I LOVE...
『偉人の手も借りたい』
私の彼氏は勇気がない。
1度も「好き」と言われたことがない。
何度か惜しいときはあったが
彼「すっすっすっ素手でやり合おう!」
私「ちょっと何言ってんの?笑」
彼「すっすっすっスウェーデン、スリランカ、スイス!」
私「急にどうしたの?笑」
彼「すっすっすっスンドゥブチゲチゲアッツアッツ頭にかぶってアッツアッツ!!」
私「どういう状況?笑、早口言葉?笑」
そんなある日
彼「すっすっすっ、、、だめだ、、」
私「別に焦らなくてもいいんだよ」
彼「でも、、」
私「夜はやっぱり寒いね、、あっ満月!」
彼「、、、月が、きれいですね。」
私「、、死んでもいいわ」
街へ
『上京』
私は夢の女優を目指して事務所に入り、田舎を出て東京へと上京しに行く。
親や友達との別れは悲しかった、けれどだからこそ絶対大女優になってまた帰って来るとそう思えた。
気付けば田園風景が大きなビルが沢山ある都会風景へと変わっていた。
着いたんだ!、都会の街東京に!
ミッドナイト
『もしも』
僕は時計を見た。
今23時59分から0時へと変わった。
テロン♪
サワ「もしもし、聞こえてる?」
スケ「聞こえてるよ〜、ていうかおはよ笑」
サワ「ははっ、おはよ」
スケ「俺らからしたら0時なってからが朝みたいなもんだからな笑」
サワ「ホントそれ笑」
テロン♪
ヒット「おっはー、今日まじで最悪だったよ〜」
スケ、サワ「おっはー、どしたん?笑」
ヒット「あはははっ、まじシンクロし過ぎ、仲良すぎなお前ら」
スケ、サワ「はははははっ」
スケ「それでどしたん?」
ヒット「あーそう聞いて!、今日まじで残業させられてさ、まじブラック、それで家に帰ってきてまじレベル上げしててエナドリ取りに行こうと席立って台所行ったらまじGの野郎がいて一戦交えて、部屋に帰ってきたらコンセントに足引っ掛けてまじレベル上げしてたデータぶっとんだんだよ」
スケ「はははつ、運悪すぎじゃん」
サワ「『まじ』言いし過ぎでしょ笑」
スケ「確かに!笑」
ヒット「コンセントに関してはめちゃぐちゃぐちゃになってたからいつかやるとは思ったけどまさかレベル上げした直後とか運悪すぎ笑」
スケ「じゃあ、招待するから入って」
サワ「了解」
ヒット「オッケー」
僕の名前は野澤明、友達からはサワと呼ばれている。
サワは言ったらゲームネームみたいなものだ。
友達の2人もそうだ。
衣笠透、ゲームネームはスケ。
田中撃、ゲームネームはヒット。
みんな基本的にはずっとゲームネームで呼び合っている。
僕たち3人は高校からの仲で毎晩0時頃から明け方まで通話ソウトで繋いで会話しながらゲームをしている。
僕は今でもあの時のことを覚えている、僕たちがゲーム友達になったきっかけの時を。
キーンコーンカーンコーン
「やっと終わったー」
「まじ疲れた」
最後の授業が終ってクラスの中はすぐにいろんな人たちの話し声に包まれた。
その中で唯一喋ってないのは僕だけだ。
僕はぼっちだった。
そんな時
撃「なっ、透!今日このあとドラナイな!」
透「おうっ、今日は俺がアタッカーやるからお前サポート回れよ」
撃「え〜、俺もアタッカーしてーし」
僕の前の席の2人はドラゴンナイトというゲームの話をしていた。
僕も大好きなゲームだ、よくやっている。
そこで僕は勇気を振り絞って声を出した。
明「あの!、ドラゴンナイトの話だよね、僕も好きなんだ、」
撃、透「、、、」
沈黙、二人とも黙ってこちらを向いている。
言うんじゃなかった。
最悪だ、完全に浮いてる。
もう終わりだ、そう思った時
透「ホントに!?、じゃあこのあと一緒にする?」
明「えっ?、いいの、」
透「いいよ!、急に話しかけられてびっくりしたけど、ゲームするならみんなでやった方が楽しいし!、それにちょうどヒーラー役探してたし、あっ、もしかしてアタッカーしたい?」
