様の瞳を見つめながらこう答えた
''私の祈りが、波に持って行かれるのを待っているんです''
''大切な願い事だから ちゃんと持って行かれているか見届けないと''
エルバート様は口を噤んだ。
そうして何かを思考するような仕草をした後に、
''…それは…どんな願い?''
確かめるような、不安を拭うような そんな瞳で
水平線の向こうを見つめた後、私に目線を移した
''ふふっ…いくらエルバート様でも、秘密です。''
''でも、悪い願いじゃないですよ''
秘密。だけれど、エルバート様の不安を拭うように
目を細めて微笑んでみせた。
''君は、…ズルいな''
そんな私の微笑みに少し安堵したのか、エルバート様も
美しく微笑んで私を見た
''…でも、体が冷えているから。
明日にまた来るのじゃ、ダメ かな。''
''うーん…エルバート様と話していたら、願い事がちゃんと連れて行かれたような気がするので、もう大丈夫ですよ''
''ん…そう、なら 良いけど''
そんな会話をしながら、手を取りあって 浜辺を後にする
エルバート様の手は 暖かくて、優しかった。
この穏やかな時間が、ずっと続いてくれれば良いな
今日は エルバート様が穏やかな夢に包まれて眠れますように
Fin
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お題:遠い日のぬくもり #2
※イケメンヴィラン 闇夜にひらく悪の恋より
エルバート・グリーティア×コテキャ※
夢思考・タヒネタ苦手な方はブラウザバック推奨
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ある暑い夏の日の夜だった。
僕とエルバート様は、共に浜辺へと足を運んで
二人で一緒に 海を見ていた気がする。
二人きりで、誰にも邪魔されずに 水平線の向こうを見ていた時間は 何より大切で、何より守りたいものだった。
守りたいものの、はずだった。
その日は突然やって来て、エルバート様は亡くなった。
水平線を眺めた翌日の任務で。
僕はその時、お城でエルバート様の帰りを待っていた。
帰ってきたエルバート様は 冷たくて 動かなかった。
僕はそれを見て逃げ出していた。
信じたくなかったからだ。
大切な人の死など、信じたくなかった。
受け入れたくなかった。
数年、クラウンの皆の協力あってなんとか食事は取れるくらいに
回復したけれど、やっぱり 未だ夢に見る。
かつての遠い日のぬくもりを。
あの海で、水平線の向こうを眺めた夜の情景が
鮮明に脳裏に浮かんで、こびりついて、離れない。
エルバート様と交わした愛の言葉の数々。
僕はそれを、頭の中で永遠と再生する。
人が一番最初に忘れるのは、声だ。
エルバート様の何かを忘れるのが、僕は怖かった。
だから毎日、毎日 寂しい夜にエルバート様の声を添えた。
そんな僕を見て、ケイトさんは心配を隠さなかった。
''…テルミー君、私でよければ 力になりますから''
ケイトさんはそう言った。
エルバート様と似た、寄り添うような優しさ。
ケイトさんを見ると、ふとエルバート様を思い出して 辛くなる。
''僕は、平気 です。ごめんなさい 心配をかけて。''
正直、心内は平気とは言えないし、今すぐにでも泣き出したい気分だった。だけれど、それは僕のプライドが許せない。
僕が泣いたら、悔いを残して逝ってしまったエルバート様が
不安でいてもたっても居られなくなってしまうから
…けれど、そのプライドとは反対に 声は震えていた。
''そう、ですか… ''
ケイトさんはなんと言うべきか、言葉に詰まっているようで。
''じゃあ また、何かあれば呼んでくださいね テルミー君''
悩んだ末に、僕を放って置いてくれたのだろう。
優しく微笑んで、ケイトさんは部屋を後にした。
ケイトさんが部屋を出た瞬間、ぽとりと一滴の雫が床に落ちた
自分自身の、涙だった。
それに気付いた瞬間、僕は急いで涙を拭った。
泣くな、泣くな。エルバート様が 心配してしまう。
そんな事を思いながらも 涙は止まることを知らない。
最後には 拭っても目から溢れる程の大粒の涙が音を立てて流れた
ベッドの上に力なく座り、涙を声も上げず素直に流す。
エルバート様は 今、どこで何をしているのだろう
幽体のまま、僕の傍に来てくれたのなら__
そんな事を考えている内に泣き疲れて、眠くなって
僕はぽすんとベッドに横になり、眠りについた。
今日は珍しく、此処が夢の中であると認識出来た。
周りを見渡すと、雲のような 幻想的な空間で。
ひとまず歩いてみることにした。
何もない。真っ白で 浮いているような感覚でさえする。
しばらく歩いていると、ゆらりと人影が見えた。
僕はその人影を見た瞬間に固まった。
金糸のようなサラサラとした金髪に
陶器のように艶やかな肌。
シルクのマントを羽織った、ビスクドールに似た美しい人物
その人物はこちらに気付くと、ゆっくりとこちらに近付いて来て
''……テル。''
僕の目の前まで来ると、優しく微笑み 僕の頭を撫でた。
''える、ばーと…様、?''
