「まだかな……」
可愛らしい雪がはらはらと降る外で、私は体をふるわせて友を待っていた。
私の後ろには、巨大なクリスマスツリーがある。まだクリスマスではないものの、商店街の真ん中であるここは、色んなお店でセールをやっていて、人が沢山集まっている。
そんな商店街の近くには、新幹線の駅がある。もうそろそろ、駅に着くとついさっき友から連絡が来た。
「にしても、久しぶりだなぁ」
夏、絶対に遊びに行くねと言っていた彼女だが、結局バイトやら大学やら発表会やらで忙しそうで、会うことは出来なかった。
でも、そんな彼女を見兼ねたのか、彼女の恩師が、2週間ほどの冬休みをくれたとのこと。
そして、彼女は私に嬉しそうに
「冬は一緒だね!」
と言ってくれた。
「……冬は、一緒に」
鍋をつついたり、家でゴロゴロしたり……あ、久しぶりに一緒にゲームもしたいなぁ。そうだ、鍋は彼女の好きなおでんにしよう。きっと、喜んでくれる。
私は、きっと寒さで強ばってた顔を、ゆっくりと緩めた。
とりとめもない話をすることが、もう最近は無くなってしまった。
仕事、将来、結婚、お金……全部現実味を帯びてて、なんだか楽しくない。
学生の頃、こんな私と仲良くしてくれた友達がいた。
話す内容は、好きなアーティストの事とか、最近あった面白いこととか……漫画みたいに面白くて、あの時が1番、話すのが楽しかった時期だった。
皆が青春と聞いて思いつく様なことなんて全くしてこなかったけど、私にとっては友達と話すことが青春だった。
あの頃に、戻れないかな。
「ねぇ、お兄さんずっとそこで何やってるの?」
黄色いボールを持った女の子が、不思議そうに俺に聞いてくる。ここは公園。公園の端にあるベンチに、俺は座っていた。
ただ、何もせず、ぼうっと。
「雪を、待ってるんだよ」
予想外の言葉が返ってきたからか、女の子はきょとんと首を傾げた。
「白くて、透明で、美しい、綺麗な雪をね」
「ふぅん?私もね、雪、好きだよ!でも、ここの街全然雪降らないんだもん」
女の子はプクーっと頬を膨らませる。なんだか、そんな姿が愛おしく思えてしまった。
「そう、だよな。雪は……ここでは滅多に降らないもんな」
幼い頃の記憶、その日は雪が降っていたんだ。珍しかったから、妹と一緒に外に出て、はしゃいで、遊んで、クタクタになるまで公園で雪合戦をしたんだ。
そして、家に帰る途中、妹が車に轢かれて死んだ。
俺の、目の前で。
妹の名前は、たしか……雪。
赤、青、黄色……、一つ一つの色が、一つの芸術を生み出している。
その中に、欠けていい色なんてない。
一つのものを生み出すには、一つ一つの色が、個性が必要になっていくから。
君の空っぽの心に、愛を注ぎたい。
私の空っぽの心に、愛を注いで。
何でもしてあげる。
なんでも許してあげる。
私たちは、お互いに「アイ」しあっています。