明「えっあっ、ヒーラーでいいよ、僕」
そうして毎日3人で夜な夜なゲームをする仲となった。
もしこの時、僕に勇気がなかったら今頃、、、
仕事もしないで毎日缶ビールを片手にタバコを吸いながらゲームを1人でする、引きこもりニートゲーマーになっていたかもしれない。
1日中誰とも喋らない生活をしていたかもしれない。
そう考えるだけでゾッとする。
だから僕は思う、人の人生はちょっとした出来事で大きく変わる。
勇気は人の人生を変えることができる魔法だ。
今日も0時になった。
テロン♪
サワ「おはよ〜」
安心と不安
『安心と不安』
俺は橘傑、3ヶ月ほど前に高校3年生になったばかりだ。
簡単に言うと俺は無感情な人間だ。
昔は感情を全っく表に出さないせいでみんなからよく怖がられたり、避けられたりするようになり小学生の頃は友達がいなかった。
親に嘘でもいいから周りに合わせて感情を出せと言われた。
だから中学からはみんなが笑えば自分も笑う、みんなが怒れば自分も怒る、みんなが泣けば自分も泣く、みんなが楽しそうであれば自分も楽しむふりをした。
嘘笑い、嘘怒り、嘘泣き、嘘楽しみ、俺が出す感情には全てに嘘がつく。
そんな生き方をしているうちに周りに合わせるのが、嘘が得意になっていた。
俺が出す感情はすべてが嘘、嘘で作り上げられた人間だ。
そんな自分が嫌いだった。
そして怖かった。
何が怖いかというと、いつか誰かを傷つけてしまうんじゃないかということだ。
『不安』だ。
拓史「俺、明日の試合でダンク、決めるわ」
徳馬「は?!、無理だろ、チビには笑」
拓史「チビじゃねーよ!笑」
バスケ部のみんなが笑った
傑「あははははっ」
だから俺も笑った
ちゃんと笑えてるか?俺
彩子「あの、す、すみません!、たったたたた橘先輩、先生が呼んでます」
男の声しか聞こえないバスケ部が練習している体育館の入口の方から見知らぬ女子生徒の声が聞こえてきた。
徳馬「おいっ傑!彼女か?笑」
傑「ちげぇーよ笑」
ちゃんと笑えてるか?俺
この女子生徒は一ノ瀬彩子という名前で、3ヶ月前に入学したばかりの1年生らしい。
一ノ瀬さんも職員室に用事があったらしく、2人で職員室まで行くことになった。
傑「ごめんね、うちの顧問面識のない生徒にもすぐ雑用とか押し付けるタイプの先生だからさ」
彩子「いや、全然大丈夫です!」
傑「まぁ、本人がそう言うならいいか、でも嫌だったらちゃんと言いなよ、あの先生も別に悪い人じゃないからさ、先生は誰とでもすぐ仲良くなれるような人だから、すごい人だよ」
彩子「そうなんですね」
彩子「えっ!?、橘先輩腕にめちゃ包帯みたいの巻いてるじゃないですか!、大丈夫ですか?、あっ!もしかして厨二病ですか!?、厨二病の人ってこういうのふれられるとすごく流暢に喋り始めちゃうんですよね、もしかしてそういうタイプだったんですか!?」
傑「急にめちゃ早口だし、すごい妄想だな笑、これはそういうのじゃないよ、テーピングってやつだよ」
彩子「そうだったんですね、良かった」
傑「なんの安心?笑」
彩子「これがテーピングってやつか、初めて見ました、すごいですね」
傑「ふふっ好きなだけ見ていいよ、ほらっ」
ちゃんと合わせられてるか?俺
彩子「おー、ふむふむ、頑張ってる証ってことですよね」
彩子「先輩って友達が多くてすごいですよね、私友達1人しかいないです。」
傑「そんなことないよ、それに友達1人もいたら充分だよ」
彩子「橘先輩って頑張り屋さんですよね!」
傑「頑張り屋さん?」
彩子「はい!だって今の世の中共感が全てだから友達を作るにはみんなに合わせないといけない。そんな事ができる橘先輩は頑張り屋さんです!」
傑「、、、、」
俺は今心から嬉しいと思えてる。
