Stories

Open App
2/7/2024, 9:46:14 AM

時計の針

『時をとめる少女』

未衣(みい)「ねぇ、時間止めたくない?」
私は教室の黒板の上の時計を見ながらぼんやりと言った。
夜(よる)「何?急に」
未衣「だって、あと3分もしたら先生が来て授業始まっちゃうんだよ」
夜「だから?」
未衣「時間止めたくない?」
夜「なんでそうなんのよ笑」
未衣「あっ!私いいこと思いついた!」
夜「どうせまた変なこと言うんでしょ、なに?」
未衣「よく聞いてね、ゴニョゴニョゴニョゴニョ」
夜「んー、いいかも」
未衣「じゃあ、やろ!、藤介!」
藤介(とうすけ)「ん?なに?」
未衣「黒板の上の時計取って!」
私はクラスで1番背の高い藤介に頼んだ。
藤介「なんでなんだよ」
未衣「いいから取って!」
藤介「わかったわかった、取りゃいいんだろ」
夜「未衣!やばいよ、もう先生来ちゃう!」
未衣「大丈夫!絶対間に合わせる!、それよりテープは?」
夜「これしかない」
未衣「あーもうそれでいいよ」
未衣、夜「藤介早く取って!」
藤介「人使い荒いな、ちょっと待て」


先生「もうすぐで授業の時間だ、急ぐか」
廊下を少し小走りで歩き、2年2組の教室か確認してから扉を開けた。
夜「早く!」
そんな声が教室から聞こえてきた。
ガラガラガラ
先生「、、、お前ら、何やってんだ」
未衣「えーと、あの、、、」
藤介「授業したくないからって時計の針をガムテープで止めようとしてるんですよ」
先生「そうか、お前ら、先生はそんなに馬鹿じゃないぞ」
未衣、夜「すみませんでした!」

2/6/2024, 3:22:44 AM

溢れる気持ち

『1日』

好きな曲を聞いて楽しい。
お母さんの手料理を食べて美味しい。
友達と仲良く一緒に学校へ行けて嬉しい。
私が嫌いな数学の授業を受けてうんざり。
英語の授業で見た映画感動した。
昼休みに友達と恋バナしてちょっと恥ずかしい。
放課後教室に残って勉強して少し将来が不安。
夜も遅い学校、怖い。
家で待っててくれた家族、感謝。

私の1日は沢山の気持ちで溢れてる。

2/5/2024, 9:14:00 AM

kiss

『How-to-kiss』

「あの、もう付き合って1年は経ってるよね」
「そうだね」
「普通キスくらいするよね」
「それはカップルそれぞれじゃない」
「1年だよ」
「だから?」
「もうしてもいいじゃん!」
「今したら私が軽い女になっちゃうでしょ」
「1年も経ってたら軽くないよ!、むしろヘビー級だよ!」
「じゃあわかった、そこまで言うならしてあげる、目、閉じて」
目を閉じた。
唇に柔らかいものがあたった。
プリッとしていた、、、?
目を開けた。
「これ、、なに」
「ウィンナー」
「それはわかってるよ!なんでウィンナーなんだってことだよ!キスって知ってるか、MouseとMouseのぶつかりあいなんだよ!」
「じゃあこっちも言わせてもらうけど、こんなところでキスできるわけ無いでしょ!昼休みの賑やかな教室の中でキスできないでしょ!みんな見てるよ!さっき私が『目、閉じて』って言った時なんてクラスのみんなが私達のこと見てたよ!」
「ごめんなさい」

2/4/2024, 6:06:55 AM

1000年先も

『何度生まれ変わっても』

俺「やっと着いた!、これが日本、いや、世界最古の桜か」
親友「ホント遠かった、東京から電車とバスを乗り継いで、そして長いこと歩いて、疲れた」
俺「でも、すげー!やっぱスケールが違うな、今まで見た桜の中でダントツでデカい!」
親友「それに、綺麗!」
俺「来たかいがあったな」
親友「まじで、そうだわ」
俺は親友と2人で世界最古の桜を見に来ていた。
2人して桜に見惚れた。
2人共初めて来たはずなのに、前にも2人で来たことがあるような感覚だった。

親友「この桜には伝説があるんだけど知ってるか?」
俺「なんだよ、伝説って?」
親友「この桜の木の下には1000年以上前に魔王を倒した勇者が埋まってるんだよ、でっその勇者を肥やしにしてこの桜はこんなに長生きできてるっていう伝説だ」
俺「なんだよそれ笑、めちゃファンタジーじゃねーか」
親友「でもさ、この桜は1000年以上生きてて、これから先も1000年以上生き続けるかもしれないって思うとそういうファンタジーもあるんじゃないかって思わないか?」
俺「確かに、あるかもな」
俺「もし、1000年先まで生きられるなら何したい?」
親友「え〜、急に言われると迷うな、、、でもやっぱやりたいこと全部やるわな、1000年もあれば大抵のことはできるだろうし」
俺「例えば?」
親友「ん~、友達1000人作るとか?」
俺「笑える、小学生かよ笑」
親友「そう言うお前はどうなんだよ」
俺「俺は1000年先もお前とこうして旅をしてたいな」
親友「お前ホントに旅好きだな、お前の口から『なぁ、旅に出ようぜ』ってセリフ何回聞いたことか、旅行会社のキャッチコピーかよ!」
俺「でもいいじゃん、楽しいし」
親友「まぁ、そうだけど」
俺「だからさ、この旅が終わったらさ、旅に出ようぜ」
親友「またかよ笑」

