Stories

Open App

ミッドナイト

『もしも』

僕は時計を見た。
今23時59分から0時へと変わった。
テロン♪
サワ「もしもし、聞こえてる?」
スケ「聞こえてるよ〜、ていうかおはよ笑」
サワ「ははっ、おはよ」
スケ「俺らからしたら0時なってからが朝みたいなもんだからな笑」
サワ「ホントそれ笑」
テロン♪
ヒット「おっはー、今日まじで最悪だったよ〜」
スケ、サワ「おっはー、どしたん?笑」
ヒット「あはははっ、まじシンクロし過ぎ、仲良すぎなお前ら」
スケ、サワ「はははははっ」
スケ「それでどしたん?」
ヒット「あーそう聞いて!、今日まじで残業させられてさ、まじブラック、それで家に帰ってきてまじレベル上げしててエナドリ取りに行こうと席立って台所行ったらまじGの野郎がいて一戦交えて、部屋に帰ってきたらコンセントに足引っ掛けてまじレベル上げしてたデータぶっとんだんだよ」
スケ「はははつ、運悪すぎじゃん」
サワ「『まじ』言いし過ぎでしょ笑」
スケ「確かに!笑」
ヒット「コンセントに関してはめちゃぐちゃぐちゃになってたからいつかやるとは思ったけどまさかレベル上げした直後とか運悪すぎ笑」
スケ「じゃあ、招待するから入って」
サワ「了解」
ヒット「オッケー」

僕の名前は野澤明、友達からはサワと呼ばれている。
サワは言ったらゲームネームみたいなものだ。
友達の2人もそうだ。
衣笠透、ゲームネームはスケ。
田中撃、ゲームネームはヒット。
みんな基本的にはずっとゲームネームで呼び合っている。
僕たち3人は高校からの仲で毎晩0時頃から明け方まで通話ソウトで繋いで会話しながらゲームをしている。
僕は今でもあの時のことを覚えている、僕たちがゲーム友達になったきっかけの時を。

キーンコーンカーンコーン
「やっと終わったー」
「まじ疲れた」
最後の授業が終ってクラスの中はすぐにいろんな人たちの話し声に包まれた。
その中で唯一喋ってないのは僕だけだ。
僕はぼっちだった。
そんな時
撃「なっ、透!今日このあとドラナイな!」
透「おうっ、今日は俺がアタッカーやるからお前サポート回れよ」
撃「え〜、俺もアタッカーしてーし」
僕の前の席の2人はドラゴンナイトというゲームの話をしていた。
僕も大好きなゲームだ、よくやっている。
そこで僕は勇気を振り絞って声を出した。
明「あの!、ドラゴンナイトの話だよね、僕も好きなんだ、」
撃、透「、、、」
沈黙、二人とも黙ってこちらを向いている。
言うんじゃなかった。
最悪だ、完全に浮いてる。
もう終わりだ、そう思った時
透「ホントに!?、じゃあこのあと一緒にする?」
明「えっ?、いいの、」
透「いいよ!、急に話しかけられてびっくりしたけど、ゲームするならみんなでやった方が楽しいし!、それにちょうどヒーラー役探してたし、あっ、もしかしてアタッカーしたい?」
明「えっあっ、ヒーラーでいいよ、僕」
そうして毎日3人で夜な夜なゲームをする仲となった。

もしこの時、僕に勇気がなかったら今頃、、、
仕事もしないで毎日缶ビールを片手にタバコを吸いながらゲームを1人でする、引きこもりニートゲーマーになっていたかもしれない。
1日中誰とも喋らない生活をしていたかもしれない。
そう考えるだけでゾッとする。

だから僕は思う、人の人生はちょっとした出来事で大きく変わる。
勇気は人の人生を変えることができる魔法だ。

今日も0時になった。
テロン♪
サワ「おはよ〜」

1/27/2024, 2:04:20 AM