報われた気がした。
初めての感覚に驚いて固まってしまった。
これも初めてだ。
彩子「あっ、すみません偉そうなこと言って」
傑「いや、全然大丈夫、むしろ、、、ありがと」
気付けばもう職員室の前についていて、本当ならここで話は終わりのはずだったが
傑「でも、、でももしボロが出てしまってみんなに合わせられなかったらどうすれば、みんなの期待を裏切ってしまうようなことになったら、、、」
彩子「、、、、」
傑「ごめん、今のは忘れてくれ」
彩子「ボロが出たぐらいじゃみんな失望したりしないですよ、だって橘先輩が頑張り屋さんってみんな知ってますから。」
それから俺が卒業するまでの間たまに一ノ瀬さんに話しかけるようになった。
でも嫌われるのが怖くて片手で数えるほどしか話しかけられなかったが一ノ瀬さんは俺が話しかけてくれるおかげで友達も増えたと喜んでいて良かった。
俺はまだ『不安』だったんだ。
7年後
「みなさんはじめまして、今日から入社させてもらいました一ノ瀬彩子です!どうぞこれからよろしくお願いします!」
俺の目から涙が出ていた。
心の底から泣くのは初めてだ。
俺の初めては全て彼女だ。
3年後
徳馬「おー、やっと来たか、久しぶり、でもないか1週間前に式場で会ったばかりだもんな」
俺は友達の徳馬の家に来ていた。
そこにはバスケ部のみんなもいた。
(ちなみに妻は自宅で友達と会っているらしい)
自然と学生時代の話をしているうちに時間が過ぎていた。
徳馬「そういえばさ、傑はなんで一ノ瀬ちゃんを好きになったんだ?」
傑「彩子は俺の『不安』をも掻き消してくれるくらい『安心』を与えてくれる存在だったから」
逆光
『太陽と影』
3月14日
ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ
私は1年前に入学したばかりの女子高生一ノ瀬彩子。
今日は3年の先輩たちの卒業式、、、が終わって校庭で先輩たちがそれぞれ思い思いの先生や後輩たちと思い出や最後の別れの言葉をそれぞれ話し合っている。
片手で数えるほどしか話したことがないが、私の憧れの橘傑先輩。
先輩の周りには沢山の生徒、先生がいてみんな笑顔で話し合っている。
私はどうしても最後に2ショット写真を撮りたいが勇気が出ないでいた。
輝く『太陽』が眩しくて尻込みしていた。
そんな時、友達の美桜が言ってくれた。
美桜「憧れなんでしょ、今!、今行かないと一生後悔するよ!」
その言葉に勇気をもらい私は先輩たちの輪の中に飛び込んで言った。
彩子「あっあっ、あの!、橘先輩!、写真!いっいっいっ、一緒にお願いします!」
そう言ったらさっきまで賑わっていたのに急に沈黙となった。
恥ずかしい。
そんな時
傑「いいよ」
橘先輩は優しい声音で言ってくれた。
そして、一生の思い出になる写真を撮ることができた。
10年後
美桜「久しぶりー!、でもないか笑、1週間前に式場で会ったもんね」
私は結婚して今日は家に友達の美桜が遊びに来た。
(ちなみに夫は今日友達の家に行っていていない)
そして自然と学生時代の話をしているうちに時間は過ぎていった。
美桜「あっ!、あの写真ってあの時の?」
彩子「うん、そう」
小棚の上に乗っている小さい写真フレームに入っている写真の話になった。
そうそれはあの時撮った橘先輩との2ショット写真だ。
美桜「でもこれ、逆光で先輩の顔見えてないじゃん」
彩子「そうだけど、別にこれでいいの、私はすごい好きなの、この写真、それに写真じゃなくても今はいつでも顔見れるし」
美桜「この〜、惚気か〜」
そう私は働き始めた職場で再開した憧れの橘先輩と結婚したのだ。
美桜「そういえばさ、彩子はなんで橘先輩に憧れるようになったの?」
彩子「傑は私という影を照らしてくれる『太陽』だったから」