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逆光

『太陽と影』

3月14日
ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ
私は1年前に入学したばかりの女子高生一ノ瀬彩子。
今日は3年の先輩たちの卒業式、、、が終わって校庭で先輩たちがそれぞれ思い思いの先生や後輩たちと思い出や最後の別れの言葉をそれぞれ話し合っている。
片手で数えるほどしか話したことがないが、私の憧れの橘傑先輩。
先輩の周りには沢山の生徒、先生がいてみんな笑顔で話し合っている。
私はどうしても最後に2ショット写真を撮りたいが勇気が出ないでいた。
輝く『太陽』が眩しくて尻込みしていた。
そんな時、友達の美桜が言ってくれた。
美桜「憧れなんでしょ、今!、今行かないと一生後悔するよ!」
その言葉に勇気をもらい私は先輩たちの輪の中に飛び込んで言った。
彩子「あっあっ、あの!、橘先輩!、写真!いっいっいっ、一緒にお願いします!」
そう言ったらさっきまで賑わっていたのに急に沈黙となった。
恥ずかしい。
そんな時
傑「いいよ」
橘先輩は優しい声音で言ってくれた。
そして、一生の思い出になる写真を撮ることができた。

10年後
美桜「久しぶりー!、でもないか笑、1週間前に式場で会ったもんね」
私は結婚して今日は家に友達の美桜が遊びに来た。
(ちなみに夫は今日友達の家に行っていていない)
そして自然と学生時代の話をしているうちに時間は過ぎていった。
美桜「あっ!、あの写真ってあの時の?」
彩子「うん、そう」
小棚の上に乗っている小さい写真フレームに入っている写真の話になった。
そうそれはあの時撮った橘先輩との2ショット写真だ。
美桜「でもこれ、逆光で先輩の顔見えてないじゃん」
彩子「そうだけど、別にこれでいいの、私はすごい好きなの、この写真、それに写真じゃなくても今はいつでも顔見れるし」
美桜「この〜、惚気か〜」
そう私は働き始めた職場で再開した憧れの橘先輩と結婚したのだ。
美桜「そういえばさ、彩子はなんで橘先輩に憧れるようになったの?」
彩子「傑は私という影を照らしてくれる『太陽』だったから」

1/25/2024, 12:49:49 AM