2/3/2024, 4:15:44 AM

勿忘草(わすれなぐさ)

『優しい嘘』

トントントン
冬爾「冬爾です、失礼します」
僕は茜先輩がいる病室に来た。
扉を開けるとそんなに広くない1人用の病室のベッドに茜先輩は座っていた。
僕は今日茜先輩に告白をするつもりで来た。
茜「こんにちは、今日も来てくれたんだ、ありがと」
茜先輩は優しく笑いかけてくれた。
冬爾「はい、毎日来ます」
そう言って、僕はベッドの横の椅子に座った。
茜「でも大丈夫なの?もう高校3年生だから受験勉強大変でしょ」
冬爾「大丈夫です!さっきまで勉強してこのあとも勉強する予定です、息抜きで来ているのでむしろありがたいです」
茜「病人なんかと会って息抜きになる?」
冬爾「はい、茜先輩と会えるだけで楽しいので」
茜「そう、、、」
冬爾「早速なんですが今日は言いたいことがあって来ました」
茜「うん、、なに」
どこか不安げがあるようだけどほころんだ笑顔で優しく聞いてくれた
冬爾「あの、僕は茜先輩のことが好きです、今は無理でも茜先輩が退院したらいろんな所にいきましょう、だから僕と付き合ってください」
沈黙
茜「、、、ごめんなさい」
こうなることは予想していた、茜先輩はすごく美人な人だから僕みたいな人よりも良い人を選ぶだろう、もう選んでるのかもしれない。
でも分かっていても実際は辛かった。
冬爾「そっか、そうですよね」
涙をこらえながら言った。
茜「もう、来なくていいよ」
冬爾「えっ」
僕は耳を疑った。
もうこれ以上やめてくれ。
茜「もう、ここには来ないで」
あのいつも優しい茜先輩は優しくない声で言った。
僕は絶望した、もう茜先輩と会うことができないと考えただけで胸が苦しい。
しかし理解した。
僕は茜先輩に嫌われたんだ。
告白なんてするべきじゃなかったんだ。
冬爾「すみませんでした」
喉が締め付けられるような感覚に陥ったが振り絞った声で言った。
茜先輩には聞こえなかったかもしれないほど小さな声だった。
僕は病室を出ていった。
僕は泣いた、ひたすら泣いた。


1ヶ月後
あれから僕は茜先輩と会っていない。
あんなことを言われて茜先輩に会いに行く勇気はなかった。
でも今日久しぶりに行くことにした。
病室の前で僕は立ち止まっていた。
まだ怖い、あとちょとの勇気がほしい。
『昨日よりも今日、今日よりも明日、1ミリでも強い人間になれるようにしたらいいんだよ』
そんな言葉を思い出した。
そうだ僕は前よりも強い人間になれてるはずだ。
トントントン
冬爾「冬爾です、失礼します」
扉を開けるとベッドに茜先輩はいなかった。
冬爾「トイレかな、、」
おかしいことに気づいた。
あまりにもベッドや机などが綺麗になっていた。
冬爾「もしかして、退院したのかな」
看護師「あれ、あなたは、、」
後ろから声が聞こえて振り向いたら看護師さんがいた。
冬爾「あっあの、僕はここの病室に入院してた茜先輩の、、、、知り合いなんですけど茜先輩は無事退院されたんですか」
茜先輩との関係をどう言えばいいか迷ってしまった。
看護師「あなたが冬爾さんなんですか、あなたに伝えないといけないことがあるんですが落ち着いて聞いてくださいね」
冬爾「はい、」
なんのことか全く想像できなかった。
看護師「この病室で入院されてた茜さんは、つい1週間ほど前に亡くなられました」
冬爾「えっ」
意味がわからなかった。
茜先輩はそんなに重い病気じゃないからもうすぐ退院できると言っていた。
冬爾「何言ってるんですか、茜先輩はちょっと熱が長く続いて念の為入院していただけだったんですよね」
看護師「茜さんはずっと前に余命宣告されていた患者さんでした」
冬爾「どうして、、、」
涙が溢れ出てきた。
僕は崩れ落ちてしまった。
泣いた、どれだけの時間泣いていたかわからないけど長い時間泣いた。
看護師さんは何も言わず、ずっと背中をさすってくれていた。
冬爾「すみません、ありがとうございます」
涙をなんとか止めて言った。
まだ信じられないがこれ以上看護師さんに迷惑をかけるわけにもいけない。
看護師「冬爾さん、こちら、茜さんからあなたへの贈り物です」
そう言って看護師さんは病室の机の上にあった花を僕に渡した。
冬爾「これは、」
看護師「これは勿忘草です」
冬爾「なんで、」
看護師「この花の花言葉は真実の愛、それと『私を忘れないで』です」

Next