''…うん。…そうだよ テル。''
エルバート様だった。夢の中だと言うのに、妙に感覚がリアルで
いつの間にか僕の額を流れていた涙を、
エルバート様はそっと拭った。
''なんで、どうして ここに''
''……テルが、泣いていたから。…逝くに逝け無かった。''
''俺のせいで、寂しい思いを させてしまったから''
エルバート様は 悲痛に耐えるような顔でそう呟いた
やっぱり、この人は優しすぎる。
''…エルバート様の馬鹿…!''
''なんで 死んじゃったんですか…!!''
夢であるならば、文句の一つでも言ってしまえと
涙ながらにエルバート様を抱きしめて、そう言った。
''…ごめんね''
エルバート様も僕の腰に腕を回し、ギュッと抱きしめ返した
まるで離すのが惜しいように
''…僕も、一緒に連れて行って欲しかった…''
離れ離れになるくらいならば
永遠と続くような悲しみを味わうくらいなら
エルバート様と共に逝きたかった
これが 僕の本音だ。
それを聞いたエルバート様は 少し目を見開いた。
そして、少し考えるような仕草をして
''……俺も、テルと一緒が良い。''
''離れてしまうくらいなら、いっそ 連れ去ってしまいたい''
エルバート様は淡々と口にしたけれど
その瞳は深海のように暗く、憂いを帯びていて
その瞳を見てしまうと 何も言えなくなる。
…だけど 此処で言わなければ 永遠の心の苦しみを味わう事になる
だから僕は言った
''…じゃあ、エルバート様の思うように してください''
''僕を、そっちに連れて行って''
クラウンの皆には迷惑をかけると思う。
ケイトさんも悲しませてしまうだろう
だけれど、それでも良い。
僕は、エルバート様と一緒が良い。
エルバート様は言葉を聞いた瞬間、 一瞬だけ笑みを浮かべて
僕の手を、そっと取った。
''…分かった。……おいで、テル。''
''はい、…エルバート様''
僕は少しの微笑みを浮かべ、エルバート様の方へと歩む
これで良い。
これで良かった。
これが遠い日のぬくもりを恋焦がれた、僕の正解だ
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クラウン内でまた死者が出た。
テルミー君、貴方はエルバート様と一緒に、逝ってしまったのですね
鈍感な私でも、すぐに分かりましたよ。
…本当に、愛し合っていたんだと 実感します。
だって こんなに穏やかな笑顔で、ずっと眠り続けているんですから
Fin
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お題:揺れるキャンドル #1
※イケメンヴィラン 闇夜にひらく悪の恋より
エルバート・グリーティア×コテキャ※
夢思考苦手な方はブラウザバック推奨
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雨のふりしきる夜、僕とエルバート様は二人 ベッドに身を寄せ合って毛布にくるまっていた。
外は生憎の雷雨で、時折鳴る雷の音と激しい雨のが僕の心の内の恐怖心を掻き立てる。
幾らエルバート様に抱きしめられ、温もりを感じていても 少し怖くて、気分転換に起き上がろうとした。
そんな僕の行動をエルバート様が不審に思わないはずもなく
''どうしたの''
そう聞かれた。
僕は少しばかり震える声で
''少し、気分転換を…しようと、思って''
そう声を絞り出した。
するとエルバート様は僕と一緒に起き上がり、おもむろにベッドから腰を上げて、棚からキャンドルを取り出し 火をつけて、ベッドの横に置いた。
''…これで、落ち着けるか 分からないけれど''
''一緒に眺めていたら、少し マシにはなるかもしれない''
エルバート様の優しさに、思わず胸が高鳴るのを感じた。
人の痛みに誰より敏感で 優しいエルバート様が、僕は大好きだ
''ありがとう、ございます。…火がゆらゆらしてて、可愛い''
ゆらりゆらりと揺れるキャンドルの火。見ていると少し安心出来て、ぽつりと言葉を零す。
エルバート様も、僕の隣へと腰を下ろして 同じ気持ちだと言わんばかりに軽く頷いていた。
何も喋らず、ただ二人で寄り添ってキャンドルを眺めている時間がこれほど愛おしい物だとは思わなかった。
いつの間にか時間は足早に過ぎていて、もう雷雨はすっかり落ち着き、キャンドルも溶けて消えかかっている状態だった。
''…もう、こんなに 眺めていたんですか''
''そう、みたいだ。…テルと居ると、時間が早く感じる…''
''僕もです、エルバート様''
二人で見つめあって、微笑んで 再び毛布にくるまる。
エルバート様は消えかかった灯火にふっと息をふきかけ、暗闇へと戻した。
そうして夢へと行く前に、暖かな言葉を交わす
''…おやすみ、テル。''
''おやすみなさい、エルバート 様''
穏やかな夢へと導いてくれる、安寧の言葉。
そうしておでこに口付けを落とされ、僕は意識を手放した。
Fin
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